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怪獣王ハリウッドへ行く

「ゴジラ/キング・オブ・モンスターズ」が公開されています。

まだ見てないけど

で、見る前に予習と思って、過去のゴジラ作品をチョロチョロ見てます。いやとても全部は見られないので、チョロチョロ。

今回のは2014年の「GODZILLA ゴジラ」の続きらしいけど、そこで気になってきたのが、これまでのアメリカ製のゴジラ映画たち。わが日本のお宝であるゴジラがアメリカでどのように消化されているのか、それは今回の「ゴジラ/キング・オブ・モンスターズ」にもつながるテーマですからね。

そこで、従来の3本のアメリカ製ゴジラ映画を見直してみました。

え? 2本だろうって? いいえ、3本ありますよ、アメリカ製の実写版ゴジラ映画は。

「ゴジラ/キング・オブ・モンスターズ」の前作である「GODZILLA ゴジラ」(ギャレス・エドワーズ監督版)、1998年の「GODZILLA」(ローランド・エメリッヒ監督版)、それに1956年の「怪獣王ゴジラ」があるでしょ。異議のあるムキもおありでしょうが、ここは譲りませんよ。

ご存知のように「怪獣王ゴジラ」は、オリジナルの1954年版「ゴジラ」を北米公開するにあたって改造した作品。まあ完全なオリジナルではないにせよ、あきらかに元の「ゴジラ」とは別の映画になっています。

この「怪獣王ゴジラ」 長らく日本国内ではソフト化されていなかったんですが、このDVDがリリースされて、やっと手軽に見られるようになりました。

オリジナル版を再編集し、さらにはレイモンド・バーらが出演する追加ドラマを撮影して加えたものなので、当然ながらストーリーそのものはオリジナル版と同じ(追加部分の監督はテリー・モース)

しかし、主人公がレイモンド・バーが演じるアメリカ人記者になり、その視点を通して描かれるので、まったくテイストが違うのです。一度見比べてみると、その違いがいろいろと考えさせてくれます。

よく言うように、オリジナル版「ゴジラ」で大怪獣が象徴するのは、戦争の脅威。もちろん太平洋戦争なんですが、その当事者であり、ちょうど反対側にいたアメリカ人の感覚で描かれる「ゴジラ」

戦争から74年も経ったいまの目で見ても、そこに微妙な違和感があるのですから、これを1957年の日本公開当時(日本では画面の上下を切った強引なシネマスコープサイズで上映)に見た日本の観客は、どんな感想を抱いたのでしょうかね。

逆に、公開当時の1998年の日本では圧倒的に不評だったエメリッヒ版

いやじつは、今回見直してみて、すっかり見直しました(笑) いや公開当時は、私もあんまりポジティヴな感想は抱かなかったんですが。

けっこうおもしろいんですよ、このエメリッヒ版。なによりも娯楽映画として、きちんとツボが押さえられている。ストーリーに滞りがないし、テンポもいい。全面的にCGで描かれる(これが初かな)ゴジラの動きはスピード感も凄い。

そりゃたしかに、このエメリッヒ版のゴジラの動きや、終盤マジソン・スクエア・ガーデンでの見せ場などは、先行した「ジュラシック・パーク」にあまりにも似すぎているのも事実ですが、その後もそんなのは山のように作られているし、そうした十把ヒトカラゲの「ジュラシック一族」にくらべれば、はるかに上出来でしょう。

いまにして思えば、公開当時の不評は、そのほとんどが「こんなのはゴジラじゃない」 つまりオリジナルの東宝ゴジラとの、あまりにも大きいその差異によるものだったんですね。

それが、いま見ると逆に感じられたんです。

この「GODZILLA」って、じつは史上唯一、オリジナル・ゴジラの呪縛から逃れ得たゴジラ映画なんじゃないでしょうか。

となると当然ながら、公開当時には評価が高かったエドワーズ版は、ふたたびオリジナルの呪縛にとらわれていることがうかがえます。

なんか全体に雰囲気が暗いせいもありますが、今回見た3本のアメリカ製ゴジラの中では、もっとも面白くなかったですね。公開当時にはけっこう感心したはずなのに。

たぶん、エドワーズ版の2年後にあらわれた「シン・ゴジラ」のせいなのでしょうね。ざっくりいえば、同じ方向性を持つ、でもさらに面白さで上回った傑作を見ていたから、無意識に比べてしまったのでしょう。実際、この後に見直した「シン・ゴジラ」は、やはり圧倒的に面白かったのですから。

となると、心配になってきました。

「ゴジラ/キング・オブ・モンスターズ」は、このエドワーズ版の続きなんですよね。

大丈夫なんだろうか?

ネタバレが嫌なので、いまのところ、映画評もSNS上の評判もなるべく見ないようにしているんですが……

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