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樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版 書籍レビュー

 みなさんは、自己成長を行える読書術に興味はないだろうか?

 作家の樺沢紫苑氏は、AI時代の今こそ、読書の大切さ、有用性を感じていた(生成AI等の使いこなしに必要な文書力、読解力の向上には、読書が必修)。そして、自身が2015年出版した「読んだら忘れない読書術」(サンマーク出版、累計15万部のベストセラー)を、「読書脳」として再版し、改めて、読書の有用性、自己成長を行える読書術を世に問うた。当時、この本の前後で、読書術の本の主流が、「速読」「多読」から、「アウトプット読書」に変わった読書革命本である。

 初めに、著者の樺沢紫苑氏に触れる。樺沢氏は、精神科医、作家。国内で精神科医を務めた後、アメリカに留学。帰国後、個人がメンタル疾患の患者を治療することにより救うことが出来る人々の数に限界を感じ、「情報発信によるメンタル疾患の予防」をビジョンとし、活動を始める。現在は、SNS、メルマガなどのフォロワーは累計100万人、著書45冊、累計230万部のベストセラー作家である。

 それでは、本書の概要を記す。

 本書は、
〇なぜ、読書は必要なのか?読書によって得られる8つのこと
〇「読んだら忘れない」読書術 
〇 効率的で記憶に残る読書術の「HOW TO」
〇本の選択術

を主なテーマとして書かれている。

 まず、”なぜ、読書は必要なのか?読書によって得られる8つのこと”
について。

 著者は、”読書は人生に大切なもの全てを与えてくれる”と語る。

あなたの人生で大切なものは何でしょう。「健康」「お金」「時間」「人(つながり)」「自己成長・自己実現」・・・。
読書はこれら全てを与えてくれます。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

そして読書によって得られる8つのことを説明する。

〇結晶化された知識

 「単なる知識」ではなく「結晶化された知識」。単なる羅列された文字情報ではなく、実践可能、応用可能で行動につながり、10年たっても風化することのない「結晶化された知識」を得られるのが「本」なのです。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

〇時間

 本には、何千人もの成功体験と何千人もの失敗体験が載っています。ありとあらゆる成功事例と失敗事例の集大成が本といえます。(中略)
他人の体験を参考にすることで、自分がゼロから行う試行錯誤を全て省略できます。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

〇仕事力

 インターネットの時代では、「文書力」は絶対不可欠な「仕事力」だといえます。そして、「文書力」を鍛えるほとんど唯一の方法は、「たくさん読んで、たくさん書く」ことなのです。本を読まない。文章も書かない。それでいて、文書力を鍛えることは不可能です。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

〇健康

 本に書かれている通りの方法を忠実に実践すれば、ほとんどの場合、悩みは解決するか、すくなくとも軽減するはずです。(中略)
 「どうしていいかわからない」状態において、最もストレスが強くなる。
対処方法、解決方法を調べて「なんとかなる」(コントロール可能)とわかっただけで、状況は全く改善していなくても、ストレスの大部分はなくなるということです。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

〇頭が良くなる

 読書は私たちを「物知り」にしてくれるだけではありません。読書によって「自頭が良くなる」「知能が高くなる」「脳が活性化し、脳のパフォーマンスが高まる」ということは、多くの脳科学研究が示してします。(中略)
読書によって、情報や知識が増えるだけではなく、「言語能力」自体も磨かれるので、結果として本を読むことで「頭が良くなる」ことは間違いないでしょう。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

〇人生における変化

 自分が「変わる」。自分を「変える」。自分の未来を「変えたい」と思うなら、とりあえずすべきことは読書です。
 自分の頭でいくら現状を打開する方法を考えても、限界があります。しかし、「本」を読めば、何千、何万人もの先人の知恵を借用できるのです。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

〇成長

 読書の最終目的は何でしょうか?(中略)一言でいうと「自己成長」です。(中略)「自己成長」が促進され、「考え方」だけではなく、実際に自分の「行動」が変化し、自分をとりまく現実が少しでも良くなるような読書をすべきなのです。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

〇喜び

 ただ楽しみながら読むだけで、記憶に残り、学びも大きく、自己成長につながる。「自己成長」を目的にしない方が、結果として猛烈な自己成長につながるのです。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

次に「読んだら忘れない」読書術。

〇10年たっても忘れない~「記憶に残る読書術」
 
始めに、脳が「重要な情報」と判断し記憶に留める基準を、脳科学的観点から「何度も利用される情報」と「心が動いた出来事」であることを語り、読書した内容を、1週間に3回アウトプットし、その情報を記憶に定着させること進める。
 また、「自己成長につながる気づき」や「自己成長に役立ちそうな言葉」があれば、どんどんラインを引き、気づきを書き込むことが、本の内容を記憶に残し成長を最大化する上で大切と説いている。
 そして、筆者が実践している、本の内容を記憶に定着させる「アウトプット読書術」を紹介している。

①本を読みながら、メモをとる、マーカーでラインを引く。
②本の内容を人に話す、本を人に勧める。
③本の感想や気づき、名言をTwitterでシェアする。
④Twitterやブログに書評、レビューを書く。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

〇効率的に読書する~「スキマ時間読書術」
 読書が出来ない理由を時間がないと述べる多くの人に対し、筆者は、スキマ時間(通勤時間、電車の待ち時間、ランチで食事が出てくるまでの時間等)の有効活用を提唱する。
 そして、人間が極めて高い集中力を発揮が15分であることからも、スキマ時間の活用の大切さを指摘している。

 人生の一割に相当するスキマ時間を「浪費」に使うのか、「自己投資」に使うのか。この時間の使い方次第で、あなたの人生は変わります。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

〇「速読」より「深読」を意識する~「深読読書術」

 最低限「内容を覚えている」「内容について議論できる」という「読書の質」を担保できなければ、どれだけ早く読んでも意味がないのです。(中略)本を読む以上、それが自分の血となり肉となるような読み方をしなければいけません。成長の糧にならないような浅い読み方では、意味がないのです。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

次に、効率的で記憶に残る読書術の「HOW TO」

〇目的地を把握する~「パラパラ読書術」

 最初に、以下、目的で、本全体をパラパラ読みをする。

①全体を把握する
②本を読む目的を設定する
③「速読」か「精読」かを決める
 つまり、本を読み始める前に、ゴール(目的地)と行く方法(読み方)を決めるというわけです。(中略)本を読む速さもアップし、その本からの学習効果も高まる。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

〇知りたい場所を先に読んでしまう~「ワープ読書術」

 まず、「この本で一番知りたいことは何か」を考えます。
 そして、その知りたい部分を先に読んでしまう。まず、本を開いたら、目次を見て、一番知りたいことが書かれている部分が何章にあるのか目星をつけて、その「結論」が書かれていそうなところに、いきなりワープします。
 そのページを読んでさらに知りたいと感じたところ、深堀りしたいところ、疑問に感じたところがあれば、再度目次などで目星をつけて、そのページにワープしていきます。
 このように何回かワープを繰り返していくと、その本で一番知りたい部分の要旨がわかります。(中略)
 最初に「目的地」をだいたい把握しておきます。そうすることで、何倍も早く目的のページに到達することができるのです。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

 最後に本の選択術。

〇ホームラン級の本との出会いが圧倒的な成長を引き起こす

 読書は「たくさん読む」よりも「何を読むか」のほうが、10倍重要です。(中略)「たくさん読む」のではなく、「どの本を読むか?」にフォーカスし、1冊1冊を真剣に選んでいく。そうすることで、真の自己成長につながる「ホームラン本」と出合う確率を飛躍的に高めることができるのです。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

〇今の自分のステージに合った本を読む

 情報も知識も、今の自分に必要なものを集め、吸収すべきなのです。(中略)自分がその分野で「守破離」のどのステージにいて、どこを目指すのか。そこを見極めた上で、自分が買おうとする本が「守破離」のどの部分を重点的に説明しているのかを照らし合わせれば、あなたにとって「最も必要な本」が自ずと明らかになります。(中略)自分のステージにあった本を読む。それだけで、自己成長は何倍も加速します。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

〇人が推薦する本を読む

「なりたい人」の本、「なりたい人」が勧める本をチェックする。(中略)
 あなたには「この人のようになりたい!」という人がいますか?「心から尊敬できる人」「憧れの人」「目標にしたい人」でもいいです。
 思い浮かべたら、まず、その「なりたい人」が書いている本を読みましょう。それがおもしろいかどうかは別にしても、あなたが「その人のようになる」ための成長の糧になることは間違いありません。
 次に、あなたの「なりたい人」が推薦している本を読みましょう。それは、その人が成長していく過程で役に立った本。その人にとっての「成長の栄養剤」となった本ですから、その人のようになりたいあなたにとっても、プラスの効果を発揮することは間違いありません。(中略)
 「どの本が勧められているか?」よりも、「誰が勧めているか?」が重要だということです。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

〇ベストセラーやランキングに頼らない

 「ベストセラー」ではなく「自分が読みたい本かどうか」が大事。
 ベストセラーかどうか、売れているかどうかだけに惑わされず、「自分が読みたい本」「自分に必要な本」を厳密に見極めて、それを読むべきだということです。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

 以上が本書の概要である。

  本書を通じ、私が印象に残ったポイントは、

〇読書の有用性を言語化してくれていること。このポイントを頭において読書を行うと、自分の自己成長に繋がる読書が出来ると感じた。

〇アウトプットを前提として、読書を行い、実際にアウトプットを繰り返すことが、成長の糧となる。

〇筆者の”読書は人生に大切なもの全てを与えてくれる”は、読書好きには、嬉しい金言。

である。

 本書には、電子書籍の活用の仕方、筆者のおすすめ本31冊等、筆者の読書術のノウハウがふんだんに語られている。読書を通じて、自己成長を加速したい方には、一読をお勧めする。

 最後に、筆者が、おわりに記した文書を紹介する。

 あなたの将来には、無限の可能性が開けています。しかし、あらゆる可能性を実現するためには人生の選択肢を増やす必要があります。あなたの人生の選択肢を増やしてくれるのが、「本」です。
 読書を習慣にして、本から得られた「気づき」をきちんと実践していけば、自己成長が加速します。あなたの「自己成長」は、もっともっと速くなります。今の何倍もの速さで「自己成長」できるようになります。
 それによって、あなたの将来は、「希望なき未来」から、希望と可能性と輝きにあふれた「幸せな未来」へと変えることができるのです。
 自分一人の力で人生を変えようとするから、多くの困難に直面し、うまくいかなくて悲観し、絶望するのです。一人の人間の経験や知識はちっぽけなものです。しかし、読書によって、先人、偉人たちの「2000年以上の叡智の結晶」の力を借りれば、不可能なことなどなくなるでしょう。
 少なくともほとんどの問題の対処法は本に書かれているわけですから、後は本を読んだあなたが、それを実行するのか、しないのか。それだけです。
 読書は、「最後の切り札」です。
 あなたの人生を変える、最後の、そして「最強の切り札」。

樺沢紫苑「読書脳」サンマーク出版より

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