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小洒落バー、すいかのカクテル

10数年ぶりに恩人と再会。無沙汰を詫びつつ、美味しいお肉をご馳走になった。20歳になったら、赤いドレスでデートしよう、と言ってくださった約束は果たせずじまいの30代なかば。

当時18歳、真紅の衣装で踊る私を認めてくださり、踊りで表現することを勧めてくれた方だった。
舞台業界のプロであり、余計な言葉は一切使わず、本質ばかりをつき、何でも言い切る先輩の影響は抗い難く、言うなりに生きてしまうのが怖くて、反発し衝突し距離をとった。なのに結局いま、踊ることにベクトルが向いている。


吉本ばななさんがnote上で、ご自身とお父様が、言葉を尽くして相手に伝えようとしていた経験について、「愛のつもりでナイフをふりまわしていた」と表現されていたのを読み、もしかしたら先輩もそうだったのではないかと思い、再会する勇気を持てた。

30代だった先輩は50代に足がかかり、すでに業界から抜け、言葉にシャープさは残るものの、かなり人当たりが柔らかい印象に変わっていた。
鋭すぎる言葉が私を遠ざけ、遠ざかる私を引き止めようと言葉を重ねる、煩わしくて仕方なかったあの説教の数々は、先輩なりの不器用な愛情表現だったんだな、と昔語りを聞きながら感じた。

10代から20代、むきだしだった自分を知られているのは弱みを握られているようなものなのに、なんと心休まることだろう。うまく言葉に出来なくて歯痒いけれど、いい夜だった。


そして、昨日の今日で、カウンターバーに行けるとは。一言も言っていないのに引き寄せた!
すいかのカクテル(ノンアルつまりジュース)をお願いしたら、グラス周りにきらきら塩が散りばめられ、ソルティードッグのような装い。
ノンアイリッシュなコーヒーも。

#日記 #エッセイ #吉本ばななさん #引き寄せ

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