NINOW 新しいやり方で、になう
去年から私の活動の中に「NINOW」というプロジェクトが新たに生まれました。このNINOWは全国で活躍する、繊維産地で働いているテキスタイルデザイナー自身で運営しているテキスタイルの展示会です。
間も無く1年目を迎え次回で3回目です。
今週の10月18日(木)10:00-20:00、19日(金)10:00-17:00に行われます。
NINOWをやっていて大変だなーと思うこともあるけど、でもNINOWをやってきたから成長できているなあ、成長させていただいたなあと感じています。
やっと慣れてきたかな、、そしてちょっとずつみんなの売り上げも出てきてホッとしている最近です。NINOWの事も知っている方も増えてきているなあと感じているのですが、勘違いされているなあと思うこともあるので、少し説明したいと思います。
2015年、私は尾州産地で活動を始めました。後輩や先輩など産地に就職した人もいましたし、繊維関係者とお話しする機会も増えたのですが、そこで聞く話の中に「あの子辞めちゃったんだよなー」という話もありました。
不思議です。しかもまだ勤めて3年くらい。何があったんだろう、、と思っていると、「辞めたいと考えている」&「辞めた」同世代が多いことにびっくりしました。
辞めたいと考えている知り合いがいたのでなぜかと聞くと、会社の作っている布も好き、同僚も好き、土地も好き、でもやりたいことをやらしてくれない、ということでした。
最近は芸大やデザイン系の学校を出た方が多く繊維産地に就職していて、企画として入社しているのですが、実際は工場勤務。働いて1年目は下積みだと思うのですが、2年目になっても3年目になっても、掃除と検反の日々。。工場勤務が嫌いなわけではないのです。現場を見ないとわからないことばかりですし、実際工場勤務が嫌な方は一人もいませんでした。ただ、企画はやらせてくれないのです。
しかし今、産地の現場に就職してくる方たちは、「この会社の技術で、こんなことをやればきっといいものができるのに!、そうすれば現状が変わるかもしれない!」と考えています。
それを提案しても「それはどうせ売れないよ」とか「そんなのは無駄が出てしょうがない」などと言われて日々戦って、疲れて、車がなければ田舎だとどこにも行けないので、会社とアパートの繰り返し。
そして消耗して、辞めてしまう。
これはすごく勿体無いことです。
せっかく新しい風を産地や会社に取り入れることができるのに、「それは無意味だ」と決めつけて動かない。
だからといって、このままでいいのでしょうか。
でも私たちも駄々をこねているだけでは変わらない。上司と同じ目線でお話するには「数字」しかないのだ、と思いました。
良いデザインのものは良い数字を生む。(これは協賛いただいている皆川さんに教えてもらいました)と信じてもらわなければいけません。
大学の同級生もテキスタイルメーカーに入社したのですが、「なかなか自分が作りたい生地を作れない」といつも残念そうにしていましたが、ある日「見本だけどやっと自分の生地が作れた!」と言って彼女は本当に嬉しそうにその生地を見せてくれました。
その生地はちゃんと彼女のエッセンスがきちんとあって、またその会社のテイストも含んでいて、会社でできることをやりながらも彼女らしい、素晴らしい生地でした。
例えば、会社でできる生地の企画に新しいエッセンスのデザインがプラスされたら、会社(産地)が得意とするもの➕入社テキスタイルデザイナーの企画 =会社・産地として新しい強み、になるのではないでしょうか?
そこでテキスタイルデザイナー、テキスタイルデザインの切り口の展示会を行おうと思いました。
個にフォーカスすることで、いかにデザイナーとテキスタイルデザインが必要かを浮き上がらせたいと考えています。
その象徴にNINOWにはプレゼンテーションタイムがあります。
普通テキスタイルの展示会でプレゼンテーションはないのですが、毎回行っています。今回は18日18:00-19:00に行います。
自分の生地のこと、また何を感じて産地に対峙しているのかお話する時間です。これが好評みたいで、毎回人の熱で空間が熱くなるくらいのお客様にお越しいただいています。
NINOW vol.1の来場者は約200名、vol.2は約300名の方にお越しいただきました。
私の個人的な思いですが、NINOWにこられるお客様の業種をなるべくバラバラにしたいなーと思っています。今どこのテキスタイル展示会に行っても見かけるお客さんは一緒。それは良い工場を探しに来ているからなのかなと思うのですが、NINOWはテキスタイルデザインを見せる場なので、アパレルでもインテリアでも雑貨でも良いし様々なお客様が来てくださるのではないかと考えています。
テキスタイルデザインを切り口にしているからこそ、いつもとは違うお客さんをゲットできる。もちろん大ロットをくれるお客さんも必要ですが、「こんなお客さん来た!」「弊社の魅力を再発見してくれた」みたいなお客さんが来たら、上司も展示会の楽しみがあるんじゃないかと思うんです。
NINOWメンバーの基準は、ニナウ=担うという言葉が強いのでどうしても勘違いされてしまうのですが、ここにはNOW=今という言葉も含まれています。
新しい担い方、ということなのです。
デザインを学んで産地に入って、移住する人もいて、そしてここで自分の能力を発揮し、産地をつないでいく。
もちろん産地を担っている方はたくさんいらっしゃると思います。でも、同年代やこれから産地に入ろうとしている方の気持ちを思うと、そのことがいかに心細いか。
会社に入れば、年上ばかり、慣れない土地、でもここの布が好き、ここをどうにかしたい
今のNINOWメンバーはそんな方のお手本ばかりだと思います
5年10年頑張れば居場所もできるし、やっている意味も分かる。でも居心地の良い場所にできているのはNINOWメンバーも自分の意見は通してきたからだと思います。
自分の意見を通したいとき、NINOWっていうものがあるんです。って言ってくださるとおこがましいけど嬉しいなあと思います。
私は会社には入りませんでした。だからフリーに動けるし、こういう提案ができる。そしてこのことを叶えてくださった皆川さんや片岡さんには本当に頭が上がりません。
NINOWメンバーで一番年下なのに生意気だなあって自分でも思いますが!
でも誰が他にやってくれますか。今、今きちんと意思表示をしていかなかったら、今後産地がどうなりますか
国内の産地を使っている方も、今後の産地のことを考えて欲しいと私は思います。私はアクションを起こしました。NINOWメンバーの小野さんも川上さんも自分の産地でできる限りのアクションを起こしています。まなさんも機屋の日々をブログに書いていていつもおもしろい。
全体でアクションを起こさなければ変わりません。
まずはNINOWから。着々とこのことが浸透していく!と信じています。
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