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【マッチレビュー】山口パッツファイブ 〜新たな航海〜 #19


GAME1
山口90-75豊田合成

今節の対戦相手は第2節で顔を合わせた豊田合成。開幕直後の試合では、山口の7.ケンドリックと14.ジャクソンが欠場となり、厳しいロスターで臨んだこともあり、豊田合成が連勝を飾っている。

その豊田合成は今シーズン限りでのB3リーグ退会を発表しており、山口との対戦は今節が最後となる。
昨シーズンまで山口に在籍していた8.土居が所属しており、かつ山口のB3リーグ参入初年度、開幕戦の対戦相手となった縁深いチームである豊田合成。

そんなチームとの対戦が最後となるのは残念な気持ちもあるが、最後の2試合で両チームの良いプレーが見られることを期待したい。


-1Q(27-18)-

2.上松、15.濱田をスターターとして起用した山口。15.濱田をペイント内でスクリーナーとして使い、1.エイブラムが外からシュートを狙う形を見せる。

最初の得点をその1.エイブラムのシュートで挙げると、中盤を過ぎた辺りから15.濱田の絡みで流れを作る。

15.濱田がペイント内でポジションを取ってファウルドローン、そして真ん中をドライブで切り裂いて1.エイブラムと7.ケンドリックのアウトサイドシュートをアシストする活躍を見せた。

これまで自チームの外国籍選手2名と同時に出場する機会を与えられてこなかった15.濱田だったが、起用されれば活躍できることを証明し、大きな流れを作り出した。

また、流れを掴む意味ではスティールやリバウンドからのブレイクが3回ほど飛び出したことも大きく、18-10で豊田合成に序盤早々タイムアウトを取らせることに成功した。

豊田合成はトランジションからの33.竹村のスピード、3.ロス、22.ラスターのインサイドアタックで得点を挙げるシーンを作るものの、アウトサイドシュートの確率が低いこととターンオーバーによって山口についていくことができなかった。

終盤には7.ケンドリックの2本目の3Pシュートが生まれた山口。27-18と先手を取るクウォーターとなった。


-2Q(22-14)-

2Qはゾーンディフェンスで変化をつけてきた豊田合成だったが、依然として山口ペースで進んだ。

序盤は山口のペイント内を全員で封じる山口のディフェンスが豊田合成のオフェンスを上回っていた。

そして、オフェンス面では、8.下山の2本の3Pシュートと7.ケンドリックと14.ジャクソンでペイント内を攻略し、10-0のランを作った。

その後も、良いディフェンスから速いオフェンスに上手く繋げる山口。7.ケンドリックのシュートタッチも好調で点差を広げていく展開となった。

豊田合成はアウトサイドからのシュートを見せることができないため、インサイドをこじ開ける格好になっている部分が厳しいように見えた。

3.ロスのミドルジャンパーは飛び出すものの、それ以外はドライブかポストアタックからのペイント内のシュートとなるため、守る方としては絞りやすかったといえる。

ただ、最終盤は豊田合成が山口のペイント内からのシュートを上手く守り、リバウンドからトランジションに持ち込んで立て続けに得点を挙げた。49-25から0-7のランを見せ、後半に向けて良い雰囲気を作った。

最終盤はトランジションディフェンスで隙を見せてしまったが、立ち上がりからの18分間でペースを掴んだ山口が49-32でリードを奪った。


-3Q(17-22)-

3Q立ち上がりは14.ジャクソンのピックから9.重冨のジャンパー、15.濱田のスティールからのゴール下のシュートで山口が立て続けに得点を挙げる。

しかし、その後は豊田合成がペースを掴む。
前半になかなか決まらなかった3Pシュートを根気強く打ち続けると、3.ロス、22.ラスター、23.國分が1本ずつ決めて一気に追い上げムードを作る。

山口15.濱田のアシストから2本の3Pシュートを許すが、アウトサイドからのシュートが入るようになったことで点差を詰める展開に持ち込み、さらには8.土居がその15.濱田からスティールを奪い、23.國分のシュートをお膳立てし、10点差まで詰め寄った。

10点差に追い上げられた山口は1.エイブラムの3Pシュートと7.ケンドリックの連続得点で粘りを見せる。

しかし、トランジションから22.ラスターの3Pシュートを許すと、最後の2つのポゼッションは32.吉川からの展開でシュートチャンスを作ることができず、再び点差を詰められて3Qを終えた。


-4Q(24-21)-

4Qもペースは豊田合成。22.ラスターの3Pシュートで最初の得点を挙げると、8.土居のスティールから22.ラスターのシュートが決まり、1桁点差の展開に。

直後に1.エイブラムのミドルショットとファストブレイクから1.エイブラムのダンクを決められて再び点差を広げられるが、一度火がついた22.ラスターは止まらなかった。

すぐに3Pシュートを決めて流れを取り戻すと、34.ファーガソンのゴール下の得点を挟んで、ミドルジャンパーを含む2本のシュート決めて、このクウォーターだけで12得点を挙げる活躍。

73-68と5点差に詰め寄ってオフィシャルタイムアウトに突入した。

オフィシャルタイムアウト明けは互いに2点ずつを取り合う展開になった。

山口は14.ジャクソンのピックからスペースを作り、9.重冨、7.ケンドリックのシュート、そして14.ジャクソンのポストアタックから得点を挙げる。

豊田合成は14.ジャクソンが4つ目のファウルを犯したこともあり、34.ファーガソンのインサイドアタックで徹底的に攻め、得点を重ねていった。

5点差のまま進む中、残り2:45から勝負を決めるプレーが生まれた。

その大きなプレーを作ったのは山口の方だった。

このポゼッションも14.ジャクソンのローポストアタックが起点になり、アウトサイドで待つ77.川上へのキックアウトパスから3Pシュートが成功。このシュートがバスケットカウントとなり4点プレーが完成。

これで完全に山口のペースとなった。

このプレーから11-0のランを作り、一気に抜け出して試合を終わらせた山口が90-75で先勝を飾った。


-試合後の感想-

豊田合成は後半、アウトサイドシュートが入るようになってペースを掴んだが惜しくも敗戦となった。

22.ラスターの爆発に34.ファーガソンが続いたが、さらに続く選手が生まれず、追いつくまでには至らなかった印象だ。

明日はターンオーバーを減らすことと、日本人選手の活躍が勝利には不可欠となるだろう。

山口は15.濱田の活躍から良い流れを作り、序盤でリードを奪ったことが大きかった。

それでも、14.ジャクソンがファウルトラブルでコートに立てない時のオフェンスは明日に向けての課題となった。

彼がいない時間帯では、明確な衝立役がおらず、下手をするとボールが外を回るだけになってしまう。アウトサイドからのシュートが入る時にはそれでも問題ないが、入らない時には淡白なオフェンスとなり、流れを失う要因となってしまうと思う。

この試合ではそれが出てしまい、ボールが上手く回らず、相手のディフェンスのズレを生み出すことができず、スペースがなくシュートを打ててもタフショットになってしまうシーンがあった。

3Qラストの2ポゼッションや4Qの始まりにも1つあった、エントリーからスペースを作ることができず、32.吉川の1no1から時間ギリギリになり、シュートを打ちきれないというオフェンスはその典型だったように感じる。

勝因の一つとなった4Qのオフィシャルタイムアウト明けのオフェンスは14.ジャクソンがいることによって生まれた得点がほとんどで、ファウルが4つになりながらもMVP級の活躍を見せてくれた。

トランジションディフェンスも含めて攻守に渡って課題が残った試合であったと同時に、14.ジャクソンの存在の大きさを感じた試合だった。


GAME2
山口84-104豊田合成

-1Q(26-26)-

1Qは両チームのオフェンスの狙いが見える展開となった。

先手を取ったのは豊田合成。22.ラスターのローポストからのアタックと33.竹村と3.ロスのピックアンドロールという2つの武器を生かしてオフェンスを展開する。

33.竹村は開始して4分経たないうちに3アシストを記録。また、23.國分も要所で3Pシュートを2本決める活躍を見せ、ガード陣が前日とは異なる姿を示した。

一方の山口はスターター起用された7.ケンドリックと15.濱田を中心にオフェンスを組み立てていった。

この試合でも、15.濱田はインサイドへのカッティングやドライブからシュートを決め、またドライブから9.重冨の3Pシュートをアシストするなど、印象的な活躍を見せた。

また、7.ケンドリックからインサイドへカッティングする15.濱田へのハイロープレーは、抜群のコンビネーションを見せており、効果的だった。

中盤以降には山口の素晴らしいボール回しから9.重冨、1.エイブラムの連続3Pシュートが生まれ、山口がリードを奪い返すものの、豊田合成も3.ロスや22.ラスターのペイントアタックによって追い上げる構図となっていった。

最終盤は1.エイブラムのポストアタックを徹底し、得点を重ねた山口だったが、23.國分のアタックを前にファウルを犯してしまい、フリースローで同点に追いつかれ、26-26というスコアとなった。

-2Q(17-29)-

2Qは山口が入りに失敗。

前日同様、ピックを使って相手のズレを生み出せずにアウトサイドシュートを強いられると、22.ラスターのドライブからのレイアップ、そして、トランジションからの3Pシュートによっていきなり0-5のランを作られてしまう。

タイムアウトを取らされた山口は1.エイブラムのピックから9.重冨のドライブで2点を返すも、ゾーンディフェンスの外から22.ラスターに3Pシュートを許す。

さらに34.ファーガソンのブロックショットから12.高村がブレイクを繰り出して、9.重冨がアンスポーツマンライクファウルを犯す形になり、さらに点差を広げられてしまう。

その後は、25.小西のインサイドでの4得点などもあり、豊田合成が10点をリードする展開となった。

一方、セカンドユニットのオフェンスがうまくいかない山口は15.濱田を再びコートに戻す中で、1.エイブラムと7.ケンドリックのシュート力によって追い上げを見せる。

しかし、豊田合成はペースを失わず、34.ファーガソンのインサイドの強さとトランジションオフェンスを強調し、34.ファーガソン、3.ロスの得点や8.土居の3Pシュートなどで得点を重ねる。

山口はオープンショットを決められないシーンやオフェンスファウルによるターンオーバーなどで、得点を挙げられず、43-55と豊田合成に12点のリードを許す展開となった。

-3Q(19-25)-

3Qの序盤は両チームの外国籍選手たちが、得点を重ねた。

豊田合成は23.國分のオフェンスリバウンドからのバスケットカウントの後に、3.ロスと22.ラスターが躍動。

アウトサイドからドライブする形だけではなく、1on1からのジャンプショットが高確率で決まっており、量産体制に入っていた。

山口は1.エイブラムにシュートを打たせる形を作り、それに1.エイブラムが応える形で得点を挙げていった。

ただし、山口の得点ペースが豊田合成に少し劣る中で、複数回のターンオーバーやシュートの失敗によって、じりじりと点差を広げられることになってしまう。

中盤には豊田合成が、12.渡邊の4点プレーもあり、0-8のランを作り、19点差まで点差を広げた。

山口は15.濱田のボディコンタクトが全てオフェンスファウルを取られてしまうこともあり、完全に流れを失ってしまった。

8.下山の3Pシュートの形を増やすものの、8.下山が決める本数と同じぐらいに豊田合成の方も3Pシュートを決めて、山口の反撃ムードを与えない試合運びが光った。

このクォーターも豊田合成のリズムで進み、62-80とさらにリードを広げた。


-4Q(22-24)-

4Qは大きく点差を広げられてしまった山口が、3Pシュート攻勢で反撃に出る展開となった。

1.エイブラムや77.川上がシュートを決めるシーンは作るものの、シュートが外れた時のトランジションに問題があり、豊田合成に簡単に走られてしまい点差が詰まる雰囲気は感じられなかった。

また、豊田合成は4Qだけでなく、1試合通して中長距離のシュートが高確率で決まっており、前日からの修正をきっちり行ってきた。

チームとして3Pシュートが9/22と40%の確率で成功。2Pシュートも54%と一定の確率で決まっていたことで山口に一度も流れを渡さない試合運びを展開した。

試合はそのまま豊田合成の勝利で終了。
100点ゲームでの快勝となった。

-試合後の感想-

この試合の山口は、2Q以降、気づいたら点差が広がっており、その後ペースを掴めないまま試合が終わってしまった。

豊田合成のシュート精度が素晴らしかったこともあり、打開策は難しかったかもしれないが、トランジションで生まれてしまう隙やしたたかさにかけていた部分など、敗因は色々なところにあるなと感じる試合だった。

一つ挙げておきたい点が、ディフェンスの強度の部分だ。これは豊田合成と比較した時に相対的に感じたところでもある。

豊田合成は今日のレフリーの基準を見極め、うまく体をぶつけて、山口のオフェンスファウルを誘うシーンが何度もあった。

一方の山口にはそのようなシーンがなく、オフェンスファウルが吹かれるかどうかという際どいシーンすらなかった印象だ。

今日の基準であれば、体を近づけて、激しいチェックを行なっていれば、オフェンスファウルとなるシーンがあっても良さそうなものだが、そのようなシーンが全くないということは、寄せの距離感や強度が足りなかったと言えるのではないだろうか。

基準にアジャストした部分もあるのかもしれないが、山口のプレッシャーが足りなかったことが、豊田合成のシュートがよく決まっていた要因の一つであることもあながち間違いではないと思う。

なかなか連勝ができない状況が続いているが、シーズンが終わるまでにどうにか打破してくれることを祈りたい。

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