勝つためには細部にこだわるべし! 〜J2リーグ第8節 V・ファーレン長崎 vs レノファ山口FC 振り返り〜

2019年J2リーグ第8節 V・ファーレン長崎 vs レノファ山口FCの試合は,2-2の引き分けでした。今回はその試合の振り返りです。

前回の試合の振り返りはこちらです。



1.何度でも見たい理想的な先制点

山口は,立ち上がり12分で2点を先制するという理想的な形で,この試合をスタートしました。中でも先制点は,GKから16本のパスをつないで奪った素晴らしいゴールでした。そのシーンを振り返りたいと思います。

長崎のフォーメーションは4-4-2,山口は4-3-3でこの試合に臨みました。長崎の守備は,4-4のブロックを組んでから前向きに圧力をかけてくる形でした。ただ,間に入ってくる選手をつかもうとする傾向が強く,埋めるべきスペースを空けてしまうこともありました。山口の先制点は,相手のCBを食いつかせ,その裏にできるスペースを的確につく形で生まれたものでした。

このシーンは,8分20秒の長崎のロングボールを,山口のGK山田がキャッチするところから始まります。そのボールを左SBの川井にスローでパスをし,川井が三幸にパスをつけます。そして,まず右サイドに展開しました。三幸からドストン→前→パウロ→ドストンと経由し次は左に展開しました。ドストンから菊池→川井→佐々木→高井→三幸とつないでいきました。

先制点を奪った要因の1つには,このように長崎の守備陣を左右に揺さぶれたことが挙げられるでしょう。

さて,高井からボールを受けた三幸は縦パスをうかがいながらも,また右サイドに展開することを選択し,ドストンにパスを送りました。ドストンがパスを受けた時,(9分05秒)長谷川悠のスライドが間に合っておらず,ドストンはフリーの状態です。ですから,ドストンは縦パスを送ることも,右の前にパスを出すことも,運ぶこともできる状況になっていました。その中で,ドストンは,前にパスを出しました。この時の佐々木匠のポジションが先制点を生み出した大きな要因の1つです。

例によって,佐々木匠は,長崎のCB・SB・SH・DHの間にポジションを取っていました。その佐々木に対して長崎はCBのイ・サンミンが前に出てきて対応しました。これによってイ・サンミンの裏のスペースが大きく空く事となったのです。

前はパウロにパスを出し,パウロをマークしていた相手のSBも引きつけました。この瞬間,前は,相手のSBとCBが空けた広大なスペースに走り出しました。これで勝負ありでした。後は,パウロが三幸にボールを預け,三幸が,長崎の裏のスペースに向かって走る前にパスを送るだけでした。

GKからボールをつないで長崎を前後左右に揺さぶり,スペースを空けて奪った完璧な得点でした。何度でも見たいゴールです。



2.山口を守勢に回した長崎の選手交代


1点目の2分後に追加点を奪い,試合を優位に進めていく山口でしたが,前半は玉田に直接フリーキックを沈められ,1点リードで終えました。それでも,後半立ち上がりも,長崎にペースを渡さず,決定機を作るなど、試合の進め方は,悪くありませんでした。

そんな中で,勝ち切れなかった要因の1つが途中投入された呉屋を捕まえ切れなかったことだと思います。呉屋は長谷川悠に代わって投入されました。

この試合の長谷川は前線にいるだけではなく,サイドに下りてきてボールを受けるプレーも行なっていました。ただ,長谷川は受けたところから自分で持ち込んで突破するといったタイプではありません。山口の守備陣は,その長谷川に食いつきすぎない対応ができていたように思います。

一方で,呉屋は,長谷川よりも下りすぎず,相手のディフェンスラインと中盤のラインの間でボールを受けたり,山口のサイドバックの裏のスペースでボールを受け,山口のCBをサイドまで引き出すなど,よりダイナミックな動きを見せました。

このボールの引き出し方によって,起点を作るだけでなく,自ら突破してクロス上げるなど山口のディフェンスラインを下げさせる効果的なプレーを見せました。これが80分での坪井投入という山口の選択を引き出したと思います。



3.勝利を手繰り寄せるために必要なプレーとは


長崎の反撃もありましたが,山口サイドとしては,自ら勝ちを手放してしまった試合だったと思います。それは,琉球戦の振り返りでも書いたディテールの部分にあると思います。そのnoteでは,相手のゴールに常に矢印を向けるなどといったチーム原則に基づいたプレーを大事に見ていきたいと書きました。

その考えは今も変わっていませんが,やはり勝つためには,その原則の中で適切な選択が必要なのだと痛感させられました。

例えば,縦パスを入れるタイミングです。リードしている試合終盤にやってはいけないことは,相手のカウンターを受けることだと思います。勝負の縦パスを入れ,奪われてカウンターを受ける場面は,今シーズンの山口に何度も見られる形です。

ただ,得点を奪うことも当然狙っていく必要もあるわけですから,「いつ縦パスを入れるのか」という判断が重要になってくると思います。

その1つの判断基準が,自分たちのディフェンスラインが押し上がっているかどうかです。試合終盤相手の攻撃を受け,ディフェンスラインが下がったままの状態で,縦パスを引っ掛けられると中盤が間延びし,カウンターを受けることになってしまいます。その形がこの試合の2失点目だったと思います。

ディフェンスラインが上がっていれば,縦パスを引っ掛けられてもすぐに奪い返しに行くことができるので,そこまで大きな被害にはなりません。

このように,原則の中での適切な判断は,失敗を経験しながら改善していくことが重要で,それが次第にできるようになれば,問題ありません。


ただ,原則どうこうではないもっと細かい部分で,ここ数試合気になっているプレーがあります。

それはゴールキーパーのパントキックです。山田がパントキックする際の山口のフィールドプレーヤーの配置が気になっています。

簡単に言うと,セカンドボールを拾えない配置になっているような気がするのです。

徳島戦の1失点目も元をたどれば,自陣に9人いる状態で,最前線の工藤に向かってパントキックを蹴ったことから始まっているように思います。そのボールを徳島に拾われて,工藤が1人でプレスに行くような状態になり,中盤のラインが後追いの形でプレスに行ったところの間を使われて,ディフェンスラインの裏を取られるという失点でした。

この失点をパントキックと結びつけることは,強引だろうと思いつつも,結果的に工藤が孤立し,それによってバイスがフリーになり,後手後手の対応になってしまったことは否めないとも思います。

長崎戦では,82分03秒付近のシーンです。長崎のクロスを山田がキャッチをして前線にパントキックをする際に,山口の選手9人が自陣深くにいるままになっています。よく見るとドストンはラインをあげるように指示していますが,これではこの後の展開が厳しいように思います。このシーンでは,最前線の山下がシュートまで持ち込みましたが,もし長崎にセカンドを拾われていたら,山口がラインを上げる前向きの矢印の逆を取られて,カウンターを受ける形になっていたのかなと思います。

パントキックは,押し込まれた状態でプレーが始まるわけですからこのような配置になってしまうことは仕方がないのかもしれませんが,結果的にゴールキックも含めてセカンドボールを相手に拾われてピンチになっている場面が,長崎戦では多かったと思います。

自陣でキーパーが相手のボールをキャッチした後,セカンドボールを相手に拾われた後の切り替えを勝つためには,もう少し突き詰める必要があるのかもしれません。今後注視していきたいと思います。



勝つために必要なディテールの部分は,たくさんの経験をして改善していく以外に身についていくことはないと思っています。これまで,8試合そういった経験をしてきました。

まだ8試合です。

これらを生かして勝利する瞬間はもうすぐやってくるでしょう。

1つ次節の鹿児島戦は,大きなポイントになるでしょう。その瞬間が次節になることを願って日曜日を待ちたいと思います。

*文中敬称略


*琉球戦のふりかえりはこちらです。


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2019レノファ山口 試合振り返り

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