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「ファジーカスのスタメン復帰がチームを変える」〜琉球戦&開幕10試合を振り返る〜

10月27日に行われた琉球ゴールデンキングスvs川崎ブレイブサンダースの試合は,72-75で川崎ブレイブサンダースが勝利し,連敗を4で止めました。この試合で川崎ブレイブサンダースが勝つためにとる策についてGAME1の振り返りのnoteで自分はこのように書きました。

(1).on3ではない時間帯の改善

(2).on3の時間を増やす

今見返すと,この書き方は微妙だなと思うのですが,私は(1)の方法を取ってくることは前提としてあり,その中で(2)をやってくるのかどうかに注目していました。そして,実際はというと(2)の方法は採用せず,(1)のみで戦いに臨みました。

前半は川崎が行った(1)の方法の中で,最も印象的だった「ファジーカスのスタメン起用」に焦点を当て,私が思ったことをバスケットカウントの記事を引用しながらつらつらと書いていきたいと思います。
後半は今季ここまでの戦いを振り返る内容となっています。

主に引用する記事は,こちらです。

目次はこんな感じです。


1.vs琉球を意識したファジーカスのスタメン起用
2.ファジーカススタメン復帰で川崎のスロースタートが解消される?
 〜今シーズンのこれまでの10試合を振り返る〜


1.vs琉球を意識したファジーカスのスタメン起用

改めて川崎のGAME1の敗因を挙げると次の2点になると思います。

(1)試合の入りに失敗し、1Qで6点しか取れず23点のビハインドを背負った。
(2)マクリン・エドワーズ・ファジーカスの3人が同時起用されなかった18分間で4  ゴール12得点にとどまった。

(1)に関して,北ヘッドコーチは次のように述べています。

「ニックは本当であれば30分以上は出したくないですが、やはり点が取れないので使いました。試合前の状態を見て判断しようと思っていて、良かったので先発に使いました。篠山を藤井に変えたのは、篠山のシュートの調子が上がってこないので展開が重くなっていた。一方で藤井の調子は良く、課題は得点が取れないことなので、得点を取れるユニットでスタートしようと思いました」

6点しか取れなかった1Qを改善するため,ファジーカスと藤井をスタメンに起用し,立ち上がりから得点を取りにいったことが読み取れます。さらに,この決断ができたのは,ファジーカスのコンディションが上がってきたこと大きかったようす。

(2)に関しては,琉球の激しいディフェンスもあり,スクリーンを使ったプレーがうまくいかなかったことが大きな要因の1つでした。この点に関して,北ヘッドコーチは次のように述べています。


「なんとか連敗を止めることができました。最初からエナジーを出しいいスタートが切れたのが、こういう結果になったのだと思います。やはりニックをスタートにして得点をコンスタントにとれたのが一番。ニックによってズレができることで、他の選手たちも思い切り良くシュートを打て、久々に3ポイントシュートも38%の成功率と決まりました。これで吹っ切れてくれればと思いますが、まずは勝ったことが一番です」

このコメントで,注目したいのは「ズレ」です。GAME1では,うまく作り出せなかったズレを作り出すためのスタメン起用だったことが読み取れます。


このように,(1)・(2)の問題を一気に解消する策が「ファジーカスをスタメンで起用し,彼を強調する」だったのだと思います。実際、1Qの川崎の攻撃は,ジャンプボールからの速攻でマクリンが得点を決めた次のポゼッションから5ポゼッション連続で辻とファジーカスのツーメンゲームを仕掛けています。このプレーを含めて,川崎は試合開始から8ポゼッション連続で得点を奪い,スタートダッシュに成功しました。GAME1を踏まえて準備した戦略が見事ハマり,1Qの得点がGAME1では6点だったところをGAME2には,23点にまで増加させることができました。

GAME1,GAME2の最終得点がそれぞれ60点,75点であることを考えれば,1Qの得点を17点増やせたことがGAME2の勝利に直結したといっても過言ではないでしょう。


2.ファジーカススタメン復帰で川崎のスロースタートが解消される?〜今シーズンのこれまでの10試合を振り返る〜

ここからは,川崎ブレイブサンダースの今シーズンを振り返っていきたいと思います。それを行うために,ファジーカスの琉球戦での初スタメンに関するコメントを見ていただきたいと思います。


「自分がベンチスタートの時はチームも苦戦していたので、このまま先発を続けていきたい。ここ3、4試合続けて第1クォーターはチームとして悪かった。だからこそ、先発で出て勢いを与えたかった」

今季の川崎を振り返る上で言及しておかなければならないことは,「出だしの悪さ=スロースタート」です。ファジーカスは,「ここ3・4試合」と述べていますが,そうではないんです。これを確認するために、ファジーカスがスタメンで出場しなかった今シーズンの9試合のクウォーターごとの平均得点を調べてみました。

(比較のために,昨シーズン60試合と昨シーズンの開幕9試合のクォーターごとの平均得点も載せました。)
今シーズンの1Qの平均得点に注目してください。昨シーズンの1Qの平均得点と比較しても,今シーズンの2Q以降の平均得点と比較しても,この「11.4点」という数字がいかに低いかということが分かるかと思います。この数字から,今季の川崎はスロースタートであったといえるでしょう。

では,このスロースタートの原因は何なのでしょうか。この問は,「ファジーカスがスタメンでないと,なぜ点数が取れないのか」という問に言い換えて考えていきたいと思います。なぜなら,スロースタートの原因は、「ファジーカスが出てないから」だとそこでこの論が終わってしまうからです笑
せっかくですから,もう少し深く探っていきましょう。

私が琉球戦のGAME1や開幕戦の千葉戦などを見て感じたことがあります。それは,「マクリンとエドワーズって試合の後半になると前半よりシュート決めるよな。」ということです。特に,琉球戦のマクリンについて言うと,3Q以降に決めているようなシュートをことごとく1Qには落としていたような気がしました。ですから,”川崎のスロースタートの原因は,マクリンとエドワーズがスロースターターだからなのでは?”という仮説を立て,それを検証してみることにしました。

これを検証するために,マクリンとエドワーズの開幕9試合のクォーターごとのプレータイムと平均得点を調べてみました。

これを見ると,エドワーズにはスロースタートの傾向が若干見られるものの,クォーター間の平均得点には,両者とも明らかな差はありません。平均得点という指標だけから言えば,私が立てた仮説は適切ではなかったということがわかります。

これで振り出しに戻ったわけなのですが,色々と検討して見た結果こんな数字にたどり着きました。

(1Qのチーム全体の平均得点が11.4点,マクリンとエドワーズの平均得点は合わせて6.1点なので『6.1÷11.4×100=53.4%』という計算です。)

明らかに1Qのマクリン・エドワーズの得点割合が高いことが読み取れると思います。ここから川崎のスロースタートの原因を推測すると,1Qはマクリン・エドワーズが出場する時間が多く,その中でチームとして「ズレを生み出す」ことができず,結果としてマクリン・エドワーズ頼みの攻撃が多くなっているのではないかということです。そのため,他の日本人選手の得点が少なくなり,1Qの平均得点が11.4点に止まってしまっているのでしょう。ですから,川崎のスロースタートの原因は「ファジーカスがいない時間帯にオフェンスがうまく構築できていない」からだといえます。つまり,「ファジーカスがいない時間帯にどうオフェンスを構築するか」が川崎の攻撃の課題だと考えられます。ただ,これは,新加入の選手との連携の構築が解決してくれるものであり,試合を重ねていく必要があります。そういった中で1Qの11.4点を少しでも増やすためには,「ファジーカスをスタメン起用し,1Qのプレータイムを増やす。」ことが最も手っ取り早い方法なのでしょう。事実,ファジーカスが初スタメンとなった琉球戦は1Qで23点も取りました。


ここまで,今シーズンの開幕9試合+1試合を振り返り,問題点と解決策を主に平均得点という指標から考察してきました。今週の大阪戦以降,ファジーカスが継続してスタメン出場できるようになれば,スロースタートはある程度解消され,もっと勝ちを重ねていけるようになるはずです。その中で,徐々に新外国籍選手との連携を高めていくことができれば何も問題はありません。ファジーカスのコンディションが整ってきたことで,だいぶその見通しが立ってきました。
川崎ブレイブサンダースはここから反撃開始です。


長い文章をここまで読んでくださった方がいたら,心からの感謝を申し上げたいと思います。選手の敬称は全て略とさせていただきました。
それでは。





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