「利益」が第一優先の人間に「仕事」の本質は永久に理解できない

この世の中には割と阿呆みたいな価値観が蔓延している。その一つに仕事をするからには「利益」を生み出さなければいけないというものだ。
「利益」を生み出さなければ仕事をする意味がない。新しい価値を生み出して顧客に金を出させて、自身の仕事を高く買ってもらう。
それが最上だと言わんばかりの言説が溢れている。僕もたまにそう思うし、今の仕事をしている以上は仕方がないなと妥協するくだらない時もある。
どこを見ても、「利益を出せ」「価値を生み出せ」「イノベーションを起こせ」「時代は変わっている」そんな言葉が溢れている。

うるせえよ。

金は大事だよ、ああ大事だよ。そんなことは身に染みて分かっている。金が無いと辛いんじゃ無い、惨めなんだ。そんなことは百も承知だけれども、そんなところに捕らわれて生きる意味を見失うんじゃ無いよ。

僕たちが子供の頃に憧れていた仮面ライダーやウルトラマンは利益を求めて戦っていたかい?プリキュアは後から料金を徴収していたかい?
利益を第一にした瞬間に僕たちはヒーローになる資格を失うんだよ。僕たちは金銭に目が眩んだ時に、物語の主人公と戦う立場になるんだよ。
そろそろ気がつこうぜ、利益と仕事の本質はまるで違うってことに。

僕が好きな漫画に「健康で文化的な最低限の生活」という漫画がある。
生活保護をテーマにした作品だ。利益を求めていたらとてもできやしない。公務員しかできない。税金を使うしかできない仕事だ。でも、それはこの世の中のどの仕事よりも価値がある仕事だ。最後のセーフティネットを支えているんだもの。
僕や君が何をしても、どれだけ失敗して何もできなくなって病気で動けなくなって、障害で働けなくなって、何も何も何も何もできなくなって、社会に参加できなくて絶望的に上を見上げることしかできなくなったって「健康で文化的な最低限の生活」ができるだなんて凄まじいよ。ヒーローの仕事だ。

僕たちは働いて利益を生み出しているけれども、それは別に絶対的な正義じゃない。利益を生まない仕事をしている人たちだっている。それをなんだい。まるで、金を稼いだ奴が偉いなんて目で誰かを崇拝して、ああなりたいとか正義がそこにあるとか、自分の欲望を正当化して何やっているんだい。
僕たちが小さい頃に憧れた、ただただ弱者を助けていた野良犬みたいな人間になりたいと思っていた心の灯火はどこに行ってしまったんだい。

わかるよ、家族や同僚を養うために利益を出さなきゃいけないことは。でも、それを全肯定するのもまた違うだろう?
金のために魂を売ってしまって自己嫌悪すら忘れてしまった時に、僕たちはなりたくなかった大人になるんだよ。僕たちは軽蔑していた大人になっているんだよ。

なあ、頼むから思い出してくれ。年収が高い人間を尊敬する大人、権威がある人間に無条件にかしずく大人を見て思春期の僕たちは何を思ったんだい。そいつの人格も知らないのに「立派」だからと膝を折って拝む行為に僕たちはどう思っていた?

うるせえよ。

僕たちはそうやって毒を吐いていたはずなんだよ。
「利益」なんて小さいものに捕らわれて魂を売って賞賛して崇拝していた人間に対しての反抗心を燃やし尽くしてレジスタンスのように戦っていた時期があったろう。思い出してくれ反骨心を。

「利益」を追い求める限り、「仕事」の本質なんて永久に理解できやしない。
「仕事」の本質は何だって?決まっている。ヒーローになることだ。

ヒーローになっていこうぜ。

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