服を買うなら、捨てなさい
最近書店で平積みされているこの本。
可愛らしい装丁とタイトルのギャップに惹かれ、読んでみた。
ファッションに悩める女子はもちろん、メンズ陣なら彼女や家族の買い物に付き合うとき、この本の知識を披露すれば一目置かれるはず。
服に対する意識が変わる本だ。
30代を過ぎ、自分のライフスタイルが確立された女性に向け書かれているけれど、わたしのような20代にも参考になる話ばかり。
色々と手を出しては、ファッションの迷宮に迷い込む…それはこの先のながい人生、遊び、学ぶ時間だと作者の地曳いく子さんは教えてくれる。以下から内容に触れていきます。
「服は多いのに、着たい服がない」
女子なら誰でも一度は思ったことがある、永遠の課題。
その原因は、
「女子は毎日違う格好をしなければ、という呪いにかかっている」 から。
常識的な感覚を、躊躇いもなく「呪い」だと切り捨てる地曳さん。
長年のスタイリスト人生から培われた経験が強い説得力を持ち、読んでいくと迷いや疑惑は消え、頭の中もスッキリしてくる。
コーデのバリエーションを増やそうとする→微妙な服をワードローブに混ぜてしまう→結果着ない服、適当な服を着てしまう…
すっごく、わかる。
止まらない負の連鎖が、私たちをおしゃれな人から遠ざける。
それなら、自分によく似合う服を週に2、3度着ている方がはるかに良い。
自分に自信が持て、気持ちよく過ごせる。
気になるのは一度着た服のお手入れ方法。
難しく考える必要はないようだ。
冬のコートや厚手のワンピースにはブラシをかける。
夏服には軽く洗剤をつけ、お風呂のシャワーでさっと流し、そのまま干す…
我が家でもまた着たい服はファブリーズを吹きかけ、風通しのよい場所へ置いておく。洗濯機を回す手間がへり、光熱費を抑えられていい。
捨てるべき服の見極め方も、ユーモア溢れる語り口で記憶に残る。
「朝、鏡の前で脱ぎ捨てた服」は捨てましょう。
「服は男と同じ。今いい人がいるのに、わざわざ昔の恋人に連絡を取ったりはしない」。
自分にとって大切な服であれば、適当に扱わないし、“今必要のないものは今後も必要ない”という考え方。
どんなに気に入った洋服でも、体型、好み、環境、流行…変わらない保証はない。
せっかく買った服、タンスの肥やしにしてしまってはかわいそう。
着ない服がある分スペースが増え、 家賃がもったいない。
それよりもお気に入りを着倒し、元を取る。
「ファッションにおいては、備えあったら憂いあり」。…勉強になります。
地曳さんは特に「自分の定番ファッション」のアップデートを推奨している。
気付けばこればかり着ているなと感じる服。
それはあなたにとって心地良い服で、自分の魅力を引き立たせる服。
ただ、服の賞味期限は短い。
去年と今年では微妙にディティールが違ったりする。交換の目安は2年。
その年らしさを取り入れることで、お気に入りの服を着たおしゃれな人でいられるという。
ここで間違えてはいけないのが、トレンチコートや黒のタートル、プリーツスカートなどベーシックな形の定番物でも、「あなたに似合う」ものでなければ意味がない、ということ。
雑誌や流行が語る‘定番’に惑わされないよう気をつけたい。
買い物に行く前の注意点・試着についての豆知識など、参考書としては申し分ないくらい親切に教えてもらえるので、わたしのような優柔不断人間にはありがたかった。
以下、読み終えてみて、心に刺さった文書たちをご紹介します。
・おしゃれになるということは、自分のワンパターンを見つけること。
・人にはそれぞれ担当がある。無理して流行りに乗らなくてもいい。
・普通のときに素敵な人ほどおしゃれなひと。高価なものこそ、普段使いに。
・服はしまい込んだら負け、使ったほうが勝ち。
・良いものを買うためには、普段からセールやファストファッションでムダ遣いしないこと。
・高いか安いかは、着用回数で判断する。
・靴にいちばんお金と愛をかける
コーディネートを考えるときは靴から(場所や天候に左右されるため)。
・靴には自分らしさ、スタイルが現れる
スタイル=「自分が好きなもの」「ときめくもの」。
個人的に3番目が胸に来る。
パーティーやおめでたい晴れの日は非日常、滅多にない。
振り返れば、無難だったり、あまり気に入ってなかったり、適当に選んでしまった服で毎日を通過している。
ファッションという一番身近なアイテムで、自分の気持ちやモチベーションをあげること。
そうして小さな幸せや心弾む気持ちを積み重ねていけたら…きっと毎日、たのしく気持ちよく過ごせる。
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