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事実と愛を持ち寄る《フライパン相談会》から提案したい、売り買いの場づくり新フレーム

この記事を読んでほしい人

▶︎作る人へ:作ったものが目の前の生活や人生にほんとうに役に立っている実感が持て、本音が聞ける場をつくれます!
▶︎売る人へ:お客さんたちに満足して納得して買ってもらい、売り手もハッピーな手渡し方(販売ルート)は、場をつくることでひらけます!
▶︎買う人へ:こんな場を自給できます&こんな場が巷にあったらよくない?

場づくりとは機会づくり、関係づくり

場づくりの効能
人が複数人集まると、一人ではできなかったことができるようになる。
当然のことながら、自分の知識や経験や能力には限界があるからだ。一人ひとりが持ち寄って、ようやくできるようになる。

個人の内にとどめているだけでは発揮されないそれら固有のものは、「場」という機会をつくり、発揮されるよう促す仕組みをつくり、働きかけることで出やすくなる。共に体験したり、つくることで、関係も生まれていく。

目的を達成できるだけではなく、予期せぬ、豊かな副産物も生まれていく。

わたしは、そんな場の可能性について、日々生活しながら、はたらきながら、交流しながら、探究しているのだが、その中で一つ、忘れがたい場の経験があったので紹介したい。作り手と届け手と食べ手をつなぐ場づくりプロジェクトを考えることになった、原点の一つでもある。

さらに今、これは新しい場づくりのフレームになるはずだ!と確信を得たので、荒削りながらも、提案までしてみたい。
読んでいただいて、このような場づくりを仕掛けていきたい方は、わたしまでコンタクトしていただけたらとてもうれしいです。

皆さま、フライパンは何をお使いですか?

今から1年半前の2018年2月、わたしはFacebookの友達限定でこんな投稿をした。

この年、わたしは人生で何度めかの節目を迎え、衣食住から生き方を見直すことに取り組んでいた。片付けやスタイリングや美容や料理などに取り組むうちに、日々の暮らし、生活を大切に生きていきたいと思うようになった。

そんな流れで、使いづらいフライパンに文句を言いながら調理を続けるのではなく、一旦廃棄して、買い直したいと思うようになり、さらに、今買うなら「自分のパートナーとして、丁寧な関係を築きながら、日々の生活を共にしてくれる道具としてのフライパン」が必要だと思い至った。

自分なりのこれまでの知識や経験に加え、新たな検索ワードをかけながら、インターネットで調べてみて、だいたいの条件や候補があがってきたところで、この投稿をしたのだった。

これに対して、なんと14名もの友人知人がコメントを寄せてくれた。

寄せられた「こんなフライパンを使ってるよ!」コメント


▼有元葉子さんの「la base/ラ バーゼ」のフライパンは、そのままオーブンに入れられて便利そうです。
▼メーカーが不明だけど、魚焼きグリルに入れられるフライパン使ってるよ。持ち手が熱くなるから、動作のたびに鍋つかみが必要だけど。
▼私もまさに探してたとこ!ナイス!参考にします。
▼釜浅商店のフライパン24センチ。まだ3年しか使ってないけどヘタリなく、むしろ使い込んでゆくモノだから①〜③はクリア。柄は鉄だけど熱くないし、釜浅のはほどよく細いから持ちやすい。短所は重さ。わたしは28センチ使ってて1.6キロ…
▼鉄製でも良ければ柳宗理のフライパンがお勧めです。特に餃子を焼くのに水切りが便利なのです!
▼③10年使えることを重視するなら鉄のフライパンがよいのでは。最初のうちだけ手入れが必要ですが、馴染んできたらほとんどお手入れ不要です。
僕は無印良品の鉄のフライパンを11年使ってます。全く悪くなりません。
▼サイズが小さくなりますが、ニトスキはとても便利で絶対に買うべきです!
▼我が家はデンマークのスキャンパン(SCANPAN)と、ル・クルーゼのスキレットを使っています。あと、20センチのティファールも。SCANPANは強火はよくないようだけれど、一度温まれば、わざわざ強火にしなくても一気に調理できる印象があります。
▼うちは極の鉄フライパンを使ってました。しばらく使ったので手入れはずいぶん楽になったんだけど、やはり毎回油を入れるのが気になり、結局今はテフロンに戻ってます。油をしかずに焦げ付かないのはやっぱり楽。あと、ほんの少しの差だけど、重さ。またテフロンが使えなくなったら、極に戻るかなぁ。
▼私は職場の先輩がアサヒ軽金属のフライパンユーザーで、ずーーーっと気になり続けて、やっとここないだ楽天でポチりしました。なんか今はお得に買えるみたいです。たぶん5年以上悩んでた(笑)
▼リバーライトという鉄のフライパン使ってます!今、5年目ですが、使いやすくオススメです。ただ油は結構引いてます。慣れるまでは焦げ付きます。餃子を焼くときはテフロンの方が綺麗に焼けるので、使い分けてます。
▼鉄とテフロン二台を使い分けてます。鉄の方は22センチ極で、大学時代から使ってるので20年近く…?テフロンは消耗品と割り切ってパール金属の26センチを1年毎に買ってる感じです。フライパン2台って考えると贅沢な気がするんですが、大きいテフロンのほうは少し深さがあるので、菜っ葉を茹でたり、スープやカレー作ったりもするので鍋兼用。鉄の方はがんがん強火でガーッと勢いで作る炒め物とか、皮パリパリにしたいチキンソテーとか…やってみると結構用途が分かれますよー
▼私もちょうどフライパン検討中でした!そして私も鉄パンデビューしようと釜浅のを購入したのですが、いま半年待ちで5月に納品予定!そうこうしてる間に、今使ってるやつがもうボロボロで餃子がうまく焼けなくて困ってるので、テフロンか非テフロンでくっつかないやつを探し中です。
▼ちょうどウチのガス台下で、柳宗理が1コ錆びております。また使う気になるかどうかわからないけど、とりあえず磨き直してみるキッカケを頂きました〜
▼私は、32年前に買った鉄のフライパンを今も使い続けていますよ〜 片手中華鍋と、フライパン3サイズ。買い換えなくていいのが経済的です。
▼私は7個使ってるなー。ソースや炒るようの小物から、肉用の鉄、メインは28センチの浅いの深いのまで用途に合わせて。餃子、目玉焼きや、柔らかい魚料理などのテフロンはしょっちゅう買い換えていたんですが、テレビで急激に冷ますとテフロンが壊れると聞いてから、自然に冷めるの待って柔らかーく洗います。そしたら一年半以上こびりつきなしです。

*許可をいただいて掲載しています。
*「おすすめフライパン一覧」としてご紹介する意図ではありません。

もともとわたしは、SNSを「場」と考えており、特にFacebookに関しては、顔の見えている関係があるので、何を投稿する場合も、「場に出す」や、「自分発で場をひらく」を意識している。それでもこのとき、自分のふわっとした投げかけが、こんなにも豊かにふくらむとは想定しておらず、えらく興奮した。

一覧にすると一気にどどっと寄せられたように見えるが、実際は、コメントが入ってきて、都度わたしも考えて返しながら、ゆっくりとしたやり取りを楽しんでいた、という感じだった。

コメントをくれる方も、前の人のコメントを確認しながら、自分のフライパンを紹介してくれて、さながら公開の「フライパン相談会」のようになっていた。

《フライパン相談会》からわかったこと

1◆「場の真ん中」に来るものが、ありきたりのものであればあるほど、バリエーションの幅広さが見えてきておもしろい。
「フライパン」といっても、こんなにもいろいろなメーカーで、フライパンが出ているのか!用途に応じた、特徴や強みがあるのか!と知った。知っていたけれども、あらためて並ぶと壮観だった。写真や販売サイトのURLを貼ってくれた人もいた。

2◆情報の集積地+集う人の刺激と発見の場になっている。
自分だけではとてもこんなに探しきれなかったので、参考にするための「バリエーションと量」がありがたかった。さらに、まさに今フライパンを買おうと考え中の人、理想のフライパンを求めて何年も遍歴を重ねている人もいたし、すでに理想のフライパンと生活しているコメントをくれる人も、「参考になる、おもしろい」と言ってくれた。

3◆対話が生む効果。他者と「事実」のやり取りを繰り返しながら、自分の中にある答えを探してゆけた。
コメントに一件一件返しているうちに、わたしの中でほしいフライパンの像が少しずつ確かになっていった。最後にひとつ選んで購入したときには、とても深い納得感と喜びがあった。
わたしも投稿時には、①強火で使えて、②手入れが簡単で、③10年使える & 径24cmを基準として出してはいた。けれども、やり取りを通じて、さらに絞り込まれていく感覚があった。

絞り込まれていった点
・我が家は2人家族なので、それほど大量には作らない。
・わたしは何に使いたいのか、わたしはどんな料理をよくするか?おおまかに、焼き物、蒸し物、炒め物、オーブン焼きのうち、焼き物、炒め物の用途に使いたい。餃子と野菜炒めが基準。
・持ち手が熱くなるのは嫌。
・重いのは嫌。
・鉄のフライパンは憧れるけど「育てられるか」まだ自信がない。
・鍋は柳宗理を4つ持っていて、10年以上愛用しているが、柳宗理の鉄フライパンは上記の理由で手が出ない。
・まずはメインで使うフライパンがほしいので、セカンドやサードにあたる20cmフライパンやスキレットや中華鍋まで考えられないのが今の自分だとわかった。

4◆副産物のおもしろさ。固有の話だが、一人ひとりに個別に聴くのともまた違う、場で共有しているからこそ、出てきた話。
「フライパン」という日常に当たり前に使っている道具一つから、一人ひとりの生活や人生などが垣間見られたのが、楽しかった。フライパンという道具にまつわる「事実」から、好きや得意や大切にしていることが見えてきた。この眺めが美しく、おもしろい。これは全然想像していないことだったので、非常に心を揺さぶられた。日々使うその道具と、調理という日々のやり取りを通じて、強くしてきたその人の芯みたいなものを感じた。

副産物でいえば、この投稿をきっかけに、こんなすてきな作品も生まれた。

その投稿でのやり取りを、最後はわたしのこんなコメントで〆た。

フライパンのレビューサイトを見てたら、「包丁が切れて、フライパンが焦げ付かない、それだけのことでもストレスなくて、料理が楽しくできる。それは大事」と書いてあって、そうそうそうそう!って思いました。

悩み抜いた挙句、デンマークのスキャンパン (SCANPAN)24cmにしました。わたしは気分にムラがあって、料理するときはするけど、しないときはしない感じ。もともと料理がめちゃくちゃ好きっていうわけでもないから、24cmが1枚あればとりあえず十分と思い至り、大は小を兼ねてみました。

でも20-22cmぐらいの気軽なサイズの鉄のフライパンもほしくなって、無印良品か柳宗理で迷い中です。鉄でも小さければ気にかけてあげられるかなぁと思って。サイズ的にも、そういえば昔、姉の家に居候してたときに20cmのフライパンを一番使ってたいたなぁ、という記憶があって、次買うならぜったい20cmです。

皆さんの道具に対する思い出、思い入れや愛も感じられてよかったです。
ありがとうございました。

そのときに買った、SCANPANのフライパンがこちら。

1年半経った今も愛用している。少し重たいのだが、柄が銀色でスッキリとしたデザインが美しい。さすが10年保証、焦げ付かない。弱火〜中火にして温まるのに時間がかかるけれど、「一度温まればわざわざ強火にしなくても、一気に調理できる」というおすすめの通り、強火で調理したような、水分が飛んでパリッとした感じが出る。

満足しているおかげで料理が楽しくなって、今はもう一枚フライパンを買いたいと思っている。そのときには前にもらったコメントを参考にしたり、またあらためて「場」をひらいてもいいかなと思っている。

この購買行動に特徴的なところ

この経験の何がこんなに記憶に残っているのかなと振り返って考えてみる。
わたしも様々な商品を知って、比較検討して買いたくはあった。しかし、

・レビューサイトを見て、★の数やレビューを読んで判断したい
・すぐに役に立つ情報をできるだけたくさん得たい
・数ある中から、できるだけ賢い買い物、安くて品質がよいものを入手できる、間違いのない買い物をしたい

...というのとは似ているようで、途中から少し方向が違っていた。それだけではない、何か。

・専門的知識を持ったプロから、わたしにぴったりのものを見つけてもらう

というのとも違った。
例えば、この「フライパン展」はすごくいいと思った。たくさん揃ってて、頼りになるプロに相談できる。フライパンは種類が多いし、特徴もほんとうに様々だ。自分のニーズを聞き出してもらい、一緒に見つけることを伴走してもらうのはとても心強い。わたしも、もちろんそのようにして物を買うときがある。

しかし、あのときのわたしの満足感は特別なものだった。

あの投稿をして、いろんな人と、あれこれやり取りしながら、自分のこともふりかえりながら、結果的には、すごく自分にぴったりで、確かで、みんなの知を持ち寄ってもらって、その人の生活や人生も垣間見て、楽しくてあたたかくて、長持ちするものが手に入った......という感触があるのだ。

専門家一人からの意見ではなく、実際に使っている、多様な家族構成やライフスタイルを持つ人だからこそ参考になるコメント...。

また、買うつもりはない人にとっても、普段あらたまって話さない「フライパン」をテーマに話をするのは楽しい、と喜んでもらえていた。

さらに「自分のおすすめ商品が選ばれたかどうかは関係なく、せいこさんがフライパンを買うまでのプロセスに関わったことが楽しかった」という感想までもらったのだった。

売る、買う、届けるための新しい形

そんなことから、このような場は、フライパンに限らず、あらゆるものの開発や販売や流通の可能性をひらくのでは、と考えるようになった。

・従来の対面販売、実演販売、グループインタビュー、バイラルマーケティング、体験講座のどれとも違う販売の機会
・対象への関心が明確で、対話への意欲も高いので、購買につながりやすい
・自分が本当に納得して買うので満足度が高い
・購入者ではないが、それをテーマに話したい人も場を活性化してくれる
・購買者は何をほしがっているか、購買者はどのように使うか、そもそも「購買者とは誰か」を知ることができる。


ここまでのことを整理していくと、もしほんとうにこれと同じ場をひらくのであれば、考えるべき、最重要ポイントはこの4つだろうと思う。


ポイント1. どういう人が求めている場か(対象者の設定)

・自分の好き・嫌いがわかっていて、人に説明できる
・その対象物の購買履歴をふりかえることができる
・他者の体験や感想を比較・ジャッジせずに、「その相手にとっての事実」として自分のこととは分けて聞くことができる
・収納スペース検討済み、予算感あり
・主観、経験、感性、感情、知識、客観的データを駆使して選択する筋肉(習慣)がある
・人を介して、事物や事象とつながりを持つことを楽しむ
・意見の変更や想定外のことも楽しめる

*全員がこのような人でなくてもよく、約3〜4割がこのような人たちであれば、あとの6〜7割は、「よきしつらえのある場のよき体験」によって自然と目線が上がっていく。

ポイント2. 誰と何を目指す場か

販売と流通と購買の場所は、もっともっと一人ひとりの体験が持ち寄れて、双方向的でマトリックス的な「場」になり得る。
そこは、自分にフィットした、自分なりの価値が感じられる物や体験を各々が持ち帰ることのできる、新しい関係性の生まれる機会になる。
作る・届ける・買って使うを楽しみながら、大きくて豊かな循環(産業)をつくっていくことができる。

ポイント3. 参加者の満足とは何か

参加者はこのような人たちであることを踏まえて、場を設計する。
・「お客様」や「40代主婦」などのカテゴリ分けや、ラベリングを排した、名前をもった個別の存在としてとして尊重して扱われたい。
・何気ない自分の知識や経験で、しかも深い考察ではなくたんなる生活の事実を語ることで、他の参加者に役立つことを喜ぶ
・他の参加者と自分との違いに驚き、発見を喜ぶ
・いつもの自分の周囲の人間関係以外の人との新鮮な切り口での出会いを楽しむ
・生活者としても購買者としてもある程度の成熟があるため、一方的に知識を教わるだけの関係に興味がない。

ポイント4. ファシリテーターをおく

一人ひとりが話す機会をつくることや、その話に対して、応答したり、他の人の話とつなげる、ファシリテーションの技術をもって、場を設計し進行するファシリテーターをおく必要がある。
専門家がファシリテーターになる場合も、その専門知識を丸呑みしてもらうのではなく、その人自身に思索のきっかけを与え、参加者同士の交流と相互作用の中で、納得した選択をしてもらえるよう支援する。そして必要な分だけ知見を提供する、という立場をとれる人だ。

もともとの《フライパン相談会》は、「この場」だからこそ生まれた対話であり、結果であり、副産物ではある。つまり、言い出しっぺがいて(わたし)、あらかじめ関係性ができていて(友人知人)、場所と話し方が決まっていた(Facebook)からこそ起こり得たこと。

しかしこれをリアルの場所に持ち出して、関係性のないところから一から再現することは可能。それが場づくりだと考えている。

わたしと一緒に場をつくってみませんか?

書いているうちに、大長編になってしまいました。
長文を最後までお読みいただき感謝です。

今、こういうところまではわかってきています。
この先の探究は、この記事を興味深く感じてくださる方と、
 ①一緒に新しいプロジェクトを立ち上げます。
  ファシリテーションの提案、進行も担います。
 ②あなたがしたい場づくりのコンサルティングをします。
  あなた主催でつくれるよう、対面やZoomで相談を受けて伴走します。

...という形でご一緒できたらと思っています。

ぜひこちらへご連絡ください。お待ちしております。