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しくじり商品研究室:セグウェイ

今日もご覧いただきありがとうございます。

商品を企画する際に、ヒットに導くのは難しいのですが、反対に失敗要素を極力減らしていくことなら比較的実行しやすいです。
ここでは、失敗した商品の原因を知ることで、失敗要素を減らす参考になればと思います。
(トップ画像引用元:https://www.photo-ac.com/)

セグウェイの例

セグウェイについて

今更セグウェイの説明は不要かもしれませんね。セグウェイはアメリカで開発された電動二輪車です。立ち姿勢で乗車、体重移動で操作するという、新しいスタイルで話題になりましたが、商品としては失敗したことが知られています。当然電動キックボードもない時代で、日本では法律がハードルとなり、実用性がなかったわけですが、そもそも商品としてはどうだったのか、見ていきたいと思います。

しくじり理由

セグウェイのしくじり理由は「顧客の負を何も解決していない」に尽きます。
セグウェイのコンセプトは「環境に優しい近距離の移動手段」ですが、代替手段として、自転車があります。特にセグウェイ同様に体力の負荷を軽減するものとして、電動アシスト自転車が当時から存在しています。これに対してセグウェイは、より労力がなくなるわけですが、その対価が60万円~100万円・・・。

日常の足としてだけでなく、最近ではシェアリングサービスでも使われる
(引用元:https://www.photo-ac.com/)

そもそも、ユーザーは電動アシスト自転車に対して、不満を持っているのでしょうか。調べてみると、核となる走行性能にはおおよそ満足している一方で、重量が重い点に不満を持つ人が多いようですが、この点は40kg前後のセグウェイも解決できません。よって、電動アシスト自転車に変わる移動手段としては弱いです。
最近増えている電動キックボードはどうでしょうか。セグウェイに立ち位置が近く、セグウェイと同じく失敗しても良さそうです。
最もよく見るのはLOOPに代表されるシェアリングサービスの電動キックボードかと思います。一見、乗り物としては近い存在に見えますが、顧客へのアプローチは全く異なります。電動キックボードの手軽さは乗り物としての特徴ではありますが、個人の移動手段としてよりも、近距離移動のシェアリングサービスとの相乗効果が大きいです。シェアリングサービスになれば、電池の管理や自宅での保管場所の必要性がなくなります。出先で借りれば良いので、所有、持ち歩く必要もありません。

電動キックボードとシェアリングサービス

つまり、電動キックボードは、サービスとセットになることで、顧客の負を解決しています。
まとめると、そもそも代替手段として電動自転車が存在しており、セグウェイを選ぶ必要性がありません。一見、現代で立ち位置の近い電動キックボードも考察すると、単体よりもサービスと一体となって価値を生んでおり、セグウェイとは異なる、ということになります。

結果として、乗り物としては面白かったが、実用面でベネフィットを提供出来なかった、のがセグウェイだったのでしょう。

シェアリングサービスなら普及したか

セグウェイはその話題性から、多数のフォロワー、中国企業の安価な模倣品などを生み出しましたが、いずれも最近では見なくなりました。もちろん、法的に公道で使用できないことは失敗理由の大前提にありますが、利用メリットがないため、わざわざ法改正もされなかったと考えることが出来ます。
さて、ここでLOOPのようなシェアリングサービスなら普及したかを考察してみます。個人的にはそれでも難しかったのではないと考えます。まず価格面で設備として設置するハードルが高くなります。次に多くの人が利用するレンタルで、体重移動という慣れが必要な操作性は不向きです。
いずれにしてもセグウェイは失敗でしたが、この失敗があったからこそ、現代の電動キックボードも存在するのかもしれません。失敗事例からの学びを意識して、新しいベネフィットに繋げたいものですね。

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