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DeFi入門 (8) Web3ウォレット(メタマスク)

おはようございます。🐤

年末年始のお供に、と考えて作ったDeFi入門も、早や最終日となってしまいました。

僕はDeFiの本も書いているくらいだから、そこから引用というか丸写ししたらいいや、くらいに思っていた内容は、ほぼ全面的に書き下ろしという結構たいへんな作業となりました。

それでも、僕の大好きな誰かを想定して、その誰かに伝えようと考える作業は楽しくもありました。世の中の人たちにDeFiの魅力が伝わればいいなと思います。

それでは最終日、はりきっていきましょう、テーマはWeb3ウォレットです。ウォレットはDeFiだけではなくNFTを扱うにも必須なので、基本を知っておいて損はないです。

ウォレットに関する誤解

Web3ウォレットの代表はメタマスクで、イーサリアムやPolygonなどのブロックチェーンにアクセスできるツールです。他にもSafePalなどがあります。

Web3ウォレットの「Web3」とは、Web1、Web2に続く新しい時代のWebという意味で、ブロックチェーン技術を使った分散型のウェブのあり方を言います。

ウォレット(財布)という名前からは、この中に暗号資産が入っている、と考えがちです。しかし現実は、あなたのパソコンの中やスマホの中に暗号資産が入っていないのはもちろん、ネットワーク上にあなたの暗号資産が貯まっている場所もありません。

現実は、ネットワーク上にあるブロックチェーンという公開された台帳の上に、あなたの資金の取引記録が書かれているだけです。ウォレットアプリはそれを読み取って、残高を計算し、表示しています。

これはほんとうに幅広く誤解されていることで、どっちかというと誤解の方が正しいみたいになって、多くのウェブサイトがこの誤解を前提に説明をしているため、さらに誤解が促進します。例えば「メタマスクに資金を送金する」とかが代表的な誤解です。

言いたいことはわかるので、こちら側で変換してスルーすることはある程度できますが、イーサリアム上のアドレスに送金するのかPolygonのアドレスに送金するのかがあいまいだと危険です。

ブロックチェーン(再び)

2日目で出てきたブロックチェーンは、インターネット上にある公開された台帳です。

例えばビットコインでは平均10分に1つのブロックが、イーサリアムでは平均15秒に1つのブロックが新しく作られています。ブロックの中にはシステムが開始してから現在までの全ての取引が記録されていて、全体として一つの台帳になっています。

つまり、とてつもなく大きくぶ厚い通帳がインターネット上にあるようなイメージです。それは世界中の誰もが見れるように公開されていますが、暗号技術によって自分の資産は自分にしか操作できないように守られています。

イメージ図

Web3ウォレットの概念をできるだけ正しくイメージにすると、次のようになります。

図の上の2つはブロックチェーン、下がウォレットです。

まず、イーサリアムで取引された記録は、誰でも読み取ることができます。過去の自分の取引も誰でも見れるようになっています。そして一度確定した記録は、誰にも変えたり取り消したりすることはできません。

ユーザーは、新しい取引をブロックチェーンに記録することで、自分の資産を操作できます。これには秘密鍵が必要で、自分の資産は自分しか操作することができません。

ウォレットアプリはこの秘密鍵を管理するもので、ウォレットの中には1つまたは複数の秘密鍵(アカウント)をもつことができます。

ウォレット内の全てのアカウントは、シークレットリカバリーフレーズ(シードフレーズやニーモニックとも言います)という大元の種みたいなものから生成されるので、これさえ失くさないようにすれば、もしPCが壊れたりスマホを無くしたりした時にも、全てのアカウントを再生することができます。

なお、EVM互換といって、イーサリアムと互換性のあるPolygonやBSCなどのブロックチェーンでは、秘密鍵が共通になっています。便利ですが、一つハッキングされるとすべてのブロックチェーンの資金が失われるので、気をつけないといけません。

ウォレットに表示されるトークン

ウォレットアプリは、ブロックチェーン内の自分のアドレスに関する記録を読み取り、それら全ての取引の結果を合計して残高を表示します。

なお、メタマスクに表示されているトークンは、自分が所有しているトークンの一部であり、表示させるためには自分で登録する必要があります。

ちなみに、自分が所有しているすべてのトークンを見たい場合は、PolygonScanなどで見ることができます。メタマスクの「その他」のマークから、「View Account in Explorer」をクリックし、PolygonScanなどで自分のアドレス(アカウント)の詳細を表示します。(BSCならBSCScanが、イーサリアムならEtherScanが表示されます)

ブロックチェーンが可能にすること

ブロックチェーンの世界というのはとても革命的で、これまでできなかった次のようなことができます。いや、企業間とか企業内のサービスを使えばこれまでもできたんでしょうけど、「個人と個人が」「公共のサービスで」次のようなことができるようになったのがとても大きいです。

  • 世界中の人に安価、確実、瞬時に送金(受取りも)できる

  • 資金の動きや契約をプログラム化することができる

これにより、今すぐにでも僕はあなたに送金することができますし(しませんけど)、あなたは今すぐ「0x400….284cc」という僕のアドレスに送金することもできます(ぜひお願いします)。

将来的に、とかではなく、もうそれができるのです。たとえあなたがシンガポールにいても、北米にいても、世界中のどこにいてもです。

世界中のどこでも可能なんですから、もちろん日本のお店で使うこともその気になれば可能です。

イーサリアムのSUSHIトークンで支払いできる「銀座渡利」さん

BSCのCAKEトークンで支払いできる「PancakePay」さん

Web3ウォレットさえあれば、今すぐにでも誰にでもどんなお店でも暗号資産による支払いは導入可能であるというところに震えます。そして、クレジットカードやPayPayのような利用登録は必要ありません。ウォレット1つあればOKです。

PayPayは無料、クレカも無料、DeFiはガス代がかかるから負け、はい論破~

ふははバカめw

…おっと、失礼しました。ナイス煽りありがとうございます。
世の中に無料のサービスなんてなくて、PayPayもクレカも店舗側がお金を支払っているし、広告主からお金がでているのです。

DeFiは正味の利用料金です。イーサリアムはめちゃ高く感じますが、よく考えてみたら海外に送金できると思えば安いです。しかも、ガス代の高さは常に議論されていて、今後解消されていく見込みですし、今すぐにでもPolygonを使えば安いですよ。1円程度です。

クレカの手数料は3%~5%程度なので、100万円のものを売れば店舗側は3万円以上の手数料を支払う必要がありますが、Polygonであれば一律で1円です。考えてみたら当たり前じゃないですか、少額でも高額でも同じ手間なんだから。今までは何だったんでしょうね。

注意点(あなたの資産の安全のために)

というわけで、これからDeFiやNFTだけではなく、どんどんブロックチェーンの利用の広まりとともにWeb3ウォレットの利用も促進されていくと思いますが、実はこれが良いところばかりではなく、とてつもない欠点を抱えています。

取引履歴が公開されている

これは、そもそものお話なのですが、あり得ないです。通帳を他人に見えるところに置いておくなんて、恥ずかしいし、危険だし。
あなたの資産額も、あなたが資産運用に失敗したことも、エロNFTを買ったことも、すべて世界中に公開されています。

というものの、「このアドレスは僕のです」と公開しない限り、あなたのアドレスとわかるわけではないことに加えて、複数アカウントが持てたり、「匿名送金サービス」もありますので、そこまで気にしすぎることはないのかもしれません。

Twitterの裏垢がどこの誰なのかバレないのと似ています。

パスワードを忘れたら一巻の終わり

ブロックチェーンの世界は、銀行や証券会社のようにあなたの資産を守ってくれません。愕然とするほどの冷酷さがそこにあります。

  • パスワードを忘れたら終わり

  • シークレットリカバリーフレーズを失くしたら終わり

  • 送金ミス、操作ミスは絶対に誰にも取り戻せない

  • DeFi上でトラブルや盗難が起きても警察などは助けてくれない

質疑応答

だいたいWeb3ウォレットについて伝えたいことは以上ですので、また恒例の「勝手に質問を考えて勝手に回答する」コーナーをやっていきたいと思います。

ポリゴンをアレしたのに、メタマスクにアレされません

超よくあるあるある質問です。

何度でもやりましょう。(人の力を借りて)
チビ画伯ママさんによる、Polygonの売り上げ(Polygonネットワーク上のETH)をメタマスクに表示させる方法です。とても丁寧でわかりやすいので、こちらをどうぞ。(チビ画伯ママさんありがとうございます)

より汎用的なやり方を少しだけ補足しますと、例えばPolygonならPolygonScanがあるように、各ネットワークに「なんとかScan」という自分のアカウントの取引履歴表示サービスがあります。

上の画像のこのところを見ると、自分の持ってるトークンが確実にわかります。そして、メタマスクに表示させたいトークンを選択して、コントラクトアドレスをコピーすると、メタマスクの「トークンをインポート」(Inport tokens)でトークンを表示させることができます。

PolygonにあるETHが送金できません

Polygonで資金を送金とか、何か操作するには手数料が必要で、その手数料はPolygonの基軸通貨「MATIC」で支払う必要があります。だから、ウォレットにMATICを少額(0.1ドル程度で十分)入れておく必要があります。

PolygonにETHを持っているなら、それをMATICに交換することができます。しかし、交換するにも手数料がかかるので、普通の交換所では交換できません。

DfynというDEX(分散型取引所)では、ガスレスモードといって、ガス代がなくてもトークンの交換ができるので、そこを利用させてもらいましょう。

DFYN Exchange

そして、Polygon⇒日本円にするルートは、こちらのブログが詳しいのでこちらをどうぞ~。

まとめ

というわけでWeb3ウォレットについて書いてきました。

ウォレットのイメージは、中にお金が入っているのではなくて、ブロックチェーン上の自分の資金を操作するための秘密鍵が入っているんですよ、というお話です。

すぐに役にたつかわかりませんが、これを認識しておくとトラブルの時に落ち着いて対応できると思います。

そしてWeb3ウォレットが可能にする未来について少しお話しました。Web3の未来を思うと希望で震えます。クレカが消えますね…PayPayは残るかもしれません。僕はそう感じています。

また、良い点ばかりじゃなくて、デメリットも見ていきました。自分の取引履歴が公開されていることは、よく考えたらクレイジーです。また、ひとつのミスが大金を失うことになるのは本当に怖いことです。別の意味で震えます。

さて、今日の内容は以上です。

また、8日間にわたってDeFi入門と題してやってきたことについても、今日でおしまいです。どうでしょう、楽しかったですか? 何かためになったことはありますか?

もし何かお役にたてていたら、こんなにうれしいことはありません。

それではまた、DeFi~(@^^)/~~~

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