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海外ドラマの愛すべきおっさんたち【File.2】主人公のオトン(Netflix『マスター・オブ・ゼロ』)

3人に伝えたかったのに700人に伝わってしまった

わたしは、そんなつもりはなかったんですよ。ほんの出来心だったんです。




さも、

「万引きなんてしてません・・・!」

みたいな現実世界ではなかなか使わないセリフが飛び出しそうな書き出しですね。どうも、海外ドラマばかり観ているOLキャサリンです。

いやね、前回のこちらのnoteが予想以上に読まれまして。700pv超えてるんですよ。さすがに、世の中の海外ドラマのおっさん好き推定3人があの手この手を駆使して700pvにしてくれたとは思えない。最低でも3人以上には伝わってしまったはずです。

「嬉しい…!頑張って書いてよかった…!」って言うよりも、「え、そんなに読まれたの。ウケるんだけど。おっさんの釣り力高くない?だからおっさんは(うちのオトンも含め)フィッシングするの?っていうか、フィッシングって入力したら〈フィッシング詐欺〉って予測変換してくるわたしのあいぽんどうよ」みたいになったのですよね。人生初体験の感覚。何事も初体験は喜ばしくもあり、奇妙なものです(何の話)

どうしても初体験をしてしまうと調子に乗って味をしめだして、もっともっとと思うようになるのが人間のsagaですので、今回もね、前から色々と言わせて欲しかったあの人について2500字以上書いてしまいました。うっかり2500字を超える勢いで書くくらいなので、その偏愛っぷりを察して欲しいですよ。変な愛であり偏愛でもあります。わたしの場合、このねじ曲がった暑苦しすぎる愛を実の家族よりも推しに注ぐと言う行為をね日々行ってしまっている訳です。最寄りのおっさん(実オトン)より、画面の中のおっさんです。

しかし困ったことに、画面の中のおっさんをいつものように愛そうにも、ちょっと現実と区別がつかない事態に陥ったことがありましてね。それが今日紹介するおっさんです。画面越しで初めて会ったのに、初めてな気がしない、ずっといっしょにいたような懐かしい感覚。

「これってもしかして・・・・」
「私達・・・」

「「入れ替わってるとかそう言うことではなく、さっさと某おっさんの話をするよ」」


【おっさんFile.2:主人公のオトン(Netflix「マスター・オブ・ゼロ」)】


だいたいシンプル襟シャツ

襟シャツがどうのこうのというより、おっさんが着る襟シャツの隠せない「実家のオトン」もしくは「親戚のおじさん」みは何でしょうね。万国共通なんですかね。同じ襟シャツでも非現実的なイケメンが着ると、襟シャツもさぞ緊張してるのではと、襟シャツの気持ちになって考えてしまって居たたまれなくなりますが、おっさんの着る襟シャツは、ホーム感があります。実家のこたつ級に安心するホッと感。


オトン=オトン

役名はRameshさんという、主人公デフのオトン。たぶん、このドラマを観た人は「あ、名前あったん?」と言うくらい、彼の名前と言うより、オトンということで覚えていると思います。シーズン1の第2話から早速登場します。主人公はニューヨークに住む30代前半のインド系アメリカ人のデフ。役者をしながら生計を立てる彼の、仕事、恋愛、家族などなどを通してアメリカでの人生をミクロな視点で描く、エミー賞受賞ドラマがこの「マスタ・オブ・ゼロ」。おっさん関係なく観て欲しい珠玉のドラマなわけです。そんなドラマに出てるなら、さぞ、さぞ凄い俳優なのだとわたしは思った訳です。登場シーンから溢れる


「うあ・・・ウチのオトンを思い出す・・・この人の話をあまり聞いてない感じ」

「でも、ITスキルは高いな・・・iPad愛用してるとか・・・リマインダー設定してるとか結構おっさんにしては高度やぞ・・・」

「でもなんかおかしくなって壊れたってワーワー言ってるのもオトンっぽいよ・・・!娘&息子はだいたい一家のヘルプデスクやからな・・・手数料もらいたいな・・・」

とか、目の前で自分の家族を思い出して思いをめぐらし、電話ようかなと思わせるくらいのリアルなオトンみ。それもそのはず、デフ役のアジズ・アンサリの実父つまりリアルオトンらしく。リアルなオトンみではなく、単にリアルなオトンらしく。なんならオカンもリアルオカンが出ているらしく。そもそもリアルな両親出したところで、こんなにリアルさ出るもんなん?って言うくらい、アンサリ家を覗き見してしまった感があったよ。やるじゃないか、アンサリ父よ。


オトンが推しとなった日

このドラマを観ると、ほんと良くいるオトンというか、庶民的で、日常を切り取って作品にしたかのような、デフのオトン。面倒なことを言ってくるのも、不意になんかホロっとくるようなことをいうのも、だいたいオカンの尻に敷かれているのも、たまたまなのか、わたしのオトンと被ってて、悔しい。おっさん推しなわたしが、オトンを思い出すようなおっさんキャラを推すということは、じぶんのオトンを推すということであるので、自分のオトンを推しとして認めるかどうかの、どうにもやり場のない、無意味な葛藤を繰り広げる日々で、悲痛です。この「ひつうです」と言うことさえ、娘と父のこれまでの歴史の上での愛情表現の裏返しかと思うと、そうまでさせる、デフのオトンはほんと憎いしニクい。


ただの、ただならぬおっさん

そんな風に、散々身近に感じさせといて、油断させといて、「インドの貧困家庭で育って、工場で働いて金貯めて、学校に行って、お見合いで出会って数週間の嫁とアメリカに来て内科医として赴任するも、インド系の人いなくてなんだかハブられて、なんやかんや打ち勝って、子供産まれて自分が子供の時できなかったことを子供に全部与えようと努力しまくる父」みたいな、それだけで映画できるんじゃないかと思わせられるストーリーの持ち主で、ついつい推しへの偏愛が故に、素直に愛せず推しをいじりがちなわたしも、正座して心しておっさんの人生に思いを馳せてしまうのであった。てか、お見合い結婚のスケジュールタイト過ぎて凄い。

「マスター・オブ・ゼロ」はアメリカ人のデフを通して、人生についての疑問や悩みを一緒にさらけ出していくようなドラマ。コメディで1話30分と観やすい上に、コメディでここまで深い問いかけをさらっとしてしまう、テスト前に「勉強した?」ってきいたら「全然できてないよ〜〜〜(泣)」みたいなこと言いつつ蓋開けて観たらがっつり高得点撮ってる隠れ優等生みたいに、油断させといてがっちり結果を出してくるドラマで、こんなの作られたらもう敵わないなってクオリティだから気をつけてください。ハマるから。

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