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粋な言葉にしびれた日


先日、お店の搬出の手伝いに入らせてもらった。
仕事を定時で切り上げてからお店に合流。閉店後、ポップアップ店舗を撤去し、すべて車に積み込むまでがゴール。

控えめに言ってめちゃくちゃしんどかった。
日が浅いので、まず勝手がわからない。植物の鉢以上に小物が多く、梱包加減も手探り。閉店後の売場で、延々とプチプチ素材でありとあらゆるものを包み、箱に入れてコンテナに積み、エレベーターを往復する。いろんなものが重たい。汗をふきたくても、手は爪の中までコンテナ油でまっ黒だ。

加えてその晩は熱帯夜だった。
風がなく、ただただ蒸し暑い。汗が止まらず、頭がぼんやりする。外への運び出しが済んだ後も積み込みが終わらない。翌朝も早い私を気遣い、マネージャーが上がらせてくれたが、他のメンバーは終電がなくなりタクシーで帰宅したらしい。

後日の出勤時、搬出で一緒だった先輩に「大変でしたよね」と声をかけた。ドライバー役だった先輩は、あの日あれから荷下ろしまでやって、深夜に帰宅していたはずだった。

「いやー、あれはしびれましたね!」

明るいひとことが返ってきて、湿っぽい声かけをした私はとたんに猛省した。

ここの人たちはみんな明るい。
愚痴っぽいことを言うこともあるけど、いつも明るい。代わりに毎度「しびれた」と言うのだ。

粋な言葉にこっちこそしびれた。

疲れたときは、自分ばかりが大変だとつい思ってしまいがち。複業を決めたのは自分なのに、甘ったれていたことに気づかされた。何をしたくて、どうなりたくてお店に応募したのか、疲れにかまけて忘れてた。

みんなそれぞれ大変で、それを出さずに楽しい面に目を向けようとしてる。だから人が集まるし、ファンが増えて店が繁盛している。


言い方ひとつで心持ちが変わるなら、選ぶ言葉はからっと明るいものがいい。

どうしてもできない日は、それはそれでよしとして。

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