お題:○○なシンデレラ

私はシンデレラ。

そう呼ばれていたのは、もうずっと昔の話。
今ではウニの密漁で日々を食いつないでる。

罪悪感は、ある。

でも、王子との日々の暮らしのためにはそれも厭わない。二人の間にあるのは、そう、愛。

世間は、ガラスの靴がピッタリになった私達を認めなかった。

王子と私は王族を追放され、とんでもない田舎に飛ばされた。

召使いと王子の結婚は認められない……。でも、そんなひどい悪習何かに、私達は負けない。

二人で幸せに暮らしていくために、私は罪悪感に押しつぶされそうになりながらも、密漁を続けていた。

ある日の夕食終わり、食後の珈琲を飲み干した王子が顔をしかめて呟くように言った。

「もう耐えられない……。足を洗ってくれ」

「えっ?」

王子は最近、いつも顔をしかめていた。密漁の事、王子には内緒だったのに、気付かれていたみたい。

「凄く辛いんだ……。足を洗ってくれるね?」

「それは……その、ごめんなさい。本当に、ごめんなさい!」

軽蔑、されてしまったのかもしれない。
もしそうなら、私は生きていけない。

でも、王子から出てきた言葉は、凄く優しいものだった。

「いいんだ。その、僕ももっと早く言うべきだったよ」

王子は、絞り出すように言った。

「悪習に、耐えられない」

そう。全ては悪習のせい。こんな所に追いやられて、貧しい暮らし。

でもね、それでも私の事を、いつも考えてくれている王子。本当に大好き。

私は決意して言った。

「私、足を洗うわ!」

本当かい!? と、王子の顔が輝いた。

こんな笑顔は久しぶりに見た。本当に心配させてしまっていたみたい。反省しないと。王子に胸を張れる私でいたい。

翌日、密漁をきっぱり辞めて、誇らしい足取りで帰路につき、堂々とした思いでドアを開けた。

「王子、私、キレイに足を洗ってきたわ!!」

王子は、笑顔でで迎えてくれたものの、すぐに盛大に顔をしかめて言った。



「……………それで??」




ーお題:足の臭いシンデレラー

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