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私の中の蟻は象に勝てるのか。

 出自のわからない嫉妬に苦しんでいる。自覚できるほどの恋心が芽生えているわけでもないし、仮にお付き合いできることになったとしても、それを嬉しいとも感じない。正体のわからない名もなき嫉妬が私を苦しめる。

 他人から見ればこれは恋なのでしょう。でもそう認めたくない引っ掛かりが邪魔をする。前に進めなくする何かの正体は学生時代の恋愛経験にある。当時付き合っていた同じ学科の人とお別れをした。喧嘩したわけでもなく、お互いに話し合った結果の別れの選択だった。それなのに、友達伝いで別れた原因が一方的に私が悪いことになっていることを知った。周りの学生だけじゃなく、教授にもその悪い噂は広がっていた。近しい友人は事情を察して火消しに動いてくれたけど、一度広がった噂は次から次へと広がっていく。そうして私は学生生活から一歩、いや百歩以上後ろに下がってできるだけ表に出ないようになった。こうして同じ所属同士で付き合うことの怖さがトラウマとして残った。

 そんなトラウマが私の足を捕まえて離さない。初めから失敗することを考えるなというアドバイスもそうだよなと一応頷く。だけども職場という簡単には逃げられないコミュニティの中で背負うリスクはあまりにも高すぎる。永遠の誓いをしても3分の1は撤回するわけだし、恋愛であれば解消する確率はもっと高くなる。

 多分、私の中での付き合いたいという感情と失敗したらお前の居場所はなくなるぞ。ほれ、学生時代を思い出せという理性が喧嘩しているのだと思う。この喧嘩を仲裁する方法はあるのか。生き物で例えると今の感情は蟻で理性は象で圧倒的に力の差がありすぎる。小さな蟻でも数が集まれば象でも倒せることを信じて、苦しみを楽しみたい。

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