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アメリカ旅9

サンタフェは芸術の街。それはサンタフェの前情報がなくても一度でも足を踏み入れると誰もが思うやろうって思う程、街は芸術で溢れてる。

周辺のホピ族、ナバホ族、ズニ族、タオスプエブロ等のインディアンの工芸品を置いてる店と、メキシコっぽい店、立派なかっこいい教会、数多くの美術館、いろんなとこで見る大小さまざまな個展で賑わってるけど、それらが上手くまとまっててお洒落な雰囲気やと思った。

観光をしてる外国人も街を歩いてる人もなんとなくオシャレな雰囲気が漂ってる。

なんか場違いな感じがしつつも、田舎者丸出しな感じでキョロキョロしながら歩いてると、一つの大きい美術館に行き着いた。

Georgia O'Keeffe

書かれた文字が画家の名前なんか美術館の名前なんかもわからんけど、直感が入っとけって言ってる気がして、気がついたら貧乏旅人のおれにはまあまあのお金を払って美術館の中に入ってた。

パンフレットによるとGeorgia O'Keeffe は100年ぐらい前の女画家らしい。

中は広い部屋がいっぱいあって、壁には絵がこれまたいっぱい飾られてる。

よくわからんけど芸術やなーって思いながら歩いてると、並んだ二枚の絵が目に入った。

一つはなんかの花の蕾の絵でもう一つはその蕾が開いた花の絵。色はショッキングピンクと赤と茶色で、生々しい女性器みたいな見た目で、見てたら絵の世界に吸い込まれて全然違う次元に飛んだみたいな感覚になった。

1時間以上その絵の前でぼーっとしてから、他にもそんな感覚になる絵を探してみた。

ウロウロしてたら、これから行くタオスプエブロの風景が描かれた絵を見つけた。

なんもない、あったかい、すごい長い時間このまま、目にみえない存在、シンプル、いのち。

そんな感じの印象が一気に心に入ってくるような気がして、この画家にとってタオスは特別な場所やったんかなーって思ったら、これから初めて行くとこやのになんとなく懐かしい感覚になった。

美術館を後にしてから、メキシコの歴史美術館とかキリスト教の古い教会とか昔の人が開いた禅寺とかを観光して、ちょっとしたタイムスリップ感を味わった。

1日観光して次の日、ヒッチハイクでホピのてっちゃんが紹介してくれたヒッピー和尚のヤマトさんを訪ねる為にタオスを目指す。

ヒッチハイクをしてる時いつも思うけど、大きいリュックを持った何にも知らん髭面の男を無償で乗れてくれるってほんまにすごいことやなって思う。

困ってそうとか、面白そうとか、助けたいとか、人によって色んな想いがあって止まってくれるんやろうけどなかなかできることじゃない。

おれもなにかしら役に立てることがあるなら、こうゆうご恩をまわしていこうって心から思った。

有難いことに優しい人に出会って、タオスに順調に進んでいった3台目にとんでもない人が止まってくれた。

見た目は筋肉質のおじさんで、話し方とか声の出し方がオネエっぽかった。

しばらく世間話しをした後、オネエっぽいおじさんはおれに男に興味がないか聞いてきた。

性的な意味で?って聞くともちろん性的な意味でよって言われて、全くないですって答えたら、経験はあるの?って言われた。

経験はないけど、ノーマルな趣味ですって言うと、経験がないならわからないじゃない。ちょっと試してみない?って妖しい笑顔でウインクされた。

ちょっと試してみない?ウインクでウケ狙いじゃなくて通常運転でそのキャラとかどんなけおもろいねんって思って笑いそうになった。

いやいやほんまに興味ないんでって言っても、ちょっと笑いそうになった雰囲気のせいかその会話すらツボにハマってるみたいに少しずつ興奮してる様な鼻息になってきてる。

おれは前にニューハーフの友達に襲われかけたことがあって、その時も経験がないならわからないじゃないの!って強引に誘われたことを思い出して、この段階で強めに断らんとヒートアップしてきたら怖いなって思ってその時のことを説明することにした。

実は前にこんなことがあって、その襲われかけた時にほんまに嫌やったし、そもそも男とか女とかの前に好きでもない人とそんなこと出来ないですって言ったら、オネエおじさんの顔が真っ赤になって真剣な顔で前を向きながら分かったって低い声で返事してくれた。

低い声出るんかいって思ったけど、そこはなんでもないフリしつつ、謎の無言の重い空気が続いて、早く降りたいって思ったけど言い出せんまま車が進んでいった。

しばらく進んでから突然、オネエおじさんは高速みたいな大通りから、林道みたいな細い道に入ってすごいスピードで車を進め出した。

え?ってなってオネエおじさんの方を見たけど、オネエおじさんはちょっと怒った顔で前を見たまま車を走らせる。

こわくなって、ここで良いから降ろして欲しいって言ったけど完全に無視されて、オネエおじさんは林の中の細くてひたすら真っ直ぐ続く道を、無言で車を走らせる。

なんか怖いからほんまにここでいいから今すぐ降ろしてほしいって言ったら、細い道に入って1時間後ぐらいにやっとこっちを見て、すごい嫌らしい笑顔で本当にここでいいの?って言ってきた。

いや、時間差!って思ったけど、そんなことよりここでいいから今すぐ降りたいって言ったら、分かったわって言って車を止めた。

前も後ろも見渡す限り道以外に何にもない荒野に荷物を降ろしたら、オネエおじさんは嫌らしい顔でチャオって言って後ろ向きに手を振って元来た道を戻って行った。

その嫌らしい顔もチャオの言い方もどんなけオネエおじさんやねんって心の中で思う余裕が一瞬にして生まれて安堵した。

ふーーーーーーっ良かったーーーー!!!襲われんかったーー!!お尻守れたー!!

って思いつつタバコを巻いて、オネエおじさんが帰って行った、元来た道をみながらタバコを吸った。

タバコを吸い終わって、道の左右に迫りくる林で、昼やのに薄暗い道の真ん中でしばらく立ち尽くした。

後ろを見ても前を見ても、どこまで続いてるか分からん真っ直ぐな道を見て、てっちゃんからアメリカはコヨーテが出るから気をつけてって言われたことが頭をよぎった。

これはこれでまだまだピンチやん。

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