AIが電話予約に対応!「トレタ予約番」をリリースしました

トレタ代表の中村です。
ようやく発表できました。2年ほど前から研究と開発を続けてきた電話予約対応をAI化するサービスが、「トレタ予約番」として2021年4月15日に正式にリリースされました。

このトレタ予約番の開発中の社内での呼称は「CC-AI」。つまり、これまでトレタCCで展開してきた飲食店の予約電話のBPOを、人間のコールエージェントに代わってAIで対応しようという発想からスタートしています。この構想はトレタCCを開始したときから描いていたのですが、コロナ禍によって一気にニーズが高まり、開発を加速させてリリースにこぎつけることとなりました。

飲食店のおもてなし

飲食店は、産業化が始まった1970年から、約50年にわたってその「おもてなし」を充実させてきました。飲食店で働く人たちはそもそもサービス精神が旺盛ですから、お客様に喜んで頂くためだったらなんでもするというメンタリティを持っています。
そんな人たちが50年にわたって連綿と「おもてなし」を充実させてきたことで、日本の飲食店は世界に類をみないほどきめ細かいサービスを提供するに至りました。
しかしそれは、一面ではサービスの肥大化、業務の肥大化を生んでいるのも事実です。お客様のために良かれと思ってやっていることでも、それが実際には顧客価値に繋がっていない業務やおもてなしが、いまや飲食店の業務のあらゆるところに存在しているのです。

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その肥大化したおもてなしが、コロナ禍の売上急減に伴って一気に飲食店の負担となりました。いま、多くの飲食店が、充実したおもてなしを実現するために整備してきた「固定費(人件費)」の重さに苦しんでいます。

電話対応という業務

そんな中で、僕らは数年前から「電話」という業務に注目してきました。
電話は、まさに肥大化したサービスの典型だと考えたからです。
今や、多くの人がスマホを持っていますが、スマホを「電話機」と認識することはとても少なくなりました。それだけ、僕らの生活における「電話」の必要性は低下しつつあります。

電話は同期型コミュニケーションですから、相手の時間をリアルタイムに拘束します。そしてエビデンスも残らないので言った言わない問題も発生します。同期型で相手の時間を奪う割に、対面でのコミュニケーションよりも情報量が圧倒的に少なく、ニュアンスを伝えることが難しいという側面もあります。

さらに予約に限って言えば、予約電話を丁寧に気持ちよく対応したからと言って、それが本当に顧客価値に繋がっているかも疑問です。確かに電話越しに気持ち良い対応をされたら、顧客としては嬉しいのは事実です。しかし、だからといってそれでそのお客さまはお店のファンになるでしょうか?「あの電話対応が最高なんだよ」と言ってリピートしてくれるでしょうか?結局、お店の評価はお店の中での体験によって下されているのであって、気持ちの良い電話対応は、実はあまり価値を生んでいないのではないかと思うのです。(やらないよりやったほうがいいのは事実。でもそれに月数十万のコストをかけ、結果としてお客様にそのコストを転嫁することが、本当にお店にとってもお客様にとっても理想なのかという話ですね)

また一方で、電話対応には大きな「リスク」があることも事実です。感じの悪い電話対応をされると、それだけでお店への期待値や評価が下がったり、最悪予約をキャンセルされるというリスクは間違いなくあります。かくいう僕自身も、過去、電話予約の対応があまりに感じ悪くて、それ以来そのお店に行かなくなったという体験があります。

つまり、電話対応という業務は、得することはあまりないけれど、リスクだけはかなり大きいという、労多くして実り少ない業務なのではないでしょうか。

電話はなくならない、のかも?

だからこそ、電話が鳴らない飲食店を実現しようと、僕らは予約のデジタル化、そしてオンライン予約の普及に取り組んできました。

しかし、今でも飲食店の予約の大半は電話です。飲食店の予約という目的を考えたとき、電話は必ずしもベストなツールではないにも関わらず。
本来は、スマホなどを使ってオンラインで席を予約したほうが圧倒的に確実だし便利なはずなのですが、それでもまだまだオンライン予約が世間の主流になる気配はありません。(かなり伸びてはいますけどね)
僕らも、トレタ創業以来「電話予約を駆逐する」という裏の目標を掲げてオンライン予約に取り組んできましたが、7年かけてもまだまだ予約の半分以上は電話なのです。

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結局、電話って手軽なんですよね。
番号をタップしたら、あとは話すだけでいい。
スマホの小さな画面で小さなボタンやキーボードを何度も押さなくても、しゃべるだけで予約できちゃうのって、やっぱり楽なんですよね。
そういう意味では、まだまだオンライン予約はその簡単さにおいて、電話予約を超えていないのです。

だから、僕らは無理やり全ての予約をオンラインにすることは当面無理だと結論づけました。それ以来、電話予約の課題を解決する「別の方法」に取り組んできたのです。それがBPOであるトレタCCであり、究極形として今回リリースした「トレタ予約番」なのです。


トレタ予約番の開発

このサービスは、AIロボットなどを手掛けるユニロボットさんとの協業によって生まれました。

予約管理クラウドの「トレタ」をインフラとして利用しながら、トレタCCで保有している予約対応のノウハウと、ユニロボットさんのAI技術を組み合わせて、約2年かけて完成させています。(SaaSですので、正確には完成しておらず、永遠のベータ、つまり今後も進化し続けるんですけどね)

予約電話をAIで対応するには、なにはさておきシナリオの磨き込みが重要です。ここに、トレタCCに蓄積した知見が大きな価値を発揮しています。ベンチャー2社のタッグですので、シナリオ改善のサイクルも高回転で回しながら、すでに現時点でもそれなりの精度で対応できるようになっています。
たとえばトレタ予約番では、日にち、時間、人数などを都度質問しながら進むのではなく、「明日の19:00から4名で」というような問いかけでもきちんと解釈して予約を受け付けることが可能です。
また、配席も自動で行いますので、お店の側はトレタに任せっぱなしでどんどん予約が埋まっていくことになります。

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いつでも電話予約が可能に

AIですので、もちろん24/365で稼働可能です。ですので、営業時間外には「予約の受け付けまでやってくれる、超高機能な留守番電話」としても活躍します。
お店の人が電話に出ることができない時間帯もきちんと対応し、 予約の取りこぼしなどを減らすことができるようになる一方で、お客様も時間帯などを気にすることなく、いつでも電話一本で予約が可能になります。
特に、昨今のような時短営業が求められる状況下では、店舗にかかってきた電話に出られないケースも少なくないでしょう。そういう場合でも、トレタ予約番がいれば安心です。風邪を引いて欠勤することも、急に退職することもありません。安心して予約電話をお任せください。

このように、同期型コミュニケーションだった電話予約を、AIを使って非同期型にすることで、お店とお客様の双方がハッピーになれるというわけです。

他の時間帯の提案や、個室指定予約なども対応

お客様が19:00に予約したいと思っても満席。でも19:30からだったら入れますよ。そんなケースにもしっかり対応します。AIが近い空き枠を認識して「19:30からでしたらご用意できますがいかがですか?」と提案してくれます。これで、予約の取りこぼしも最小限に抑えることが可能です。
また、個室など席種の対応も可能となっています。

エスカレーション対応も可能です

さらに、AIでは対応できない電話の場合も万全。AIでは対応できない内容のときは、その電話を店舗に転送したり、あるいはトレタCCのコールエージェントが対応したりという機能もオプションでご用意しています。
コールエージェントが対応すれば、お店の電話がなることは限りなくゼロに近づきます。まさに、電話の鳴らない飲食店が実現できるのです。

トレタ予約番のパフォーマンス

正式リリースに先立ち、昨年11月から一部の店舗さまでテストを実施してきました。その結果、平均の予約成約率は約25%、最も優れた店舗では40%近い実績を上げています。これは、トレーニングされたプロのコールエージェントの水準に匹敵するもので、おそらく現場で働くアルバイトの皆さんと比較したらすでに「人間を超えた」と言っても過言ではないレベルでしょう。(トレタCCのデータでは、そもそもお店に受電する電話のうち、予約電話は30-40%なのです。つまり、トレタ予約番は、お店にかかってきた電話のほぼ全てを確実に予約につなげていることになります。ちなみにプッシュボタンで回答するIVRの予約成約率は5%程度)
結果、営業時間外の対応だけでも、1店舗あたり月商換算で120万円を超える予約受付を記録しています。
AIが対応することで、電話されたお客さまも気を遣って丁寧に発話していただいているという要素は間違いなくあると思いますが、それにしても、僕らが期待した以上のパフォーマンスを出せていると言えるでしょう。

トレタ予約番のこれから

現時点でもそれなりのパフォーマンスを発揮しているとはいえ、機能も品質も、まだまだ僕らの目指すゴールははるか先です。
もちろん、シナリオや合成音声などの磨き込みも、まだまだコツコツ続けていきます。予約以外の用件にも対応できるように、機会学習などの開発も進めていきます。

今はまだ「AIだからこんなもんだよね」と言われるところもありますが、電話の向こうで対応しているのがAIなのか人間なのかわからなくなるという世界も、そう遠くないでしょう!

おわりに

これまで、導入いただいている店舗さまで、実際にトレタ予約番を体験されたお客さまにヒアリングなども実施していますが、総じて好評です。客単価7,000-8,000円くらいの比較的高単価な店舗さまにおいてすら、利用者からは

「予約の電話なんてこれで十分じゃない?」
「話し中で繋がらないとか、電話に出ても中途半端な対応をされるくらいなら、こっちでいい」
「いつでも気兼ねせず予約できるなら、むしろそのほうが便利でありがたい」

という声を頂いています。(中には「え?あれAIだったの?」という声もあったとかw)
ですので、お客さまのほうがこの手のサービスに抵抗感はなくて、むしろお店の意識がまだまだ付いていけてないというのが実際なのかもしれません。そういう意味では、まだまだ飲食店の皆さんの意識が代わっていない今こそが、他店に差をつけるチャンスとも言えるでしょう。

よく考えれてみれば、アレクサやSiriなど、「音声インターフェイス」は、むしろ先端の技術トレンドでもあります。そう考えると、「電話」は必ずしも時代遅れのツールではないのかもしれません。だったら、それを無理に駆逐しようと戦うのではなく、電話がもっと便利になる世界を作ればいい。
電話業務というストレスフルな仕事がお店からなくなると、飲食店の固定費は数十万というレベルで削減できるようになり、お店の方は接客に専念できる環境が実現できます。お客様も24/365での電話予約が可能となりますし、お店の中での体験も向上するに違いありません。
トレタ予約番は、コロナ禍における飲食店のサバイバルに貢献し、そしてコロナが去った世界での圧倒的な飲食店を実現することにコミットしていきます。

ということで、トレタ予約番にご興味のある方はこちらからお気軽にお問い合わせください!いち早くお申し込みいただいた店舗様には、もれなく弊社メンバーの手厚いサポートが付いてきます!


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