ビットコイン等の仮想通貨に関する法律のメモ
Contents
1.概要
2.改正資金決済法と犯収法
3.消費税法
4.所得税法
追記 MUFGコインと仮想通貨
ビットコイン等の仮想通貨に関する法律の研修(講師:斎藤創弁護士)や普段のリサーチをまとめたメモです。
※そのため、法律専門家の意見ではなく、講師の方代弁でもなく、あくまで素人の勉強用のメモですのでご留意ください。
1.概要
改正資金決済法については、
①マネロン対策せよ
②外部監査を受けろ
③財産の分離管理とか消費者保護のために色々やりなさい
今回の法改正では大まかに上記の3つの対策が必要になります。
スケジュールとしては、
2016年5月法案可決 ⇦今ここ
2016年6月〜会計処理や監査対応の検討
2016年8月、9月あたり?法令、府令の取り纏めと制定
2017年4月、5月あたり?法律施行
2017年10月、11月あたり?すべての取引所は登録してないと操業できなくなる(施行前に創業した取引所は半年間登録免除のため)
消費者税法については、
今回は仮想通貨に対する改正は無しで今後のスケジュールもまだ不明です。
2.改正資金決済法と犯収法
①仮想通貨の定義と誰が規制を受けるか
⑴仮想通貨の定義
❶物品やサービスの購入する場合に不特定多数の者に対して使用できる、かつ、不特定多数の者を相手方として売買できる財産的な価値で電子的なもの。円とか外貨及び通貨建資産を除く。
❷不特定多数の者を相手方として①に掲げたものと相互に交換できる財産的価値
❶について
・不特定多数の者に対して使用できるなので、企業内コインは対象外
・不特定多数の者と売買できるなので、スイカやMUFGコインみたいな特定の者からしか購入できないものは対象外
・電子的に移転するものじゃなくてリアルコインは対象外
・もちろん円とか外貨及び通貨建資産を除くなので、預かった円を信託していたりと円とかと1:1で固定交換を約束しているものは除かれると思います。
❷について
・❶に該当するのはビットコイン等で、②は①と相互に交換できる仮想通貨のことで、つまりオルトコインは規制対象
⑵規制の対象者
規制されるのは仮想通貨ではなく、仮想通貨の交換等をする者
仮想通貨の交換等とは
❶ 仮想通貨の売買または他の仮想通貨との交換
❷ ❶の媒介、取次ぎ、代理
❸ ❶❷に関して利用者の金銭または仮想通貨の管理
→つまり、販売所や取引所、それらを代理したりするブローカーが規制対象です。
②マネロン対策
下記4つの義務を仮想通貨の取引所が負います。
・本人確認義務
・本人確認確認記録と取引記録の作成
・疑わしい取引の当局への届け出義務
・社内規定、研修、管理者設置等の管理体制整備
但し、ビットコインは海外の取引所で購入して国内の自分のウォレットに入れたりできるのでどこまで実行性があるのか疑問でもあります。
しかし、日本の取引所がユーザーにとっては使いやすいので日本の取引所を規制するだけでも一定以上の効果はあると思います。
仮想通貨も通貨なので現金と同様に取り締まりにくいんですね。
③外部監査
いまのところ、ビットコイン等の仮想通貨にかかる会計基準が無く、監査の基準もないためどうなるかわかりません。
ただ、証券等が受ける財産分離管理に関する監査みたいなものを受けるか、がっつり会社法監査みたいなのを受けるのか。
どうなるかわかりませんが、上記の2択で前者が優勢なのではないかなと思います。
④消費者保護
ポイントは、預かった資産が多額にあるのに事業運営で食いつぶすことを規制するために預託、財産分別管理が課せられます。
また、財産分離管理やその他規制対応をするための内部管理体制を構築することもポイントです。
規制の詳細は以下の通りです。
・利用者の保護措置実施
誤認防止のための説明義務
取引内容、手数料、苦情窓口等の情報提供
金銭授受の際の書面交付、電子でも可
内部管理体制構築
・利用者からの預かり資産と自己資産の分別管理→監査受ける
・情報の安全管理
・名義貸し禁止
・財務規制、最低資本金、最低純資産
・帳簿書類作成、事業報告提出義務→監査受ける?
・当局による報告徴求、検査、業務改善
・停止命令、登録取り消し
・預託
3.消費税
▼消費税については読者の方の指摘に基づいて訂正しています。
・現状、理論上は仮想通貨の購入時に消費税課税され(海外からの購入は非課税)、仮想通貨の使用時は物々交換にあたるため非課税です。
・しかし、実務上、取引相手や税理士が仮想通貨の取り扱い理解してないことが多く、仮想通貨の使用時も課税されており、2重課税になっているようです。
・JBAで要望しているのは、仮想通貨の使用時だけに課税されること
・従前は法規制が全くないから、いきなり非課税にするのは無理というのが金融庁等の見解だったので、これからは非課税にできるかもしれない。
EYのレポートがよい感じなのでご参照ください。
4.所得税
所得税については現状特別な規制やルールはありません。そのため、おそらく外貨と同様の取り扱いになると思います。
つまり、ビットコインと他の通貨の交換により得た利益は雑所得として確定申告する必要があります。
もしビットコイン建で給与を受け取ったら、税金や法定福利費は給与振込時のレートで換算して会社が預かり、給与をもらった側は、そのビットコインを円とかに換金しない限り追加申告は入りません。
もし円とかにトレードしたら、発生した売買損益を雑所得として申告する必要があります。
※これはおそらくです。
追記
MUFGコインと仮想通貨
MUFGコインについて'仮想通貨'という報道がされていますが、上記の日本の法律の定義から考えると、❶のうち、不特定多数の者と売買できず、円と1:1でリンクしているので仮想通貨に当たりません。
また、1ポイント1円のまま取引所で取引所できるようになったらそれは仮想通貨に当たりますが、現実的にはほぼ不可能です。
実際、Nubitsみたいにドル相場との固定を目指している仮想通貨は実際にあります。
現実的に難しい理由としたは以下の2点。
①1ポイント1円と決まっているものを取引所でトレードする意味がないため、ユーザーは取引しようとしない。Tポイントをわざわざ買うのかという問題。
②個人間で売買できる場合に指値で1ポイント1円以外で売買する者が必ず出てくるので、価値を1ポイント1円に維持しようとすると誰かが反対取引を必死にやる必要があり、その誰かの資金が尽きたら維持できなくなります。
これは中国元が固定価格を維持できていないことをみれば明らかに不可能です。
なので、理論上仮想通貨ですが、固定相場で売買可能なのは現実的には存在し続けるのは不可能に近いです。
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