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「試合のカギはボールの失い方」 〜2019J2リーグ 第6節 FC琉球 vs レノファ山口FC プレビュー〜

こんにちは!

このnoteでは,2019年3月30日に行われるJ2リーグ第6節FC琉球vsレノファ山口FCの試合を展望していきたいと思います。

前節の栃木戦の振り返りはこちら



1.「琉球の記録を止めろ!」〜簡単なデータでの展望〜


まずは,過去の対戦成績を見てみましょう。

過去の対戦は,両チームがJ3に所属していた2015年の3試合のみとなっており,山口の3勝となっています。ちなみにこの時の試合に出場していて,現在もチームに所属している選手は,琉球が富所悠・田中恵太の2名,山口が鳥養祐矢・岸田和人の2名です。

つまり,明日の試合でピッチに立つ選手達は,当時の試合にほとんどいなかったわけですから,この対戦成績は全く意味をなさないでしょう笑。


それから,触れておかなければならないデータが,「琉球のホームでの強さ」です。ご存知の方も多いと思いますが,琉球は直近のホーム戦は,10連勝中で,24試合負けなしという無類の強さを発揮しています。最後にホームで負けたのは,2017年の9月16日に行われた鹿児島戦です。山口としては,およそ1年半負けていない相手のホームでの戦いとなります。



2.「前線へのロングボールを止めろ!」〜互いの戦い方の特徴からの展望〜


予想スタメンというか,両チームの前節のスタメンを並べてみました。まず,琉球のスタメンは,おそらくこの11人だろうと思います。変わる可能性があるのは,富所と上門の位置ぐらいかなと思います。

一方で,山口の方は,読めません。特にCBは2枚ともどうなるか分かりませんが,今週は水曜日も試合があるので,代表帰りのドストンを無理にこの試合に起用する必要はないと思い,栃木戦と同じセットにしてみました。ただ,システムは,ダブルボランチにトップ下1枚の形を強く推したいです。

山口の予想をこのようにしたのは,いくつか理由があるので,それについて書いていきたいと思います。

そのために,直近2試合(徳島戦・山形戦)を見て私が感じた琉球の戦い方を紹介しておきたいです。


まず,攻撃です。琉球は全員がボールを受けることを怖がらず,常に相手の間に立ち,パスコースを作ることでボールを運んでいきます。その時の起点は,上里です。彼にボールが渡ると,攻撃のスイッチが入るように感じます。
そして,敵陣に相手を押し込んだ時は,基本的に幅はサイドバックの選手が取り,前線の4人は,きれいに相手ディフェンダーの間に立ち,複数のパスコースを作り出します。そこから,誰か1人が裏に抜ければ,1人は落ちて受けるなどの連動した動きの中で,上里が1番嫌なところを選んでパスを出す,といった形で相手を崩しにかかります。その時の選択肢として,常に相手ディフェンスの裏が1番にあると思います。

その中で特に田中恵太の動きに注意したいです。間で受けて,外で待っている西岡にボールを落とした後,裏に抜けるスピードが特徴です。ここに山口の選手がついていけるかどうかが1つのカギになるかもしれません。

山口としては,押し込まれた状況のみを考えれば,アンカー1人とIH2人で中盤を3枚にして間のスペースを埋めてしまえば良いのかもしれません。しかし,山口の戦い方は,押し込まれることを考えるのではなく,積極的に前線へのプレスをかけることを考えるはずです。前線へのプレスを考えた時には,ダブルボランチのシステムである4-4-1-1もしくは4-4-2の形が良いと思っています。

なぜなら,琉球はプレスを受けた時に,意外と簡単に前線に長いボールを蹴るからです。

この点が,琉球の攻撃で最も印象に残りました。前線に長いボールを蹴るというのは,ボールを捨てるという意味ではありません。

おそらく,優先順位として,どれだけ相手がプレスに来ようが,ボールをつないで外していくことが常に1番にあるわけではないのでしょう。当然それを狙いつつも,相手が来るのであれば,長いボールを使って外すことがチームとして準備されているので,前線に蹴るプレーも多く選択します。

これができる理由が,1トップにいる鈴木孝司の存在です。彼のポジショニング,体の強さ,ボールを扱ううまさによって,簡単に長いボールを収めてしまいます。さらに,前線の他の3人も鈴木の近くでサポートすることを意識するポジションを取ります。サイドの田中や富所が内側にポジションを取り,長いボールが鈴木に入った後の落としに素早く反応します。

このように,鈴木が長いボールを処理しやすくなるような配置と鈴木の個人能力によって,後ろからの長いボールによる攻撃をデザインしているように思います。

守備側から見ると,まず鈴木孝司に収めさせないことを考えなければなりません。すると,ドストンを起用したいところなのですが,琉球は常に裏を狙っているので,そこの対応が少し不安なドストンよりも相手が強ければ強いほど燃えそうな菊池に期待し,鈴木を止めてもらおうと考えました。

もう1つ重要なことが,鈴木にボールが入った後の対応です。これが,ダブルボランチにしたい最大の理由になります。琉球はサイドの選手を内側に配置して落としを拾おうとします。その時に,アンカー1人では,そのスペースを埋めきれないと考えます。ですから,ボランチを2人にして少しでもセカンドボールを回収する確率を上げるべきなのです。

当然ダブルボランチにすると,上里がフリーになりやすくなりますが,それは前線の選手のプレスバックで対応することでなんとかしましょう!

私が1番危険だと思っているのは,後ろからのロングボールを鈴木が収めたあとの展開なので,これを抑えるためのダブルボランチのシステムを採用したいと思いました。


次に,琉球の守備に対する山口の攻撃についてです。これは栃木戦と同じようなイメージで臨めば,チャンスが作れると思っています。佐々木匠を1トップ下にして,琉球のSB,CB,SH,ボランチの間を取り,サイドに展開する形が効果的だと思います。琉球は,間で受けられた時にCBが食いつく傾向がやや強いかなというのが,私の印象です。サイドまでCBがついて行って,そのスペースをボランチが埋めるという形を何回も見せていました。

それから,山口ほどではありませんが,琉球のディフェンスラインも高いです。裏を取られるシーンは,何回かあったので,そこを高木大輔の動きで狙いたいところです。

山口としては,裏を狙いつつ,佐々木匠を間でうまく受けさせながら,相手CBを引っ張り出し,そこでできるスペースを素早くつくことで得点を奪いたいところです。



3.沖縄の地で勝ち点3を取るために必要なこと

この試合のキーワードは「ボールの失い方」だと予想しています。山口は,これまで,攻撃をやりきらないで,カウンターを受けるシーンやディフェンスラインで奪われて一気にゴール前といったシーンでピンチを迎えています。

一方の琉球も山形戦で,上里の縦パスを引っ掛けられてカウンターを打たれるシーンが何回かありました。また,88分に失点を喫したFKを与えてしまったシーンも,自分たちのFKを相手のゴールキーパーに難なくキャッチされたところからカウンターを受け,対応が後手になり,与えてしまったものでした。

お互いに主体性を持って相手を崩して点を取ろうというチームだからこそ,ボールの失い方がカギになると思います。シュートで終わる,プレスに行った時にボールを奪いきるといったことができたチームが,勝ち点3に近づくのではないかと思っています。

山口としては,沖縄の地で琉球相手に勝ち点を取ることは,簡単なミッションではありませんが,ここで琉球の記録を止めて,自分たちのこれまでの悪い流れも止めて欲しいと思います。


*選手の敬称は略させてもらいました。
*データは全てFootball LAB(http://www.football-lab.jp/ryuk/preview/?year=2019&month=03&date=30)のものを参照しています。 



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