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占い師から歯並びをキレイにした方が良いと言われて歯科矯正を決意したら大変だった話し ep9

『白い巨塔』

合計7本(親知らず含む)を華麗に抜歯すると、もう怖い物なんてない状態だった。この辺りから、スペースができたからなのか歯が動いてるのが自分で見ても分かるようになった。
そして、抜歯が完了すると約2年くらいは同じ治療の繰り返しだった。
う蝕(虫歯)のチェック、ワイヤー交換、時折レントゲンのコース。
手術なんてまだ先だろうなぁ・・・なんて考えてたらその日は突然やって来る。
「そろそろ、手術しようかな」
マリオよ、そういう大切な事はもう少し前もって・・・。
「今度、○○先生来るのいつだっけ?」
患者の了承も得ず、話しはどんどん進む。まぁ、どんどん進めて下さいって言ったのはこっちだからいいんだけど。
「じゃあ、この日に東京から先生が来るから、絶対に来てね!」
と、マリオの圧力に首を縦に振るヲタク。
『絶対』の意味を、すぐに理解することになったのは次の診察の日だった。

いつもは、予約の5分前に到着しているのに、その日は渋滞に巻き込まれて少しだけ遅れて病院に着いた。
「遅れてすみません」
と、保険証と診察カードを出すといつもはにこやかな受付のおねーさんが、すぐに大量のカルテが入った袋を抱えて、「す、すぐに3階へどうぞ!」と慌てていた。
いつもは2階なのに、今日は3階かぁ・・・初めてだなぁ。なんて、のんびり考えながらEVに乗る。そして、ドアが開いた瞬間、目の前には看護師さんが立っていた。
「hakuさんですか?」
「は、はい・・・」
「お待ちしてました、こちらにどうぞ~!」
笑顔だが、目が笑ってない。連れて行かれたのは、手術室の中にあるいつもと違った診療室だった。

部屋に入ると、見慣れない先生たちがずらりと並んでいる。先生に囲まれる形で置かれたイスに座らされるヲタク。
そして、合コンで遅れてくる女子のように一人の初老でダンディな男性が入って来た。その場にいた先生たちが、一斉にお辞儀をする。まるで、白い巨塔のようだ。
「こんにちは、hakuさんですね」
「こんにちはー!」
「はい、元気ですね」
「それだけが取り柄です!」
「うんうん、良いことです」
優しそうな先生だったが、周りの先生がハラハラしているのが分かる。
「ちなみに、どうして矯正しようと思ったの?」
「あ、占い師に勧められて」
瞬間、静まり返る診療室。そして、ダンディ先生が笑い出す。
「ごめん、ごめん。長年、医者やってるけど占い師に勧められてっていうのは初めて聞いたよ」
「私も、軽い気持ちで始めたら大変でびっくりしてます」
「7本抜歯か~!確かに、顎小さいもんねぇ」
「突貫工事みたいでしたね!」
「突貫工事(笑)」
ダンディとヲタクの距離が縮まった。が、周りの先生たちは最後までハラハラしっぱなしだった。
次回、『土曜ワイド劇場~血の海再び~』

『補足』

この、ダンディ先生は特診の先生でした。後々聞くと、院長(マリオ)の先輩にあたるとの事で、他の先生たちが緊張されてたんですね(笑)。でも、患者には関係ありませんから、疑問は解消しましょう。
ちなみに、私が通った医院は歯科医と外科医がいて顎の手術をするのが外科医、矯正を歯科医という感じでした。なので、初めてお会いする先生方ばかりで囲まれたときはちょっとだけ怖かったです(笑)。

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