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ヒットの手がかり:「ここで買える」を植え付ける

今日もご覧いただきありがとうございます。
商品がヒットした要因を独自に分析、その中から一つを、”ヒットのヒント”として解説します。
今日はバルミューダの電気ケトル「The Pot」を見ていきたいと思います。(トップ画像引用元:https://www.balmuda.com/jp/pot/

ヒット商品がヒットした要因は様々あると思います。自分はこう考える、これは違うのでは?など意見がありましたら、ぜひコメントに残していただければと思います。皆様のコメントによって、より多角的な分析に繋がればと思います。

バルミューダ The Potについて

バルミューダ The Potは、家電メーカーのバルミューダが、2016年10月に発売した電気ケトルです。コーヒーのドリップに適した形で話題となり、多数の追随商品も現れました。

コーヒードリップのための電気ケトルの代名詞的な存在となったThe Pot。
(引用元:https://www.balmuda.com/jp/pot/)

それにも関わらず、金額シェアではバルミューダ The Potがまだまだ高いシェアを誇るようです。今日はそんなバルミューダ The Potを見ていきます。

ヒットの手がかり:「ここで買える」を植え付ける

バルミューダ The Potのキャッチコピーは、「小さくて美しい電気ケトル」です。コーヒーのドリップに適した鶴口、600mlという小さめの容量が商品の特徴になります。当時国内では同様の商品はありませんでした。
ケトルにおいては数量ではT-falのシェアが高いのですが、これらは基本的に海外でも販売しているものを日本でも販売しているもので、容量は大き目です。この点において、The Potは、日本に適したコンパクトサイズにすることで、売れたという見方が出来ます。

しかし、同様の商品が出てきている今でも売れている理由が説明出来ません。ましてや、2,000円から3,000円程度の非家電のドリップケトルも存在し、お湯が沸かせるだけで、ユーザーが13,000円もするThe Potを買ってくれるとは考えにくいです。

これに対する答えが、「ここで買える」を植え付ける、です。
ここで、質問です。コーヒーのドリップケトルは、どこで買うことが出来るでしょうか?大き目のホームセンターや、コーヒー専門店、はたまた金物屋さん・・・など様々な選択肢がありますが、これという代表的な場所はなかなか思いつかないのではないかと思います。
対して、The Potは、バルミューダのブランド力と発信力により、「コーヒーケトル=バルミューダ=家電量販店」という構図を作りました。他社に先駆けてコーヒーケトルの代表商品を作り、買える場所までイメージを植え付けることで、購入までの動線を作ったわけです。

浸透率を高める

マーケティングミックス(4P)では、商品や価格と合わせて販路や販促の整合性が重要だとされます。今回のバルミューダ The Potは、ただ単に商品に合わせた既存販路で展開を行うものではなく、販路構築までもを戦略に巻き込んだ、強力な4P構築の例となるでしょう。近年、「ブランドの成長には、ポジショニング(独自性)よりも、店頭シェアや高い想起(浸透率)が重要である」という考えが注目を浴びています。製品単位ではなく、販路も含めた想起という点で、この主張とも合致していると感じます。
ただし、商品、ブランド力、発信力が揃わないとなりませんので、戦略として、長期での積み重ねが重要になるのは言うまでもありません。

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