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椰子

雨の夜、家についたらドア前に気配。誰かいる、と思ったら椰子の木だった。持ってきた業者が置いて行ったのだろう、連休だし再配達大変だし生き物だし。連休は仕事で再配達は難しかったので、ありがたくお迎え。

電車から窓の外を見ていると、マンションやアパートのベランダがたくさん見える。干された洗濯物や布団、雨ざらしの古道具、うっちゃられた植木鉢。外から丸見えのベランダ、日の当たらなそうなベランダ、気にかけられている様子だったり裏だからなんでもいいとされていそうな姿だったり、見てるといろいろだ。

外から私のうちを見たとき、あそこ(の人)どうなっているんだろうと思われるくらい緑があふれかえる、そんなベランダにしたい。

うちは南向きで日光がめちゃくちゃ当たるので、夏場は植物も参ってしまうほど。だけどベランダに大きな鉢がほしい。丈夫で、仲良く暮らせそうな植物。他にシマトネリコ(街路樹でよくある)がいるけど、まだまだ苗木。

椰子の木(フェニックスロベレニー)は思っていたよりでかかった。1年でどのくらい伸びるのかわからなかったので、身長が1mほどのものを選んだつもりが、身長は1mだったけど直径も1mあった。でかい。そして痛い。葉っぱは硬くてとがってるし、棘もある。

植え替えようとするも、根がぱんぱんにつまっていて引き抜けない。でかいし痛い上に無論重たいので、私ひとりが男気を出したところでびくともせず。じたばたと抜けない鉢と格闘するうちに室内が土まみれになっちまい、仕方なく、プランターを枝切りバサミでむりやり開腹。意外とハサミでいけるけど、今後小さいノコギリくらい常備しておかなくては。

傷だらけになりながら鉢をあけ、張りすぎた根っこを切り落とし、水を吸わなそうな粘土質の土(なんで安い鉢はみな粘土に植わっているのか)を出来るだけ払いのけて新しい土に植え替えた。幹の少しかびている部分を取り除き、なんとかおさまった。

椰子にかぎらず、ほんとであれば100年200年と生きてくれる可能性のある植物を鉢に植えた状態で並べて暮らさせる、つくづくエゴだ。一緒にいたいという私一人のわがままにつきあってくれてありがとうと心底思う。

寿命は私の方がみじかいけれど、一緒にいるあいだは仲良く暮らそう。



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