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ウレヒーロー、斎藤塗料さんインタビュー記事全文


普通のゴム手袋に塗料を塗った動画が注目を集めている。
コスプレやプラモデルなど柔軟な素材にあう塗料の販売が一般に無い中、突如として現れたツイート。
「液体金属のターミネーターみたい…!」
「これってコスプレ衣装に使えないんですかね?」
といったコメントも多数あった製品。製品版ウレヒーローが完成したようだ。

早速ウレヒーローを作っている斎藤塗料株式会社の菅さんに話を聞いた。

野中:ウレヒーローはどのような経緯で誕生しましたか?
菅さん:ウレヒーローは元々印刷機のゴムパーツの保護コーティング剤として誕生しました。
その為性能としてゴムに密着する力と伸縮柔軟性を突き詰めた形になります。
野中:正直びっくりしました。私もコスプレをしているのですが、収縮する布にはバイアステープ長さあわせて買ってきてきれいに縫わないとできないところが再現できるんじゃないかと希望が持てました!塗料なので衣装の強度も増しそうですし。
菅さん:ウレヒーローは、今まで塗装できなかったものに塗装ができるようになることで新市場を開拓してきました。今回のサブカル系塗料になるまでの歴史を簡単にご紹介します。
当初は工業用として、ゴムをはじめとする柔軟素材用塗料として活躍しました。
例えば、人工臓器やゴムボールなどです。
加えて、ゴムに密着する力に期待されて、密着の難しいプラスチックへと展開されていきました。
野中:確かに塗料=剥がれやすいというイメージです。プラスチックから次は…?
菅さん:登山用ステッキに使われるウレタンスポンジグリップです。
スポンジグリップにそもそも元来塗装するという事は不可能でした。
しかし、ウレヒーローを使うことで着色が可能になりました。
野中:吸音材とか自宅簡易スタジオとかも中可愛くできそうですね!
菅さん:それだけではなく、現在のコロナ禍において、アルコールで持ち手のグリップを消毒する方が増え…
一方、スポンジグリップの素材がモロモロと劣化してしまうという課題もでてきました。
そういったアルコールからの劣化をウレヒーローという塗膜がスポンジグリップを覆うことで、
保護膜として機能し劣化抑制に繋がっています。
野中:ウレタンスポンジの劣化とか考えたこともなかったです…アルコールでいろんなものも変色や劣化しますものね。
菅さん: さらに、今後の展開として登山用のステッキのグリップにも活用できないかテストも進んでいます。
日本の雪は水分量が多く、従来のグリップでは雪に含まれる水分が染み込んでしまい、グリップが凍ってしまい手袋越しでも凍傷するリスクがあります。
そこに、ウレヒーローの水を弾く撥水性という効果が注目されています。
ウレヒーローは塗膜がツルツルしているため雪をもハジキ、グリップの凍結防止に繋がれば多くの登山者の課題解決に繋がるのではと期待されています。
野中:雪がめったにふらない地域からしたら想像できなかったのですがそんなことが…
菅さん:このように医療メーカー、ゴムメーカー、スポーツメーカー、ガラスメーカー…と
ウレヒーローは1つの業界に留まらず多くの市場を切り開いております。

そんな中、今回SNSで注目をいただいたのが、ホビーやコスプレというサブカル造形の分野です。
ホビーについても近年「子供のおもちゃ」から「大人のコレクション」への用途が広がり、軟質パーツや特殊素材が多用され、ホビーのクオリティが格段に上がっているが、塗装によるカスタマイズやリペイント、補修が難しくなっていました。
野中:わかりみしかない…
菅さん:コスプレ造形については、様々な柔らかい素材に密着し追従する塗料と言うのが現状定まっておらず、表現したい造形を諦めたり、必要以上の手間がかかっている現状でした。
野中:刀とか装飾とか伸縮する部分での塗料いつも困ってました。
菅さん:そこに注目されたのが「ウレヒーロー」です。
野中:すぐにどこで買えるの!?ってなっててコメント欄に共感してました。
菅さん:今後は工業用の枠を飛び越え、ホビー、コスプレの造形を支える救世主になれるよう「サブカル系塗料」として活躍していきたいと考えております。

野中:ゴム手袋が塗料で塗装されたのにはびっくりでしたね。
菅さん:元々開発内でもこれは絶対に面白いと話題になっており、投稿後の反響に社内のみんなで喜んだのをよく覚えており、
性能で驚きを与える事ができたことはメーカー冥利に尽きます。
そして、やはり多くのコスプレなどの造形の方が「今までやりたかった表現ができるようになる!」というお声をいただきそういった声を実現できるよう製品化を急がねばと思った次第です。

野中:できなかったことをできるようにするのはとても苦労されたのでは?
菅さん:メッキ調塗料の元来のセオリーとして、「3コートという3層塗り」が基本です。
しかし、ウレヒーローのメッキシルバーを開発した際には、
それを「1コート、一度塗り」で実現したいと開発を進めその実現が最も苦労しました。
野中:それで模型塗料とか見ても「ぽいもの」しかなかったのですね。
菅さん:ホビーというのは元来子供のためにあると考えておりまして、お子様が親御さんと塗装に挑戦した際に、3コートだと失敗する可能性がかなり高い。
しかし、1コートだとそのハードルが1/3と成功する可能性がアップすると考えました。
もちろん失敗することも良い経験ではあるのですが…
野中:自分もそうでしたがそういう知識もないまま触りますからね。
菅さん:子供がホビーのカスタマイズに触れた際に、「自分でこんなにピカピカに出来た!」という原体験を積んでもらいたく、それが今後のサブカル文化の発展に少しでも繋がれば幸いと思っております。
野中:ウレヒーローがある時代に弟のプラモ代行したかったー
菅さん:東急ハンズ新宿店にて3月上旬より販売予定です。
その他、全国展開を目指し営業活動に邁進する所存です。
また、自社サイトでの販売も近日公開予定です。
弊社は、昭和2年創業より、信じているポリシーがあります。「あらゆる壁を突破するのは技術力である」ということです。そして、今年に入り「Design&Development」で新市場創出に挑戦する。という新理念を掲げました。これは、弊社の塗料が“あるモノ”に塗装されることで付加価値を作り、多くの課題が解決され、日本のモノづくりの発展に貢献したいという思いがあります。ウレヒーローはまさにその一例です。
これからも困難な壁を突破する「技術力」を信じ、新市場創出の挑戦を続けてまいります。

新しい切り口での自作でできるアソビの広がりがとても楽しみだ。

斎藤塗料株式会社
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