GPの原点となる創業時から今、そして未来 ~その3~
こんにちは。
株式会社ゼネラルパートナーズの進藤均(Shindo Hitoshi)です。
このnoteは
の続き、三部作の3つ目です。
第二創業期について、なぜ変えることにしたのか、何を変えたのか、これから何を目指すことにしたのか、について書いています。
なぜ変えることにしたのか
僕を突き動かした3つの理由
「GPは新たに生まれ変わる」
2017年、GPは第二創業期として新たなスタートを切りました。
障害者支援をしていた会社が、”ゼネラルパートナーズ”という会社名以外のほとんどを変えました。その第二創業期をスタートするまで、様々な迷いや葛藤がありました。
話が壮大すぎて本当にできるのかもわからなかったし、何から手を付けていいかもわからなかった。10年以上やっていることを変えていいのかという葛藤もありました。
そんな状況の中でも、僕を第二創業期へと突き動かしたのは、3つの理由があったからです。
1.
これから先、社会問題がより深刻になっていくという危機感が大きくなったこと
2.
「社会を変えるためには、事を起こすことが大事。最初の一歩を踏み出せばいいんだ」と身をもって感じたこと
3.
これから先、ソーシャルビジネスは間違いなく伸びると確信したこと
この3つです。
理由1:社会問題の深刻化
GPから日本の未来を変えていく
近い将来、今見えている社会問題はより深刻になっていくだろう。さらに、今は見えていない新たな社会問題も生まれてくるだろう。そんな危機感です。
今まで社会問題といえば、マイノリティー側を指していました。マジョリティー側の人たちは、自分たちにとっては対岸の火事でした。
ところが、これから先の未来は、そのマジョリティー側を含む全員が何かしらの社会問題を抱えるのではないかと感じました。日本総社会問題化(という言葉はないですけど)ということでしょうか。
今現在でさえ、人は何らかの不自由や不安、ときに不平等を抱えています。毎日の仕事は大変。結婚、子育ても大変。介護も大変。病気になったら保証はない。全員が何かしらの犠牲の中、ギリギリの中で踏ん張っていませんか。それが今より悪くなるとしたら、厳しいのではないでしょうか。
高齢化と少子化と人口減少が同時にくることが要因の一つにあります。
2020年から2050年でどう変化していくかをみてみると...
●人口が1億2,000万人から9,000万人へと25%減る
●社会を支える労働人口は、7,500万人から5,000万人へと33%減る
●未来を担う子どもたちは、1,500万人から900万人へと40%減る
一方で、高齢者は3,300万から3,800万と15%増えます。
以下は、あくまで仮説ですが...
人口減少と労働者減少により、国の税収入が減っていく。一方で、税金支出は増えていく。つまり、大きな赤字です。
もし改善できなければ、被災地の人たち、生活保護を受けている人たち、障がい者、難病や病気疾患のある方など、今までセーフティネットとして保障していた人たちを守れなくなります。
もし日本経済が減退していくと、失業者が増え、引きこもり、虐待、貧困、犯罪へとつながる可能性があります。
社会全体のどんよりとした空気感。イライラして殺伐としている人間関係。争いごとが絶えない状況が想像できます。
「悲観的に考えすぎだよ」と言われます。でも、考えられなくもない未来。むしろ現実的な未来と言ってもいいかもしれません。先に希望の兆しがないわけですから。とにかく、誰かが何か動かなければならない、と思いました。
「政治は何を考えているのか」、
「大人たちは何か動こうとしているのか」、
「企業は何か取り組んでいこうとしているのか」。
まったくその兆しを感じませんでした。
そして、
「そんな自分は何かしないのか?」、
「GPは社会問題を解決すると言っておいて、見て見ぬふりをするのか?」。
自分で自分を問いかけ続けた末、自分が行動を起こそうじゃないか、と思えたのです。おこがましいけれど、社会を変えていこう、と。
理由2:事を起こすことの重要さ
道なき道をつくっていく
「社会を変えるには、問題意識あるリーダーが、事を起こす。一歩踏み出すことがもっとも大事だ」と、僕は身をもって感じました。
問題意識ある一人が行動を始めれば、社会が思い描く方向に動いていくのです。社会は、変わるんだと。社会は、変えられるんだと。そんなことを経験したのです。
GPを創業したとき、2つの”業界初”にチャレンジしました。
1つは、障がい者雇用転職サービスを民間でやること。もう1つは、ソーシャルな活動を株式会社で始めることです。
当時、人材サービス業界で、そういう会社はありませんでした。大手人材サービス業界の各社は、「儲からない」「障がい者支援はリスクが大きい」と事業にネガティブな意見が大半でした。ようするに、反対されました。
しかし、3~5年後、そのほとんどの会社が新規参入してきました。10数年が経ち、当時0社だったサービス事業者は30社以上となりました。
多くのプレイヤーが活動すれば、障がい者雇用は広がります。また、各社が切磋琢磨すれば、より良いサービスに進化し、さらに障がい者雇用は広がります。実際、障がい者就労人数は、創業した後でも、一度も減ることなく増加し続けているのです。
また、当時は株式会社が福祉をすると、「障がい者支援関連で営利企業はまずいよ」「何か悪いことしてそうで怪しい」というイメージがあったために、株式会社は存在しませんでした。しかし、今ではあまり違和感なく存在しています。
これらを振り返ったとき、重要なことに気付きました。それは、誰かが「事を起こした」ことが重要だった、ということです。
たまたまGPという会社がジャングルの中をかき分けながら歩き始めた。すると、その後ろを歩く人たちがあらわれ、どんどん歩く人が増えてきた。いつの日か、そこが道になっていった、という感じでしょうか。
社会を変えるには、「最初に事を起こす。すなわち道なき道をつくる」ことが重要なのだと感じました。
問題意識のあるリーダーが新しい事業を始める。そこから、さまざま挑戦をして成功失敗を繰り返していく中で、社会は動き出すのだと。
ならば、リーダーを増やせばいいのではないか。いろんな分野で”0から1”をつくればいいのではないか。浅はかな考えでしたが、そうすれば、多くの社会問題を解決していける、と考えたのです。
理由3:ソーシャルビジネスの可能性
おおきなうねりを生み出していく
これからソーシャルビジネスは伸びると思いました。
人口減少と共に税収が減少していく中で、自治体の財政赤字は増えていってしまいます。当然、今まで万全であった行政サービスが行き届かなくなります。
米国のように、「行政サービスが手薄だから市民活動としてのNPOが発展する」ことが当てはまる。日本も同様の道をたどると思っています。
企業としての取り組みも増えていくはずです。この先、世界的な潮流になりつつある「SDGs」という規範は、日本企業にも浸透していきます。
それに伴ってダイバーシティ(多様性)が経営課題になる。昨今、ダイバーシティは生産性が向上し、収益があがるというデータがでました。待ったなしで推進されてくる流れにあります。
さらには、欧米を中心にESG投資(環境的・社会的・企業統治に配慮している企業への投資)が席巻しているように、ESG投資で評価されたいと思う日本企業が増えていきます。
世の中の流れとして、若い消費者ほど会社のスタンスに共感するかどうかで商品を選ぶ傾向にあることからも、この流れは大きくなっていくと感じました。
黒船のように、あらゆる価値観が海外から輸入されているのが日本人としては少し残念です。日本はGDP的な先進国であるものの、社会貢献的な取り組みは後進国なのだと認識しました。
色々述べましたが、これから社会貢献に対する興味関心は増えていくだろうと感じたのです。
一方で、それを担う人材はどうか。世界各国の意識調査で、日本の若者は、「自国のために役立つことをしたい」が54%と世界でトップでした。
さらに、国内で働くビジネスパーソンの意識調査では、「社会や人から感謝されたい」が95%で一番の要望でありました。裏を返せば、今の仕事でまったく満たされていないという実態が見えてきました。社会貢献したい人たちは、潜在的に多いのだろうと思いました。
しかし、一方で日本の若者は「自国のために役立つことをしたい」が54%と世界でトップであったにも関わらず、「自分の関わりで社会が変わると思う」と考える若者は30%と世界で最下位でした。
本当はやりたい人は多いけれど、結局あきらめてしまうのです。衝撃でした。今のままでは、社会を変えることに関わろうとする人は増えません。
「ソーシャルな活動によって社会が変わった、という事例が増えていけばいいのでは?」
「ソーシャルビジネスで成功している、というモデルが増えていけばいいのでは?」
「ボランティアではなく普通に稼げる仕事だ、ということを理解してもらえればいいのでは?」
これらを解決するには、「ソーシャルビジネスをもっと世に創り出す」ことが必要だと考えました。うまくいっているモデルがあることを広く伝えるのです。
そうすれば、プレイヤーが増えるだろうと。本業が別にある人でも、副業として取り組む人は増えるだろうと考えました。
社会問題意識のあるリーダーが「この指とまれ」と周知し、100人の仲間たちが加わる。そんな事業を100創り出せば、あっという間に10,000人の社会貢献活動になるではないか。
ムーブメントにすれば、大きなうねりを生みだせるかもしれない、と考えました。
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以上が、第二創業期に僕を突き動かした3つの理由です。
まとめるとこんな感じです。
「困っている人を何とか助けないといけない」と使命感をもち、「事を起こせば、社会問題は解決していく」という自信がつき、「仲間はどんどん増えていく」と心強い後押しを感じた、ということです。
「これはムーブメントになる。そういう時代がくる」と勝手に駆り立てられました。
障がい者雇用を専門でやっていたGPは、「ソーシャルビジネスを数多く創り出す会社に生まれ変わるぞ」と決意しました。
領域は障がい者に限らず、難病、うつ、ひきこもり、LGBT、高齢者などの社会問題に広げよう。大きなうねりを起こそう、と決意しました。
そうなると、GPは今までの延長線上で運営するのは全然だめで、抜本的に変えていかなければなりません。こうして「第二創業期」という大改革の準備が動き出したのです。