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欠陥は個性、難聴であることを示したタトゥーをいれたいいださんのインタビュー部分全文

文字数制限のため、削られた文章も全部見ていただきたい。
私はポジティブないいださんに力をもらいました。
自分に欠陥があると思ってる人に目を通していただきたいと全文アップ許可をいいださんにいただきました。

https://twitter.com/iida_shi/status/1492816067390885892?t=tC8HNYIDT5CqHj__CyotGA&s=06

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野中:自分の祖母が加齢による難聴で、私の片耳も一部の周波数が聞こえづらいのでポジティブないいださんのタトゥーに力をもらいました。

聞きにくい話なのですが、難聴に気づかれたのはいつでしょうか?


いいださん:きっかけは小学3年生のときに学校で受けた健康診断でした。
それまでみんな僕と同じように右の耳は聞こえないものだと思い込んでいたので、診断する前まで何も不思議に思っていませんでした。
3年生になるまで、なぜか一度も聴力検査を経験してこなかったんですよね。なぜでしょう。
自分にとっては当たり前の状態だったので、診断結果が出たとき、「逆にみんな両耳聞こえるの!?」という驚きがありましたね。

右耳が聞こえないことがわかってから数ヶ月後、1日学校を休み、東大の病院で検査を受けました。
病名は覚えていませんが、自営業で忙しいはずの父に連れて行ってもらったのは覚えています。


野中:なるほど。ずっとそうでしたらそれが自分にとっては当たり前ですもんね。
苦労されたことも多かったのではないでしょうか…


いいださん:人間関係にかなり苦労しました。
僕は19歳のときに仕事を始める前まで滑舌が悪く、人の顔色をうかがってしまい自分の意見が言えない人でした。コミュニケーションを忌み嫌い極力避けるようにしていました。
人に対して苦手意識があったため、初めて会った人に自分から右耳が聞こえないとも言えず、右耳から声をかけられても「こっちの耳が聞こえないんで〜」と言えず適当にリアクションしてあしらっていたんですね。
我ながら情けないです。
「右耳のこと伝えた方が良いかな?でももう会わないだろうしな〜」なんて初対面の方に思ったりしていました。
片方の耳が聞こえないというのは、他人が見てもわかることではないので、自分から発信しないと気づいてもらえません。

きちんと伝えないといけないなと思ったエピソードが1つありまして、ガヤガヤした居酒屋であまり得意ではない先輩と話したときでした。先輩が僕に右から話をかけてくるものだから適当にリアクションをとって話を終わらせようと思ったら、「どう思う??」と言われ耐えきれず「すみません、実は右の耳が聞こえないので、左からもう一度話してもらえませんか?」と言ったら、めちゃくちゃ怒られたエピソードもあります。


野中:居酒屋とか人の多いところでの会話は苦痛ですし、伝える事での関係とか考えてしまうとそうなりますよね。


いいださん:そんな性格を変えてくれたのが、19歳から始めた仕事でした。
いま私は個人事業主としてアニメーション制作をしているのですが、19歳から21歳の2年間は京都の嵐山で人力車の俥夫として働いていました。
人力車というと、後ろにお客様を乗せて僕ら俥夫と言われるドライバーが前で車を引っ張る乗り物。
「引っ張るの大変ですね」とよく言われますが、引っ張ること自体はあまり力が必要ないので大変ではありません。

1番大変なのはコミュニケーションです。

そもそも営業してお客様を作らないと人力車を引っ張ることすらできません。
さらにご案内するにしても、トークでお客様を満足させないといけません。
そんな人力車の仕事のおかげで良好な人間関係の築き方や、コミュニケーションについて学び、悪かった滑舌や、人嫌いを克服し、どんな人にもタイミングを伺って右耳の話をするようになりました。


野中:仕事で苦手と思っていたことへの克服に繋がったのはいいださんの素晴らしい努力だと思います。


いいださん:逆に右耳が聞こえなくて良かったことは、自らの人生について考えるきっかけになった点ですね。

極端な話、右耳が聞こえないということは、つまり左耳が聞こえなくなると自分の世界で音がなくなるということ。
いつそうなっても良いように、なるべくいろんな経験をして楽しもうという意識は人並み以上に強いと思います。
何かを後回しにしようとすると、「いやもし次行くときには左耳も聞こえなくなっていたら嫌だな」みたいに考えてしまいますね。

ちなみに学生の頃に同じ質問を両親から受けたとき「嫌な雑音を遮断できる」と話していたそうです。今はそんなこと思っていません。


野中:失ってからのことを考えると今だと動ける、今ある身体の当たり前を未来の自分を考えたときに疑う事はコロナ禍の今かなり皆さん共感されると思います。
タトゥーを入れられたきっかけはあったのでしょうか?


いいださん:僕が右耳にタトゥーを入れたのは2022年2月ですが、実は2020年の10月あたりにタトゥーを入れる決意はしていました。

きっかけは「左耳が聞こえない少女がタトゥーを入れた」という記事。


この記事を見て率直に「俺も入れたい...!」と思いました。

ただビビりな僕は友達に「タトゥーを入れようと思ってるんだよね〜」と言いふらして、ネガティブな意見が多かったら入れないつもりでした。その結果、否定する人は1人もおらず、みんな「格好いいよ!」と言ってくれました。

しかしタトゥーは身体に一生残るものなので、その時はまだ抵抗がありましたね。


野中:かっこいいと思いつつも、最近では入れるとこも増えましたが温泉などのことを日本なら考えてしまいますよね。


いいださん:結局日本でタトゥーを入れることはなく、2021年10月から定住しているジョージアという国にあるタトゥー屋で2022年2月に入れてもらいました。ちなみに値段は50ラリ、日本円にすると1,900円ほどでした。そこで何度もタトゥーを入れているジョージア人の友達にオススメされたので、迷うことなくそのお店にしました。


野中:友人がいるといろんなメリットデメリット聞けますし心強いですよね。


いいださん:ジョージアでタトゥーを入れた理由は、日本語が通じない人と会話するときに言葉で右耳が聞こえないことを伝えるのが大変だと現地で痛感したから。
タトゥーを入れた今、右耳を見せると、みんな僕の左側に移動してくれます。


野中:円滑なコミュニケーションになったのですね。
Twitterではポジティブな印象のいいださんですが、過去のことも話していただきネガティブを乗り越えられて素敵だなと感じます。
障がいを持たれている方や、ネガティブな情勢でしんどくなってしまっている方にいいださんのポジティブの秘訣を教えていただけませんか?


いいださん:僕は家族や友達、好きな人より、まずは自分を1番愛することを心がけています。
常に自分がする行動が幸せと感じるか、心地よいと感じるかを大事にしています。

過去の話ですが、僕は元々ネガティブな性格の持ち主でした。
テレビに出てくる芸能人や、異性からモテてている同級生と自分をとにかく比べていましたね。
背は低いし、一重だし、滑舌は悪く、勉強はできないし、右耳は聞こえない。

高校時代は演劇部に所属していたのですが、音痴すぎて顧問の先生から「お前は歌うな!音痴!!」と怒られ、台本が変わったこともありました。

「俺はモテない。人より劣っている。」

そんな他人と比べた自分を克服することばかり考えて、痩せようとしたり、アイプチをして二重で高校に登校したりしていました。


きっかけは忘れましたが、どこかのタイミングで、自分のコンプレックスを克服することを諦めました。

他人と比べることを辞め、まずは自分のコンプレックスも全て個性だと受け入れ、自分を愛そうと。すると物事をポジティブに捉えることができるようになりました。

結果、自信を持って人と接することができるようになったのです。

次にもっと自分を好きになるために自分を磨いてみよう!と思うようになり、筋トレを始めたり、能動的にコミュニケーションを取るなど、行動するようになりました。


ちなみに「自分を愛すること=自分勝手」ではありません。
自分勝手な行動を取って周りの人が嫌な顔をしていたら、そんな自分を愛せることができるだろうか?私にはできない。
人に優しくしている自分が好きなのです。

だから人に優しくするのです。

特に日本では、「こうでないといけない」という思想が強すぎるとジョージアに来てから感じます。


・男性は身長は高い方が良い

・良い大学に入るべき

・腹筋は割れていた方がいい

・髭がある男性は不潔

・女性は細身であるべき


きっとこれってテレビやネットといったメディアに出てくる人たちがみんなそのような容姿だからだと思うのです。彼ら彼女らと自分を比べてしまい、どんどんネガティブになります。


僕が高校生の頃、男性はEXILE系に憧れ、女性はAKBやK-POPアイドルのような容姿に憧れを持っていました。あたかもそれが世間の正解かのように。

ただこれは事実ではなく解釈にすぎません。


目が細いから人一倍笑顔が引き立ちます。

デコが広いから人一倍表情がわかりやすい。

滑舌悪いからウケを取りやすい。

モテないから1人の女性を大事にしようと思える。


コンプレックスは幸福のチャンスです。


ジョージアで出会ったよく一緒にいてくれる友達に「目を二重にしてかっこよくしたいんだよね〜」と話したら、「なんで!?一重のキリッとした方がかっこいいじゃん!もったいないよ!」と言われました。

パッチリ一重がコンプレックスだった私にとって、その言葉は嬉しかったですね。


何を伝えたいのかというと、環境を変えればあなたが欠陥だと思っていたことが魅力になることがあるということ。

世間的に有名な人の容姿が必ず正解という事実はありません。

といったことから、他人と比べることを辞めて、自分を愛するようになってから、物事をポジティブに捉えることができるようになりました。


野中:自分の反省時間が多いので私も自分を愛せるようにたりたいと強く思いました。


いいださん:僕が入れた右耳のタトゥーは、自分のどこかにコンプレックスを抱えている人に伝わればと思っております。

コンプレックスとは見方を変えれば他人には無い唯一無二の個性です。
僕は右耳が聞こえないという欠陥を視覚でわかるよう、タトゥーを入れることで個性へ変えました。

人と違うことや劣っていることをコンプレックスだと思い込み、本来あなたが持っているポテンシャルが無駄になるのは、もったいない。


僕は昔から伝え続けられてきた倫理観がない偏見が大嫌いです。


「良い大学へ入って良い会社へ就職するべき」

「マイホームを買って子供を産むべき」

「子は親の言うことを聞くべき」

「お金を儲けることは悪だ」


そして「タトゥーは絶対にダメ」。


もちろん中には理由があってそう決めているコミュニティや環境はあるでしょう。

ただ思考停止して引き継がれたルールに従うのはオカシイと思うのです。

どうか、誰かに洗脳された考えで生きる人生ではなく、自分を愛することができる人生を歩んでほしいです。

◇◇◇

コンプレックスを個性に変えたいいださん。

記事を読んた方が自分を愛する事ができる力になればと思う。


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アニメーション制作について:


目に見えるサポートで続けられることがあります。 過去を思い出したりする記事はとても厳しい事が多いのでサポートくださるとそのぶんケアにまわせます。 ありがとうございます。