無題
びしょぬれの靴底から
冷え冷えと夜が沁み出した
冷たいなって思ってるのが
本当に自分なのか分からない
空の星が落っこちても
たぶんだれも驚きはしないだろう
この街は服を着た風船の
旅人達しか歩いていない
野良犬が吠えてる
ひとりきりで吠えてる
錆びた自転車にまたがって
暗い海まで走ろうか
それともいっそ宙上の
月までロケットを飛ばそうか
交通情報センターからのお知らせは
今日も変わらずどこかで事故が起きたって
人が死んだかは分からない
あなたが死んだのかは分からない
途切れ途切れの電波が
震えながら流れる涙のように
最後の言葉を伝えて
私たちは祈りながら眠りにつく
サイレンが鳴ってる
悲しい音で鳴ってる
錆びた自転車のブレーキは
二度と働くことはなく
夜空を駆ける一筋の星を
横切る影をだれかが見るだろう
歌詞にならない詩を載せています。詩の供養。
楽しい気持ちでサポートいただけたらひじょうにありがたくうれしいです