スピッツデビュー30周年 スピッツの歌詞に隠された『変わらない姿勢』とは?

スピッツは1987年に結成され、1991年にメジャーデビューを果たした草野マサムネ、三輪テツヤ、田村明浩、﨑山龍男の4人のメンバーで構成されたロックバンドだ。
2021年3月25日でデビュー30周年を迎え、同日に楽曲『紫の夜を越えて』が配信リリースされた。

『紫の夜を越えて』は、TBS系『NEWS23』のエンディングテーマに起用されている。
今日のニュースを伝え明日に繋げる役割を担う報道番組にピッタリなタイトルだ。

“溶けた望みとか 敗けの記憶とか
傷は消せないが 続いていくなら起き上がり
紫の夜を越えていこう”
(『紫の夜を越えて』)

例え順調に行かない日々の中でも、共に前に進んで行こうという勇気を与えてくれる歌詞が印象的だ。
どうしてもこのコロナ禍の世の中で塞ぎがちな日々の中で、まるで背中を押してくれるかのようだ。

スピッツはメジャーデジュー以後30年、これまでメンバーチェンジも一切も行われることなく、しかも常にトップシーンの中を走り続けて来られたのは何故だろうか?

その理由は、スピッツの歌詞にはある『変わらない姿勢』が今でも貫き通されていることではないかと筆者は想像する。

最新曲である今回の『紫の夜を越えて』の中の歌詞であるこちらに注目して頂きたい。

“従わず 得られるならば 砂の風に逆らい
再び生まれたい ありがちで特別な夜”
(『紫の夜を越えて』)

何かに従うことなく、風に逆らって生きることを望んでいるこの歌詞だが、このスピッツの身を委ねることなく生きて行こうとする姿勢は、スピッツのこれまでに発表された楽曲の歌詞ともぶれることなく一貫している。

“他人が見ればきっと 笑いとばすような
よれよれの幸せを追いかけて”
(『さざなみCD』収録『桃』)

“周りに合わせない方が良い感じ
誰かが探しに来る前に
君をさらっていこうかな 例えゆるされないことでも”
(『スーベニア』収録『みそか』

これらの歌詞の中にも、スピッツは『人と違った生き方』について強調している。

“君を自由にできるのは 宇宙でただ一人だけ”
(『隼』収録『8823』)

この宇宙の中でたった一人しか存在しない自分のやり方で生きろということを、これまでに何度も歌い続けて来た。
それはきっと、結末には自分にしか辿り着けないゴールが待っているから、ということを教えてくれるかのようだ。

“今は振り向かず8823 クズと呼ばれても笑う”
(同上『8823』)

例えそのやり方で今は上手くいかないとしても、スピッツは『自分らしく生きること』を応援してくれているのだということを感じることが出来る。

また、もう一つ、デビュー30年以来のスピッツの『変わらない』特徴として、スピッツの持つ独特の可愛らしい世界観が最新曲でも損なわれていないという点にあるのではないかと考えられる。

“君が話してた 美しい惑星は
この頃僕もイメージできるのさ 本当にあるのかも”
(『紫の夜を越えて』)

“かすみの向こうに すぐに消えそうな白い花”
(『ハチミツ』収録『ルナルナ』)

こういった『惑星』や『白い花』などといった、想像力を掻き立ててくれるような愛しい世界観を盛り込んだ歌詞が、我々聴く者の心を捕らえて離さないのではないだろうか。

この先も是非、『紫の夜を越えて』行く中で、まだまだスピッツの世界を追いかけて行きたいと、強く思う。

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