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「子どもの貧困対策推進議員連盟」に要望書を提出しました。


田村厚生労働大臣がご挨拶され、代表代行の牧原秀樹衆議院議員、事務局長の薗浦健太郎衆議院議員 役員の小宮山泰子衆議院議員に要望書をお渡ししました。
要望書は配布され、説明では、国民民主党 矢田わかこ参議院議員や、社民党の福島みずほ議員をはじめ、超党派の国会議員の方々のほか、内閣府・文科省・厚生労働省の方々が聞いてくださいました。
ここまで来るには、ご協力いただいた当事者の方々の力があってこそです。本当にありがとうございます。
今日の要望内容を議連でまとめ、三人の大臣に渡されるとのこと。三次補正予算などに反映されますように!
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 【当日の要望発言】
当ネットワークは新型コロナ禍を機に、ひとり親当事者の超党派女性地方議員12名で結成し、本日は7名参加しております。
当ネットでは、新型コロナ禍の影響について5月と8月にネットによるアンケート調査を実施し、47都道府県から回答を得た他、ネット座談会で出た意見や各議員の地方行政の実態を踏まえ、要望をまとめました。
まず、再度の現金給付です。アンケートでも緊急事態宣言時に減収・あるいは無収入だった世帯は、65%を超え、宣言解除後も、約45%との結果が出ていることから、経済状況の悪化が長期化しています。そこで、再度、給付の必要があると考えます。
二つ目に養育費の確保支援です。アンケートでも養育費の滞りがあるとの回答が約1割に上りました。
自治体では、養育費確保支援事業を実施していますが、まだ少数であり、広がりが見られません。効果的に展開するためには、養育費の取り決めを促進する必要があることから、取り決めの義務化や国による不払いへの立て替えなど、早期の法整備をお願いします。
次に子どもへの対応です。
アンケート結果からも、お子さんの様子に不安がある家庭は38.7%、学習面で不安がある家庭は73%など、子どもの心身面への影響や、学習習熟度の家庭の格差が懸念されます。
そこで、生活困窮者支援における「学習支援事業」や、ひとり親世帯への学習支援の充実を求めます。生活困窮者支援事業による学習支援では人口規模による基本基準額の引き上げや、国の財政負担2分の1から、他事業同様に、国の3分の2への引き上げをお願いします。
また、文科省によるGIGAスクール構想が次年度から開始されますが、調査では、オンライン学習環境がない家庭は24%にのぼりました。現在実施している「生活困窮世帯家庭へのWi-Fiの貸し出し」の他、端末を家庭に持ち帰りさせない自治体では、家庭用の端末が必要なことから、端末の貸し出しなど、支援の拡充をお願いします。
さらに、高校生を持つ家庭の負担軽減の意見も寄せられました。
高校生等奨学給付金制度は、高校入学後に申請するため、中学二・三年生の進路決定時に制度を知ることができるよう、教育委員会から、各中学校へ制度の周知徹底をお願いします。実務面では、母子父子寡婦福祉資金貸付制度を申請する際、自治体が日本学生支援機構の対象かを確認する業務が煩雑であることから、機構の持つ情報を自治体に共有するなどの改善を併せてお願いします。
つぎに子どもの預け先です。
新型コロナに保護者が感染した場合の預け先は当然ながら、その他緊急時やコロナ禍における育児負担増加により宿泊を伴う保育の必要性が高まっています。受け皿となるショートステイ・トワイライトステイ事業は、需要が高いのにも関わらず、供給が追い付いていないため、単価見直しや人員配置の予算措置による拡充の他、ファミリーサポートによる宿泊保育実施への支援、内閣府により見直しされた児童相談所を通ず行う里親を活用したショートステイ制度の活用促進をお願いします。
住宅の確保については、減収の中、大きな経済負担となっています。現状の制度である、公営住宅や空き家の活用、住宅セーフティネット法による子育て世帯へのあっせんなどは、優先的に入居が可能な物件数が少ないことなどから、実績が上がっていません。そこで、家賃補助制度を独自に設ける自治体もあります。近年、母子世帯専用シェアハウスのニーズも高まっていますが、シェアハウス運営への支援はないことなど、課題を踏まえ、実効性のある住宅確保支援をお願いします。
次に子ども食堂等への支援です
地域団体等が、食品の無料配布を実施した成果は、ご承知の通りかと思います。自治体では、東京都が実施したと伺っていますが、一時的な配布にとどまらず、平常時から、食の支援を通じて、各家庭を支援する団体の必要性が高まっています。団体の継続的・安定的な運営への支援は、自治体によって差が生じていることから、国による支援制度の創設をお願いします。
さらに、私共は、ひとり親世帯の多くが非正規雇用等、不安定な就労形態であったことが、今回、世帯の経済状況を直撃した要因であったことを踏まえ、安定的な就労による自立を促していくことが重要であると考えます。
そこで、母子父子自立支援員による相談件数の増加への対応や、就労につながる相談体制強化のため、支援員の増員をお願いします。
また、現状の就労支援は、労働局による就労自立促進事業やマザーズハローワークなどを中心に実施されていますが、十分な実績が得られていません。地方における中小企業でのひとり親の正規雇用は厳しく、十分な就労先の確保には至っておらず、自治体による就労支援や、労働局との連携は、十分ではないことから、実効性のある支援をお願いします。
最後に児童扶養手当制度の改善についてです。
自治体では、児童扶養手当受給世帯を対象に子ども医療費助成をはじめとした各種減免措置を講じているほか、自治体独自のコロナ対策でも受給世帯を対象としている事業があり、不受給世帯の不利益が広がっています。さらに、今年夏の現況届の申請では昨年度収入が認定基準になるため、今年の大幅な減収の影響が、来年の申請まで反映されないことに、悲痛な声が寄せられています。災害時には要項で対応したとも伺っていますので、検討して頂くようお願いします。困難な場合は不受給世帯への支援の検討をお願いします。
実務面の課題もあります。児童扶養手当の支給開始から5か年が経過で行う一部支給停止措置について、自治体では一部支給適用除外事由届出書等の提出により確認していますが、事務の煩雑化が課題となっています。一部支給停止の該当者が少なく事業の効果が見えないため、事業効果を検証するようお願いします。
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    新型コロナウィルスの影響に係るひとり親家庭への
         支援充実を求める要望書
 1、継続した現金給付
 (1)ひとり親家庭臨時特別給付金の給付により、緊急措置を実施されたが、新型コロナによる解雇離職による収入減も踏まえ、国によるひとり親家庭等生活困窮世帯へ現金給付を継続すること
2、国主導の養育費の確保支援の実施
(1)少数の地方自治体では、養育費確保支援事業を実施しているものの、実績は十分に上がっておらず、国庫補助事業として広がりを見せていない。これらの事業を効果的に展開するためには、養育費の取り決めを促進する必要があると考える。そこで、より具体的な養育費の取り決め義務化や不払いへの国での立て替えなど、法整備に向けた取り組みを行うこと。
(2)当事者から声として上がった、養育費を支払った人への税の控除や受給した側の課税対象から外すなどの配慮を検討すること。
3、学習支援の強化
 (1)学校の一斉臨時休校の影響により、家庭環境の格差による学習習熟度の格差が懸念されている。特に塾に通えない生活困窮世帯への学習支援の必要性が高まっていることから、「子どもの学習支援事業」の予算増額を実施すること。
(2)家庭でのオンライン学習環境への支援や、学校における児童・生徒へのひとり一台の端末整備状況について、自治体間で格差が生じているため、GIGAスクール構想における「生活困窮世帯家庭へのWi-Fiの貸し出し」のみならず、自治体の実情に即した支援をすること。(家庭への端末貸し出しのための予算措置など)
4、高校生を持つ家庭の負担軽減
(1)高校生等奨学給付金制度は、高校入学後に申請するため、受験校を決定する中学時には、十分な周知がなされていない。受験校決定前から制度を知ることができれば、私立高校への進学の選択肢が広がるなど、授業費の負担を懸念する世帯にとって、有益な情報となる。そのため、都道府県教育委員会を通じ、各市町村教育委員会から、各学校や保護者に対し、制度の周知徹底を図るよう、通知をすること。
(2)大学等の授業料について母子父子寡婦福祉資金貸付制度を申請する際に、日本学生支援機構が実施する修学支援新制度の対象であるか否かの確認が自己申告制となっているため、自治体では、支援機構への確認業務が負担となっている。日本学生支援機構の持つ情報を自治体に提供するなど、確認業務の簡素化に向けた改善をすること。
5、安定的な預け先
(1)保護者が罹患した場合の子どもの預け先として、親戚がいない子どもは児童養護施設もしくは病院などに預けることになっている。通常時、保護者が病気・仕事・冠婚葬祭など数日もしくは長期にわたり子どもの監護ができない場合児童養護施設に預けるが就学児童は自身の学校に通えない不利益をこうむる。そのため自治体は単体や広域でショートステイ・トワイライトステイを委託し実施している。しかし、受け入れ児童の年齢・人数制限などにより平常時から利用者をお断りしている実態もある。各家庭では、感染防止の観点から、行政サービスに頼らず、子育てを家庭内で行っている現状であり、子育ての負担や育児ストレスの増加が懸念されるため、ネグレクトの防止としても事業の必要性が高まっていると考える。その予防のため、ひとり親等の世帯への安定的な預け先の確保のため、ショートステイ・トワイライトステイの単価見直し・人員配置の予算措置や、児童相談所を通さない里親とのマッチングの方策を検討すること。
6、住宅支援の改善
1)住宅支援については、公営住宅や空き家の活用をはじめ、住宅セーフティネット法による子育て世帯へのあっせんなど、国では示されているものの、実績が上がっていない状況である。
実際には、優先的に入居が可能な物件数は少なく、選択肢が限られることから家賃補助制度を独自に設ける自治体がある。保証人を見つけにくい、母子だけでの生活に不安があるなどの理由から、近年は、シェアハウスへのニーズも高まっているが、シェアハウス運営への公的な支援はない。実績の上がらない課題を踏まえ、実効性のある住宅支援制度となるよう改善をすること。
7、子ども食堂等への支援
(1)学校の一斉臨時休校中、収入低下や家計費増大の影響が、食費の削減に現れたため、十分な食事がとれない家庭に対し、子ども食堂を運営している地域団体や民間団体などが、食品の無料配布を実施した。東京都では、食品配布事業を実施されると承知しているが、一時的な配布はもとより、平常時から、食の支援を通じて、各家庭の生活を支援する団体の必要性が高まっている。現状では、自治体により継続的・安定的な運営への支援の格差が生じていることから、国による支援制度の創設をすること。
8、母子父子世帯相談体制の強化
(1)就労等の相談が急増し、母子・父子自立支援員が十分相談に対応できず、業務過多になっている現状がある。そこで、自治体の実情に合わせた母子・父子自立支援員増員のための予算措置とること。
9、自立支援の改善
(1)自立支援として、労働局における生活保護・児童扶養手当等受給者就労自立促進事業やマザーズハローワークなど、各種実施されているが十分な実績が得られていない。子育て中の保護者の雇用先として、居住地から近い事業者等での正規雇用が必要とされていますが、就職氷河期世代のひとり親世帯女性への雇用は厳しく、十分な就労先の確保には至っていない。就労経験が乏しい人が多いといわれるひとり親にとって、一番身近な自治体での就労支援体制は十分ではなく限界がある。厚生労働省におけるひとり親世帯への実効性のある就労支援をすること。
(2)児童扶養手当の支給開始から5か年が経過した場合などに行う一部支給停止措置について、自治体では対象者に一部支給適用除外事由届出書等の提出を求め、現状を確認しているが、事務の煩雑化が課題となっている。しかし、一部支給停止の該当者が少なく事業の効果が見えないため、事業効果を検証すること。
10、児童扶養手当制度の改善
(1)新型コロナ禍の支援においても、不受給のひとり親世帯が支援対象外となるなど、課題が生じている。また、現在行われている現況届申請では昨年度収入が認定基準になるため、今年の大幅な減収の影響が、来年の申請まで反映されない。そこで、不受給世帯の経済状況など実態把握と支援を検討すること。
(2)現在の児童扶養手当の所得制限は、正規雇用への自立を拒んでいる要因となっている他、養育費の生活費収入換算により受け取りを積極的にできないなどの実態も見受けられる。実際には、不受給世帯の多くが、子育て世帯の平均収入を大きく下回っている状況であるため、所得制限の見直しの検討を行うこと。
(3)児童扶養手当の現況届を窓口で申請する際に、世帯収入の確認において、事実婚の確認がプライバシーの配慮に欠ける質問の仕方であるとの指摘があり、当事者団体から自治体へ改善を求めている。そこで、自治体へ通知を行い、徹底すること。
(その他、恒久的な課題として)
・就学援助の自治体間格差 準要保護世帯の認定基準や補助品目が自治体によって差がある
・労働賃金の格差是正 男女間や正規・非正規雇用による賃金格差があることから、母子世帯の生活困窮が解消されない
参考資料
第1回アンケート・座談会(5月実施)による調査結果からわかった ひとり親家庭の課題
・収入減・家計費増の不安(子どもが在宅したことにより食費などが増加)
・仕事の現状や就労の影響(非正規・販売業なども多く減収。在宅では仕事ができない。失業など)
・学校や学習への不安(子の生活環境や学習習慣の維持・進学の問題・オンライン学習環境が整備されていない・精神面や体力低下への影響)
・高校・大学生の子を持つ家庭の家計負担(アルバイト収入がなくなった、学費を払えるかなど)
・感染拡大による孤立感など、家庭を取り巻く状況や、先行きが見えない将来への不安
・自分が感染した場合の養育の不安(頼る人がいない。親戚や親にも感染防止から預けにくいなど)
・国や自治体への支援に対する不満と期待(現金給付を求める意見が多い)
自治体への要望
1 収入減・就労の確保について
①児童扶養手当・就学援助対象世帯への現金給付を実施すること。また、一時的な支援にとどまらず、新型コロナによる経済活動の停滞に鑑み、継続的な現金の上乗せ給付を行うこと。
②緊急小口資金貸付事業について、貸付要件の緩和や貸付上限額の拡大の必要性があるものの、自治体には裁量がないことから、自治体独自の生活資金貸付事業の創設すること。
③失業した保護者への緊急措置として、会計年度任用職員採用時への優遇他、安定収入の確保につなげるための雇用の開拓を行い、就労支援を実施すること。
④就学援助の準要保護世帯に対しては、給食費相当の費用を給付することを検討するとともに、食の提供を行う民間や地域団体等と連携し、公共施設の貸与や必要とする家庭へ情報を届けるなど、支援を実施すること。
2 情報提供の充実について
① 児童扶養手当の現況届申請書類の送付時などに合わせ、積極的な情報提供を実施すること。
また、紙媒体だけでなく、SNS等も積極的に活用し、必要な情報を得やすい状況にすること。
② ワンストップ窓口の導入など、利便性向上を図ること。
3 相談体制の強化
① 「待つ相談」だけでなく、積極的なアウトリーチ活動を実施するなど、ひとり親家庭の現状を把握することにも努め、必要な支援策へとつなげていくこと。
4 保護者の罹患
① 保護者が感染した場合の子どもの預かり先など、子育てサポート事業の活用も含めて検討し、生活支援策を明確に示すこと。
5 子ども・教育への支援
①オンライン学習を可能にするネットワーク環境及びICT端末を有しない子どもたちに対する機材の提供等環境整備を早急に行うこと。
② 家計状況の急変などにより、学習計画の変更を余儀なくされた小・中学生や高校生への支援を強化し、生活困窮世帯に向けた学習支援事業等の対象条件の緩和や、定員拡充について検討を行うこと。
③ 保護者の収入の変化などの家庭環境や、学校の休校など、子どもたちの悩みを直接受け止める居場所の提供、子どもが直接相談できるSNS等を活用した相談体制の創設を検討すること。
                                                      以上
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ひとり親家庭支援のための地方議員ネットワーク 第二弾アンケート結果より抜粋 
(7月25日~8月10日 ネットによる実施 47都道府県から295件の回答)
〇緊急事態宣言中に必要な支援は何だったか 現金給付が7割
 現金給付 69.5 % 子どもの預け先 9.8% 子どもの学習支援 8.5% 就労支援 2.7%
〇緊急事態宣言中の収入の変化   減収・収入なしが65.5%
 給与が減少した47.5% 変化なし28.1% 就労していなかった7.1% 養育費不払いによる減収5.4%
 自己退職 3.1%  解雇 2.4%
〇緊急事態宣言後、6月以降の収入  宣言後も減収・収入なしが44.5%
宣言中に収入が減少し現在も収入が減少したまま35.3%  収入変化なし34.2%
宣言中は減収になったが、宣言後戻った13.6%  宣言中・宣言後も収入がないまま9.2%
〇失業中の方は仕事が見つかったか(75人) 就労できていない人が9割
はい9% いいえ61.3% 見つけていない26.7%
〇国や自治体の貸し付けや給付などの支援を受けましたか 必要なのに未手続きが2割
 制度を知らない12.2%  申請したいが方法が分からない10.5%
〇新型コロナ禍による育児不安やストレスについて 以前より不安やストレスを感じる80.3% 
〇学校や保育園等再開後、お子さんの様子に不安がある 38.7%
〇学校が再開し、お子さんの学習面で不安はある 73%
〇困りごとを相談していますか  相談していない、わからない56.6%
していない36.3%   相談先が分からない 20.3%
〇行政が実施する学習支援に通わせたいですか 学習支援の必要性が高い
小学生 はい43.9%   中学生 はい23%   高校生 13.9%
〇家庭でのオンライン学習をする環境はあるか 環境なしが23.9%
  端末がない17.5%   Wi-Fiがない 6.4%   教育委員会や自治体から貸与 3.6%

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