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未来につながる昇格を争うチームとの2連戦 〜J2リーグ第41節 レノファ山口FC vs モンテディオ山形 プレビュー〜

J2リーグ第41節 レノファ山口FC vs モンテディオ山形のプレビューです。

前節の振り返りはこちらです。


対戦成績

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山形と山口の対戦は過去に7回あり,互いに3勝1分3敗と全くの五分になっています。今年の最初の対戦では,首位の山形に対して山口がアウェイで勝利を挙げました。

上の画像を見てみると直近の対戦はアウェイチームが0-1で勝利をしていることが読み取れます。このカード,初めはホームチームが優勢に進めていましたが,直近の3試合はアウェイチームが優勢です。これまでのプレビューを振り返ると山口は得点のよく入る打ち合いのカードが多い印象がありますが,山形とは1点を争う堅い展開の試合になっています。

山形とすればアウェイでも勝点3を奪わなければいけない試合です。直近の流れ通り,アウェイでウノゼロの勝利を挙げることができれば大成功と言えるでしょう。


モンテディオ山形の現状とあれこれ

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山形は現在19勝10分11敗勝点674位に位置しています。前節の敗戦で自動昇格圏とは勝点差が6となり,プレーオフ圏外の7位とは勝点差が2という状況になりました。プレーオフ進出のためには1つも落とせない残り2試合となります。そんな山形の直近5試合の成績は2勝3敗と負け越しています。前節の長崎戦は退場者が出て60分ほどを10人で戦う状況の試合でしたし,金沢・水戸とのアウェイ戦はどんな相手でも苦戦する試合だと思います。それを考えるとチームの調子が落ちているわけではないのだと想像できます。残り2試合は山口と町田との対戦です。

山形は夏の移籍で活発な動きが見られました。下の画像をご覧ください。

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加入5名(野田は5月に加入なので実際は夏の移籍ではありません),放出4名となっています。加入で言うと,唯一の完全移籍加入である山岸には注意が必要です。山岸は山口戦に6試合出場し2ゴールを決めており比較的相性の良い選手です。
放出で言えば,やはり阪野ですね。山形で今シーズン7ゴールを奪っていましたし,前線で時間を作ってくれる存在としてチームに欠かせない選手だったと思います。ただ,それでも山形がこの位置にいるのには現在1トップとして出場を続けている大槻の活躍が大きいと思います。

では山形の数字紹介に参りましょう。今回は4つです。

1.大崩れしない山形の力 〜大型連敗のなさ〜
2.どんな相手からも勝点を奪える力 〜シーズンダブルの喫しなさ〜
3.着実にゲームプランを遂行できる力 〜時間帯別の失点〜
4.昇格争いでは得点が必要 〜やや心配な得点力〜

まず,連敗の数についてです。山形は現在2連敗中となっていますが,連敗は今シーズン3度目です。連敗はあるのですが,3連敗は今シーズン1度もなく2連敗の後の試合はいずれも勝利を収めています

このように大型連敗で大崩れしていないことがシーズンを通して上位に居続けている要因だと思います。今回の山口戦で負けてしまうと今シーズン初の3連敗となってしまいます。今シーズンの山形であればこの山口戦に勝利して「やっぱり山形は強いな」と思わせるはずです。

次に山形のどんな相手からも勝点を奪うことができる力についてです。今シーズンの山形は同一カードの連敗がなくシーズンダブルを喫していません。つまり,どの相手からも勝点を奪っているということです。同一カードの連敗がないのは昇格を争うチームだと柏と大宮と山形だけです。この数字も山形が上位に居続ける力があることを示しているものだと思います。
山口にはシーズン最初の対戦で敗れています。ですから,この試合で負けてしまうと山口にだけシーズンダブルを喫してしまうことになります。

3つ目は山形の強さを支える失点数の少なさについてです。山形はここまで総失点が36でリーグ2位タイの少なさです。この堅守が山形の強さを支えていると思うのですが,時間帯別の失点を見ると立ち上がり15分の失点数の少なさが際立っています。

レノファま

上の画像をご覧ください。これを見ると後半残り30分での得点数の多さなども分かると思いますが,何と言っても立ち上がり15分の失点数「1」という数字が際立っていると思います。立ち上がり15分だけの失点数は当然リーグで最も少ないです。ちなみにこの1失点は5月19日の徳島戦で喫したものでした。この試合は80分にバイアーノのゴールで追いつき1-1-の引き分けとなりました。
試合開始直後にいきなり失点をしてゲームプランが崩れることがほどんどないという点が山形の強みであると言えます

最後の数字は得点の部分です。山形の総得点は55でリーグで9番目となっており悪い数字ではありません。ただ,少し気になることが無得点に終わった試合の数が12試合あるということです。無得点試合の数が12というのはリーグで7番目に多く昇格の可能性が残っているチームの中では最も多くなっています(次点で京都・大宮の10試合です)。これは非常に小さな差で重箱の隅を突いている感じもあるのですが,昇格争いでは勝点3が必要になります。3を取るためにはどうしても得点が必要になってきます。その時に無得点試合が昇格を争うライバルより多いという数字が影響する可能性があるかもしれません。残り2試合,山形がどうやって点を取るのかに注目です。


レノファ山口の現状とあれこれ

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山口は現在13勝8分19敗の勝点47で14位となっています。前節は町田に敗れ今シーズン7度目の連敗となってしまいました。来シーズンのJ2残留を決めてから連敗となってもいるためモチベーションの部分を指摘されてもしょうがない現状になっています。私はそんなことはないと思っているので残り2試合,昇格争い真っ只中の相手に一矢を報い,その声を吹き飛ばしてもらいたいところです。

さて,今週は代表ウィークとなっており,山口からは高宇洋がU-22日本代表に追加招集されました。U-22代表のコロンビア戦は11月17日に行われるため山形戦は欠場となります。

山口は来季の新加入選手が続々と発表になっていますが,このチームで行える試合はあと2つ,山形戦がホーム最終戦となります。坪井の引退セレモニーも行われますし「笑顔で終わる」ためにも山形が相手とはいえ勝利が必要な試合となります

さて,そんなこんなで山口のホーム最終戦の成績を振り返ってみましょう。

この前の琉球戦のプレビューを思い出していただけると予想がつくと思うのですが,山口はJリーグでのホーム最終戦で勝ったことがありません。成績は3分1敗となっています。
開幕からホーム8連勝を飾ったJ3の時のホーム最終戦はJリーグ・アンダー22選抜との試合でした。この試合のアンダー22選抜には現在札幌の進藤や浦和の汰木,水戸の前寛之などがいたみたいですが,結果は0-0のドローでした。
J2になってもホーム最終戦は相性が悪く,16年は今回と同じ山形との戦いでしたが結果は2-2の引き分けでした。17年は愛媛との対戦で1-1の引き分け,18年は甲府と戦い0-1での敗戦でした。
ちなみに,JFLのホーム最終戦もHonda FCと1-1の引き分けでこれも勝ってはいません。

負けは少ないけれど引き分けが多いというホーム最終戦のこれまでです。スッキリ終わりたい気持ちがみなさん強いと思いますので,それをできるのかどうかに注目しましょう。

それから残り2試合は前貴之が累積警告で出場停止となります。前は山口に加入3シーズン目ですが,加入初年度の17年シーズンは24試合に出場,昨シーズンは40試合に出場,今シーズンは37試合に出場しています。山口では通算101試合に出場しています。霜田監督になってからはチームの中心としての活躍が光ります。

山口の中心選手である前貴之の欠場は当然チームに大きな影響を及ぼします。こんな表を作ってみました。

レノファ前ちゃん

レノファ大丈夫

過去3シーズンの前貴之の出場時と欠場時のレノファの成績をまとめたものです。出場試合数が101,欠場試合数が23試合と大きくばらつきがあるので一概には言えない部分もあります。ただ,1試合平均の勝点を見ると出場時と欠場時で山口の成績に大きく差があることが分かります。また,試合数が少なすぎますが,去年と今年は前の欠場時に勝利がありません。今年に関して言えば,前が欠場した試合というのが横浜・横浜・柏となっているのでしょうがないと思いますが・・。

このように前がいないとチームに大きな影響を及ぼすことはやはり間違いなさそうです。残り2試合,彼が欠場する中でどんなサッカーができるのか,そしてその他の選手の奮起に注目していきましょう。


展開予想

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こちらが予想スタメンとなります。
山口では代表活動で欠場の高と出場停止の前のところに誰が入るのかという点に注目が集まります。三幸が1列下がって前線に1人誰かが入る形になると思います。CBは今季のここまでを考えれば楠本だろうと思いますが,引退発表の坪井のスタメンもあるかもしれません。
山形は前節退場のホドルフォが出場停止となります。代わりは松本か前々節の水戸戦にスタメン出場していた加賀だと思われます。そして2シャドーの1人が山岸なのか井出なのかは全く読めないところです。相性を考えて山岸としました。

山形の印象は前回対戦時とさほど変わりません。一貫した強さがあるのだと思います。山形の守備は基本的にはハイプレスです。ただ,水戸戦は私のイメージよりもハイプレスをしておらずハーフウェイラインにブロックを作って構えながら守っており,時間の経過とともにプレスを強めていったイメージでした。それに対して水戸は早めに長いボールを前線に蹴ってしまって流れを掴めなかった前半だったと思います。一方で長崎戦は立ち上がりからハイプレスでボールを奪っていました。さらに10人となった後もハイプレスでボールを奪いに行く姿は印象的でした。

このように山形は相手や時間によってハイプレスとブロックを構える守備を使い分けてきます。両方の守り方ができるところが堅守の要素の1つだと思います。山口とすれば,山形の出方をしっかりと見て早めに前線へ長いボールを送るのか,自陣でボールを動かしながら相手を引き出すのかという判断がカギになってくると思います。そこに注目です。

そして山形の攻撃なのですが,注目ポイントを1つに絞るとセットプレーになると思います。山形のセットプレーにはぜひ注目をしてください。前節の長崎戦の先制点はデザインされたセットプレーで得点を奪いました。

このハイライトだとよく分からなのですが,チームとして大槻をフリーにさせるデザインがなされていました。

大槻のマークについていたのは香川です。最初,大槻は柳と重なるようにポジションを取っています。その状態から先に柳が動き出し香川の前に立ちますその瞬間に大槻が動き出すと,香川は柳によって動きを制限され大槻がフリーになるということです。

これはバスケットのスクリーンプレーです。柳が香川に対してスクリーンをかけ大槻をフリーにするというデザインプレーです。

このデザインプレーは得点直後の14分から15分にかけてのCKでも見られました。この時も大槻はフリーになり2点目になってもおかしくないシーンでした。

山口はこのデザインプレーに大きな警戒が必要です。これを囮にするプレーも見せてくる山形ですが,お互いの駆け引きに注目するとセットプレーを楽しめると思います。特に最初の山形のセットプレーではお互いの選手たちの動きに注目してみてください。


シーズン最後に昇格を争うチームとの2連戦というのは,今の山口にとって歓迎すべき状況です。来シーズンに向けて価値のある試合になるでしょう。どこまでやれるのかに期待したいと思います。


*文中敬称略

*データは以下のサイトのものを参考にしています。
 Football-LAB (http://www.football-lab.jp/kyot/preview/)
 Soccer D.B.(https://soccer-db.net)
 J.League Data Site (https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
 transfermarket(https://www.transfermarkt.com)

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