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私が自宅出産を選択した理由③

毎月3日はお産の日。

今回も前回の記事に続き、自宅での健診の様子を書いていく。




「出産は生活の一部であり、病気ではない。」

まだ、ピンと来ない言葉ではあったが、この言葉はこの後、あらゆる場面で何度も実感することになった。


初診では、自宅で分娩に挑む家族の動画を見せてもらった。出産シーンを見るのは初めてのことで、自然と涙が溢れていた。正直、この涙の意味はよく分からない。こうやって生まれるのかー!という驚きと期待、感動、恐怖もあったと思う。頭が情報を整理できず流れた涙だと推測する。
これまで、分娩台で出産するイメージが強かったが、動画の中では、好きな姿勢で出産をしていた。家事をしていて陣痛が来て、「ここで産む!」と産んだ方もいたくらいだ。そのとき、助産師は慌てることなく妊婦の思いを聴いて、出産の準備とケアをしていく姿が動画には映されていた。旦那さんが献身的に寄り添い、旦那さんに捕まって産む方もいた。こんなに自由でいいんだ。

私は、どんなお産をするのだろう…。このときは、助産院で産むつもりでいたため、自宅で産むことになるとは思っていなかった。


動画を見せてもらった後、模型を使って、どの位置に子宮があるのか、どこまで大きくなっていくのか教わった。旦那さんも一緒に聞いて、「へぇ〜!」とか「おぉー!」とか体の仕組みに感嘆の声をあげていた。

急速に大きくなっていく子宮と共に骨盤も開いていくことを教わり、毎日のケアが重要であることが分かった。子宮が丸い形でいることは、赤ちゃんの心身の発達に影響する。無理があると子宮の形も変形し、赤ちゃんは自由に動き回ることができないそうだ。骨盤の歪みを減らすために、そして赤ちゃんにたくさん酸素を送るために、「操体法」というケアの仕方を習った。「操体法」は、簡単なストレッチと呼吸法である。誰しも体の左右差を感じることがあると思うが、得意な(心地よいと感じる)方向をたくさん動かすことで苦手な(不快感のある)方向も連動して動くようになるという考え方である。そして、体への負荷はなく、無理なく継続できる動きである。
これは、私の仕事である「特別支援教育」の考え方にとてもよく似ていて、親近感を覚えた。「特別支援教育」の根底にあるものは、苦手なことに注目するのではなく、得意なことを見つけて伸ばし、苦手をカバーしていくことにあると思う。私たちの体も同じであった。得意を高める考えは、きっと無理がなく自然なことなのだろう。

操体法で体がほぐれたところで、赤ちゃんの様子を見てもらう。斉藤さんは、お腹を触りながら、「こっちが頭でこっちが背中。」と赤ちゃんがどのような姿勢でいるのか教えてくれた。「触っただけで分かるなんて!」と、また驚いた。


自宅での健診となると、エコーが見られないのではないかと心配になるだろうか。私もエコーは無理かなと思っていたが、なんと!エコーの機械を持って来てくれるのだ。心音も聞くことができるし、動画にも収めることができた。子宮も丸く、良い形と言われ安心した。赤ちゃんは、自由に動き回っていたかと思うと、すぐに眠った。

健診の度に赤ちゃんの様子が分かるエコーは私も楽しみの一つであった。しかし、エコーは電波を使うため、赤ちゃんへの影響がないとも言えない。調べると発達障害の原因になることもあるという論文もあった。斉藤さんは、そのことを知っていて適切なタイミングでエコーを使ってくれたように思う。(もちろん、私たちの意見を最優先してくれたが。)いつでも赤ちゃんを大切に扱ってくれる健診がとても嬉しかった。



この健診では子宮の形を褒められた私であったが、いつもその状態をキープできていたわけではない。一時は良くない状態に陥った。気をつけていたのに…というのは、妊娠中から出産後の今までしょっちゅうある。次回は、最初の「気をつけていたのに…」が訪れたそのときの様子を書いてみようと思う。
自宅出産を選択しても病院出産を選択しても、妊娠出産は予期せぬことが起こりうる。もしも、あのときあぁすれば良かったと思うことがあったとしたら、きっとみんなもそうだから、自分を責めないでほしい。世の中は情報に溢れているが、偏っているため、知らないことで辛い思いをすることもある。これまでポジティブな側面を伝えてきたが、美談だけではない、リアルを伝えることができたらと思う。


④へ続く…。

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