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表紙のメイキング

この記事は先日予約が開始された季刊マガジン水銀灯の表紙のメイキングです。
宜しければお目通しくださいー。


1.まずは表紙レイアウトの案出し

文字込みでレイアウトを三案作成し、海見みみみさんに一点選んで頂きました。
一番右のが採用です。・・・なんとも適当なウサギで申し訳ない。


どの案も赤い木の実が画面下に集まっていて目線が下に偏りがちです。
タイトルロゴの色を強くしてバランスを取るなり赤色を数カ所に散らすなりの対処がいるなあとぼんやり考えてました。

今回はデジタル作業に慣れるという意味も込めて、紙の上での作業は一切ナシでラフ画からタブレットで描いています。
案出しのためのラフ画は細部まで描き込まないようにするため、小さい画像サイズで作業しています(縦549pxです。そうしないと私は細かいところに拘ってしまって進まないので)。

ほかの二案はモノカキプロジェクトのマガジンの表紙として仕上げています。
https://note.mu/hiyokodou/n/ncc7a0b29cf12

https://note.mu/umimimimimi/m/m763b0be690f5


2.イラストに取り掛かる前にロゴデザインを確定する

『水銀灯』ということで、ロゴはガラス管の中に金属線が張り巡らされるイメージでデザインしました。

まず、ゴシック系のフォントを下地にパスで内側を作っていきます。直線で文字を作った後、端と角に丸を配置します。

続いて外側。角丸の長方形を組み合わせていきます。

形を整え、縁をつけて完成です。


ネットで「水銀灯」を画像検索したところ黄緑色に光っている画像を見つけまして、綺麗だなってことでロゴのメインカラーに採用しました。

今回はフォントデザインに際してGIMP(グラフィックツール)のパスで作業しています。使い勝手は良くも悪くもないですが、専用のアプリケーション(Inkspaceとか)の方が断然捗る筈・・・。

あと、こちらのフォントも自作しました。



3.ロゴとラフ画と合わせて仕上がりのイメージを固める

表・背・裏表紙のラフ画を並べて方向性を探ります。
目指したイメージは、「冬だけど、暖かい」です。裏表紙が顕著ですかね。
この時点では背表紙の厚みが未定なので、配置もデザインもかなりテキトーです。

表・作業メモ: こびとの色やデザインはこれでいく。
       手前の植物と木々はもっとそれらしく描き込む。
       奥がかまくらだと人間の気配がしないので、家にする。
       ウサギをどうにか。
       木の実とウサギの目に赤を配色して白を際立たせる。

裏・作業メモ: 全部パスで仕上げる
       名前のフォントを自作する?

結局、裏表紙のフォントは自作しませんでした。
その都度必要な文字を作成する方式のため、納期直前に修正が入った場合に対応できない気がしたので。


4.イラストを分割し、仕上げる順番を決める

こびと→手前の植物→木々、の順に別個のファイルで仕上げていき、最後に一つのファイルに合成します。
これはひとえに私のパソコンがロースペックだからです。ファイルを分割しても超重かったです。

5.イラストを描き込む

ラフ画を下地に、まずはこびと達をペンタブレットでなぞります。歪みを整え、シルエットを整えつつ、ラフ画のテイストが消えないように注意を払います。


次に、こびとと雪の地面と空を塗り進めます。
木々と手前の植物はまだ仮のままですし、かまくらがあったところに配置する家の形も決めかねてます。
悩んでるところは保留にして、出来るところからやっていく方針です。


手前の植物の線画に取り組みます。私にとっては強敵です。

資料とにらめっこしつつ、うんうん唸りながら線画を描きます。

塗れました。が、もっと青みがかって欲しいので、画像を複製して青っぽく加工したものを半透明にして、オリジナルの画像に重ねます。

これで手前の植物は出来上がりです。
以前、ツツジの絵を描いた時に葉っぱや花びらと格闘した成果が出たと自分なりには感じています。もっとたくさん描いて蓄積していく必要があるんだなぁと痛感しています。


引き続き、木々です。

考えた末、手前・真ん中・奥の三層に分け、ベタ塗りで形を抽出することにしました。
何度も描き直してこういう感じに落ち着きました。

枝の太さがおかしいところも結構あるのですが、それを修正しだすと伸びやかさが消えてしまうので、このまま仕上げに入ります。


勢いを大切にしたいので直線的に輪郭線を引きます。線に勢いがなくならないよう、「ためらわず!」と自分に言い聞かせつつ。
曲線で線画を描いたこびとや手前の植物との差別化を測る意味もあります。

木に色を載せていきます。奥は少し淡目に・・・

幹と枝に雪を積もらせて・・・

空から雪を降らせて・・・
木に凍てついた印象を加えたいので、木に対して水色のスクリーン効果を重ねます。

これで表表紙は出来上がりです。



6.背表紙と裏表紙

背表紙には自作のフォントと既存のフォントを縮小して配置し、裏表紙はパスで作成しました。青いラインがパスです。


ざっくりとこんな感じです。



おしまいに。

今回、表紙のお話を頂いてとても勉強になりました。
表紙を作るために製本サイトをいくつか検索して、サイズやデータ形式を調べたのですが、最近はデジタル入稿が主流で想像していたより安価でしかも一冊から本が作れるのが驚きでした。
試しに一冊作ってみるのも楽しそうです。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

※告知 https://note.mu/umimimimimi/n/n5c8c02e20242

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