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『なし売りせんにん』、納得いかない

昨日に続いて、童話にツッコミを入れていくシリーズ。

↑先日購入したこちらの本の中に『なし売り せんにん』という話がある。今日はそれについてnoteを作る。

梨を売る仙人なの?と思ったけど、ストーリーの内容的には『梨売りと仙人』のほうが正しい。なんなら『梨売りVS仙人』。
(『梨売りと仙人』で掲載しているバージョンもネットで見かけたので、このへんは訳者の好みかなという感じ)

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【あらすじ】
男が、車に大量の梨を積んで売りに来る。
そこにボロをまとったおじいさんが「梨を恵んでおくれ」とやってくるも、男は拒否。哀れに思った周りの人がお金を出して、おじいさんに買ってやる。
するとおじいさんはその種から梨の木を生やす。たくさん実った梨をみんなに配り、最後にはナタで木を切り落として持っていき、姿を消す。呆気にとられて見ていた男が気がつくと、車の上の梨は全部なくなってたし、車の舵棒がナタで片方切り落とされている。「舵棒が梨の木になって、みんなにふるまった梨が私の梨だったのか」と男はがっかりする。
おしまい。


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……


……


えっ、おしまい?!!???
待って待って、これ男なんも悪くなくない?!お金を払わないならダメだよって、そりゃそうだよ商売だもん。恵んでくれたら優しいけど、くれないからって悪者扱いは違くない?!
ネットに載ってた他のバージョンをチラ見したら「他の人がお金を出してくれた時も一番小さい梨をよこした」的な書き方はあったけど、別にMサイズ用の支払いに対してSサイズを渡したとかじゃないでしょ(私も他人に恵むとしても、流石に一番高いのを買ってやろうとはならんし……)。じいさんに渡さなくても、いずれ誰かがその小さい梨を買ってたんよ。ルールに則った売買なら、それは怒るところではないんよ。

なのに、作中もこの男は『よくばり』扱いである。えっ、そう……?そうか……????

というかだ、梨の木生成ショーをそこでやるの、普通に営業妨害なわけよ。男の梨を勝手にみんなに配ってるの、窃盗なわけよ。男の車まで壊してたら、器物破損なわけよ。
……えぇ、私この寓話から、どんな教訓を娘に与えればいいの?ボロをまとった爺さんだからって雑な扱いをしてたら実はお偉方だったりするから、人によって接客態度を変えるな?(3歳児に伝える教訓ではない)

うーん、これはあまり娘に読み聞かせたい話ではないような。だがそんな親の思惑など娘の知ったことではない。「次はどのお話読む?」と聞くと普通にこれのリクエストが来たりする。まぁねー、梨の種がぐんぐん伸びて、葉をつけ花をつけ実をつけ……って想像したら、そのシーンは楽しいもんね。子どもウケしそうっちゃしそう。でもそいつ盗人だぞ、騙されるな……?!

これねぇ、梨売りを虐めるんじゃなくて、『かわいそうに思ってお金を出してくれた人』に「どうもありがとう、お礼をしましょう、おうちに帰ったらこの種を植えてみてください」とかにすりゃよかったのではとか思うんですけどね。それじゃダメなんですかねぇ。


なんだかなー。

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