2022年度の宅建試験合格した時の勉強法

背景

 2022年度の宅建試験に40点(くらい)で合格した。宅建を受けた経緯は割愛するが、理系出身で不動産業にもかかわっていないので、民法、宅建業など、ほぼゼロスタートだった。
 ちなみに、2021年度12月試験を2点足らずに不合格になっている。当時の過去問道場での正答率は65%程度だったので、勉強方法が間違っていたというより、単純に勉強量が不足してたと思っている。

分野ごとの目標

 勉強するにあたって、配点、試験範囲や過去問を見て考えた。宅建士試験は1問1点の50点満点で、試験後に安心するには8割近くを取らないといけない。目標としてひとまず40点を設定した。
 毎年確実に出題される範囲を調べ、目標点のブレークダウンを行った。まずは、出題範囲と点数は次のようになっているようだ。

  • 権利関係(14点)

    • 民法(10点)

    • 借地借家法(借地)

    • 借地借家法(借地)

    • 登記法

    • 区分所有法

  • 宅建業法(20点)

    • 宅建業の要件(1点)

    • 宅建業免許、宅建士登録(3点)

    • 事務所(2点)

    • 営業保証金/保証協会(2点)

    • 媒介契約(1点)

    • 35条書面/37条書面(5点)

    • 自ら売主時の8種要件(クーリングオフ、特定住宅瑕疵担保)(2点)

    • 広告規制(1点)

    • その他

  • 法令上の制限(8点)

    • 開発許可

    • 国土利用計画法

    • 農地法

    • 土地区画整理法

    • 宅造法

    • その他

  • 税法その他(8点)

    • 地価公示/不動産鑑定基準

    • 住宅金融支援機構

    • 不当景表法

    • 統計

    • 土地

    • 建物

    • 固定資産税/不動産取得税

    • その他

 権利関係の民法10点の配分については、固定のようだが、宅建業法の各出題範囲については、±1問程度ゆらぐ。出題が安定しない分野はその他とした。平均的に8割とるには、配点の高さからいって、宅建業法と権利関係は当然落とせない。宅建業法は満点を当然とるつもりで、権利関係も8割を狙うようにした。残りの法令制限&税法分野は、確実に出題される範囲(その他以外)を8割がた得点できるように準備した。これらを「ひとまず40点(宅建20+権利11+法税9)」を狙うための目標とした。

全体的な勉強の進め方

 ゼロベースで始めた勉強は、まず「基礎の理解」「正答率の向上」、「未知問題対応」に分かれると思う。
 2021年度の本当のスタート時は、まず過去問を解かずに読み、雰囲気をつかむところから始めた。どのような問われ方かを知ったうえで、宅建試験向けのテキストを一通り最初から最後まで全部読んだ。ちなみに、ノート等の整理は私はまったく行わなかった。

基礎を身に着ける理解の部分 
 利用したテキストは、2022年度は「わかって合格(うか)る宅建士 基本テキスト」、2021年度は「みんなが欲しかった! 宅建士の教科書」である。個人的には、試験としては不合格だった年度の「みんなが欲しかった! 宅建士の教科書」のほうが記述が整理されている印象を受けた。前者の本は、自分が理解したあとに読み直すと、こういう説明は自分ならしないなと思う点や、未定義の用語での説明があったりと少しもやもやすることが多かった。
 2022年度は8月初旬にはテキストを読み込む勉強を始めていたと思う。テキストを全部読み通したら、過去問道場で全分野の問題を解いた。正答率は数さえこなしていれば、60%~65%くらいにはすぐに到達する。そこから、点数に響く正答率の低い分野についてテキストを読み直し、穴を埋めていくことを繰り返した。

試験直前2週間あたりでの過去問の成績。ちなみに順位は1600位くらいだった。

正答率を向上する
 どの分野も最低7割以上得点することを目標(できる分野は8割9割にすでに到達しているもの)にして、できないところの点数をあげていく方法をとった。特に民法の担保・債権・契約不適合・借地借家と宅建業法の要件・免許・登録・35/37条書面がその中心的な分野だった。
 過去問を解いていると苦手分野が分かってくるので、その正答率の低い分野や間違えた問題の考え方について、テキストを読み直して暗記なり理解なりを集中的に行い、ある程度、苦手分野の復習が済んだら、また全分野での過去問を解くことを繰り返した。(何度もこれを繰り返した)
 図は、苦手分野を集中的に解いたときの正答が含まれるため、全般的な正答率よりかは高くないが、過去問道場だけで正答率8割以上まで高めていくことが必要だと思う。

模試等で未知問題に対応していく
 私の場合、試験の3週間ほど前まで、過去問道場とテキストだけの(上に書いた通りの)勉強を繰り返していた。過去問もほぼやりつくしてしまったのと、未知の問題にきちんと対応するために勉強方法を実際の試験形式に変えていった。
 実際やったことは、主に次の3つ。

  • 直近の試験を実際の試験形式に沿って解く。

  • 「TACのあてる直前模試」を試験形式に沿って解く。

  • 「TACの公開模試」を受験する。

ちなみに、それぞれの点数も公開する。過去問道場と過去試験の点数をやっている間は安心していたが、公開模試を受けたときの結果を見て結構焦った記憶がある。ただ、この模試の点数でも合否判定はよかったほうだったのでそこまで悪くない。

令3.10試験 
 権利12点 法令6点 宅建19点 税他6点 合計43点
令3.12試験
 権利09点 法令8点 宅建17点 税他7点 合計41点
TAC公開模試
 権利09点 法令6点 宅建14点 税他7点 合計36点
直前模試1
 権利13点 法令3点 宅建15点 税他7点 合計38点
直前模試2
 権利10点 法令5点 宅建15点 税他7点 合計37点
直前模試3
 権利11点 法令4点 宅建18点 税他4点 合計37点

本番
 権利11点 法令7点 宅建16点 税他6点 合計40点

模試で誤答した部分は、過去問で誤答した部分よりも丁寧に復習した。この直前の時期まで勉強してきて、誤答した(=身についていない)問題なので、もはや理解できないものとして、語呂合わせを無理やり作ってパワープレイで解決した点もあるし、頭の中で自分で講義をしてみて、振り返って言及し忘れていたところを確認するなど、一つの誤答でいろいろな復習を行った。TACの問題は全般的に難しめに作られていると感じたが、かといって過去試験の点数のほうが本番の点数に連動するというわけではなく、TACの模試を復習したからこそ、本番が、40点(過去試験レベル)まで上げられたのだと思っている。

実際に取り組んでみて

 勉強自体の振り返り
 Youtubeの動画等では権利関係の分野は範囲が広く、難しいことも多いとのことで、法令制限&税法分野で点を取るようにとのアドバイスも多かった。個人的には、権利関係は民法の理解(法律はどういう人を助けようとしてるのか)が進めば比較的取り組みやすい分野で、一方、法令制限&税法分野は暗記量は多いが時間さえかければ点が取れる分野だと思う。私は、権利関係を優先したので、もう少し暗記に時間をかければ、法令制限&税法は点数が安定したり、伸びたかと思う。
 Youtubeの解説系動画もあまり利用しなかった。分野の概略を知るためや方針を定めるために当初はいくつか拝見したが、結局のところ書籍のほうが情報量が多いので、知識を身に着ける段階では書籍のほうが有効のように思う。

 試験の振り返り
 イレギュラーな出題が多かった。過去問には登場しないような分野から主題が出たり、隔年周期で出題されていた分野も法則を破って出題されたりと、当日は「なんだこれは…」が第1印象だった。が、それ以外の出題がマイルドだったので、全体感としてはバランスが取れていたと思う。
 実際のところ、毎年数問は誰も解けないような難解な論点や重箱の隅問題が出題されるので、実質45問くらいが実力の問われる問題で、そのうち40問程度(9割程度)を得点しなければいけないという点で気が抜けない。しかも、合格点近辺に得点分布の山が来るようになっていると思われるので、1点の重みが非常に重要になってくる。もうすこし試験構成調整してくれないかな…というのが、勉強&受験してみた感想。

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