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【読書感想文】現代思想2020年10月臨時増刊号 総特集=ブラック・ライヴズ・マター

 4月頃、BLMそしてBTLMのニュースを聞かない日はなかった。私はこのムーブメントをよくわかっていなかったが、興味だけは持ち続けて、ようやく重い腰を上げて行動に移した。この本を読むのは日本人には辛いかもしれない。しかし、それでも知る必要がある。

 まず私の興味を引いたのはBTLMという言葉だ。BLMが黒人の権利の運動だというのは誰もが知っているだろう。BTLMはブラック・トランス・ライヴ・マターのイニシャルを取ったもの。ここでいうトランスはトランスジェンダー、性同一性障害者や異性装をする人々のことだ。彼らは黒人とトランスであることで二重の抑圧を受けてきた。黒人権利運動だけではこぼれ落ちてしまう、様々なバックグラウンドを持つ人が拾われていることが、私は嬉しかった。

 BLMがはアメリカの運動である。日本で活動しても無駄と言いたいのではなく、アメリカという国の構造との戦い、というのを意識する必要があるからだ。そこでは植民地の歴史、奴隷制の歴史、内戦の歴史が複雑に絡み合っている。ここでBLMの掲げる警察の廃止が関わってくる。

 警察は内に向いた国家の暴力である。どこの国を見てもそうだ。警察は国内を自身の暴力でコントロールできなくなることを異常に怖がっている。特にアメリカは南北戦争という最大の内戦を経験しているため、その恐怖は強いだろう。それを打ち払うために、警察は暴力を増強し、暴力を行使して示威行動をおこなう。その時標的になるのは国内の異分子、黒人だ。つまり、黒人は警察によって不当に暴力を受けている。そして、暴力によって地位が貶められている。こんな方法で平和を達成できるはずがない、そうBLMは訴えかける。

 私はこの本を読んでいて頭に浮かんでいたのは、日本における在日外国人の人々のことだ。ネットで差別的な言論が撒き散らされているのは、誰でも見たことがあるだろう。また、在日外国人だけではない。日本に帰化した人、在日二世の人たちも、歩いているだけで警察官に呼び止められる、好奇の目で見られる、逆にいないものとして扱われるなど、差別的な対応をされている。BLMにインスパイアされ、そんな日本の構造も変わるべきでないだろうか。

 私はここまでBLMについて書いた。しかし、これは二次創作である日本人が書いた文を読んで書いた三次創作だ。だから、この文章だけではなく、もっと運動に近い文章を読んでほしい。この本にはBLMを行っているアメリカの黒人の文章を翻訳したものも載っている。

 追記 私は道で外国人とすれ違う時、まじまじと見てしまうことがある。すぐにそれは失礼だと目をそらすが、目をそらすのも失礼な気がする。私はまだどうすればよいのかわからない。

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