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ヨシタロウの多彩な愛

保育園で、面談があったので有給を取って私が行った。「日頃の保育園の様子」を聞く面談らしい。なお同じ保育園なのだが、4歳のヨシタロウだけが対象である。1歳のヨシスケは「良い子だし、飯も食うし、よく寝る、言うことない」ということで送迎ついでの10秒くらいで終わってしまったのだ。

さて、4歳のヨシタロウである。20歳そこそこの若手の女性保育士と、50代くらいのベテランぽい保育士と私で2対1形式での戦いだった。

「総じて問題はない」

こういう前置きは、本題に入る前の準備運動みたいなものである。私もよくそういう話法を使うのでわかる。要らん前置きだ。

「でもですね、あの、ユウ君と仲良しでして。仲良し過ぎるというか」

「仲良しってあれですよね、そういうやつ」

「お父さん、どういうことですか」

「いやあの、私も何度も見てるんでね。ヨシくんとユウくんはスイミングも一緒なんですわ。先生のいう仲良く、は、女性アイドルとイケメン俳優がスキャンダルになった時の事務所発表の『仲良くしている』ですよね?」

「いや、、あの……」

「2人抱き合って,ギューっとして、固まってませんか」

「あ、いや…」

観念したのだろうか、若い保育士を遮って、ベテラン保育士が前に出てきた。

「そうですね、めっちゃギューってしてます」

「でしょう。あれは、likeじゃなくてLOVEな感じですよね」

「お父さん,はい,その通りです」

「ユウくん、美少年なので」

いつのまにか若い先生も会話に入ってきている。確かにユウくんはどう見ても美少年である。

「でもですね、あの、別に私は本当になんでも良いんですけども、あいつ生意気なことに、スイミングに彼女もいるんですわ」

「えっ?!」

「嘘でしょ?」

「えっ?!両方ってこと!?」

「先生、はい、その、両方イケるっぽい感じですね今のところは。将来は両方と結婚して3人でやっていくと。こないだおかあさんといっしょスペシャルで見た、じゃじゃまる、ぴっころ、ぽろり。このシステムで仲良くやっていくみたいなことを言ってました」

「やだ。あらあら…」

「えっ?!どういうこと?」

「じゃあ、まあ、総じて問題はないということなので,私はこれで…」

「えっ」

「ちょっ」

そんな感じで面談はすぐ終わり、職員室が時間差でざわついているのを背中で感じながら帰った。

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