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頭突きの果てに

ここ最近、次男が癇癪を起こすことが増えた。
先月の後半からは毎日のように癇癪を起こし、床に頭(前頭部)を打ち付け私に頭突きした。

時には学校で癇癪を起こし、私に執拗に頭突きを繰り返すこともある。
そんなときは担当の先生が次男を抑えて私を逃がし、その隙に興奮を鎮める頓服薬を取り出して次男に飲ませる。
興奮しすぎているときは薬を飲んでもなかなか落ち着かないが、少し時間を置くと猛獣みたいだった次男の目が穏やかになる。

そんな癇癪を起こしたとき、天気痛予報を見ると真っ赤な警戒マークがついていて、なるほどこれは次男もツラいのかもしれないと思う。
本当の原因は違うのかもしれないけど。

いつだったかは、とーちゃんが自分で食べる用に買ってきた激辛カップ麺を次男が食べてしまい、「カライ、カライ」と言いながら私に頭突きしてきた。
私に頭突きしても辛さは弱くならないのに。


そして先週の日曜日。
夕食を食べ終えて家族で雑談をしていたら次男がやってきて、私を玄関ホールに連れ出した。
何だか様子がおかしい。
次男は泣きながら私に頭突きをした。髪も引っ張っている。
あまりの痛さに悲鳴を上げると、その声の周波数が次男のスイッチを入れてしまったのか、頭突きが激しくなった。
これではいけない。声の周波数を変えなくては。

次男は小さい子の泣き声や甲高い声が苦手で、聞くと不機嫌になる。
その不快さを解消してもらおうと私を頼るのだが、私がどうこうできる問題ではない。ひたすら次男のパニックがおさまるのを待つだけだ。

「次男君、やめなさい」
思いきり声を低音にして次男に頭突きをやめるよう言ったが、ヒートアップして文字通り我を忘れている次男には届かない。

私の悲鳴を聞いて、じーちゃんがやってきた。
「これ、次男、やめれ」
次男の頭を軽く叩いたようだったが、次男には効かない。
「次男君、やめなさい」
とーちゃんが止めに入ったが、次男には効かない。
長男もやってきて次男の体を抑えた。
「お母さん、逃げて」
逃げようにも、なかなか動けない。
その間に、また次男が髪を掴んで引っ張る。頭突きする。

なんとか逃げ出してトイレの個室に入った。
こういう時は、次男と物理的に距離をとるしかない。
次男の興奮がおさまるまで待つしかない。


頭を何度も頭突きされて、あちこちにたんこぶができた。
保冷剤を3個タオルに包んで頭に巻いて冷やしてみた。
髪を洗うのも、枕に頭を付けて寝るのも痛い。
感情に任せて、日曜の夜だというのに以前教えてもらった支援相談員さんにメッセージを送ってしまった。



近々、相談員さんが我が家に来て相談に乗ってくれることになった。

翌日、次男と学校に行き、初めは順調だったものの何がきっかけか分からないが次男が豹変した。
担任の先生が見ている前で頭突きや髪引っ張り。
前夜の次男の荒れっぷりについても話していたので、すぐに次男との間に割って入って抑えてくれた。


次男が利用している放課後等デイサービスに行った。
次男に「ここはボクの居場所」と認識してもらうために、もともとの利用曜日に合わせて訪問している。
次男は車から降りようとしなかったので、職員の方に手短に挨拶した。
「あれ?お母さん、どこか具合悪いですか?」
連日次男の頭突き攻撃を浴びて疲れ切っていたので、よほどひどい顔をしていたのだろう。
正直にここ最近の次男の様子を話した。


デイサービスを後にして日用品や次男のおやつを買って家に帰ると、家の前でデイサービスの職員さん2人が待っていた。
「これは緊急事態です。次男君のお母さんに対する思いも理解できるしお母さんが次男君を大切に育てているのも分かっています。でも、何よりお母さんの健康が大切です。地域の福祉関係の機関センターに報告しました。早急に対策を考えた方がいいと思います」
「まず、頭の怪我の診察を受けてください。脳に何かあったら大変ですから」

話が急展開過ぎて理解が追いつかない。
次男を入所施設に入れろということなのか?
学校を卒業したらいずれは…と思っていたが、今のタイミングで?
そもそも受け入れられる施設ってある?
学校はどうなる?そのまま通える?転校?退学?

いろいろ考えすぎてクラクラしてきた。
とりあえずすぐにできることは、私が頭の怪我について診察を受けることなので、以前転んで頭を打ったり次男から酷い頭突きを受けたときに受診したことのあるクリニックに行った。
頭蓋骨の骨折や脳の出血等損傷はないが、頭の周りは皮下血腫だらけ。
CTの画像を見て担当医が「ここも、あらここも、うわー、コブだらけだね」
「脳は今のところ大丈夫だけど、(服用している薬)の影響で出血しやすいから、気を付けてね」

現時点でできることは、痛かったら痛み止めを飲むこと。
痛み止めは、夏に骨折したときにもらったものが残っているのでそれを使うように言われた。


相談員さんとデイサービスに、受診結果を報告した。
「次男君のお母さんに迷いがあることは痛いほど分かります。私も母親ですから。でも、お母さんが健康でいないと、次男君を大切に育て続けることは難しいですよ。今回の受診は、お母さんの行動の第一歩です」


ひとに自分を肯定してもらうって、なんて安心するんだろう。
私には、味方がいる。
次男のことでひとりで悩む必要はない。
いろいろ相談したり情報をもらったりして、これからの次男のことについて考えて進めていきたい。



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