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新たなキラーが誕生するのか?それとも… 〜J2リーグ第31節 東京ヴェルディvsレノファ山口FC プレビュー〜

J2リーグ第31節 東京ヴェルディvsレノファ山口FCのプレビューです。

前節の備忘録はこちらです。

https://note.mu/hk3sports/n/ncd0e94269156

対戦成績

 ヴェルディと山口の対戦は過去7度,対戦成績はヴェルディ3勝山口3勝と完全に五分です。どうでもいいですけど,毎年必ず山口ホームが1戦目でヴェルディホームが2戦目なんですね。

 今年の第1戦ではヴェルディが2-3で山口を下しました。古巣対戦の高木大輔がゴールを奪い山口が先制するも,ヴェルディが左サイドから効果的な前進を見せ逆転,山口が岸田のゴールで追いつくもヴェルディがカウンターからPK奪取をしレアンドロがきっちり決めヴェルディの勝利という打ち合いの試合でした。
 昨年の味スタでの試合はヴェルディが先制,中押しで2-0リードの中山口が1点を返すものの最後にダメ押しの1点を決めヴェルディが勝利というものでした。

 これまでの7試合のスコアを見ると打ち合いの試合が多いことが分かります。0点で終わったのは2017年3月の試合での山口だけです。去年からの印象で言えば試合の中でどちらかが殴る時間がありそれによって点が入りやすくなっているのではないかと思います。

 なぜそう思うのかというと去年の2試合の印象があまりにも強いからだと思います。去年の対戦はヴェルディが先制し少し守備的になったところを山口が押し込み殴る。そしてそのまま山口が試合をひっくり返したのが第1戦,殴られ続けることを防ぎうまく試合をコントロールしながらダメ押しゴールを奪いヴェルディが勝利を収めたのが第2戦だったと思います。

 この展開はロティーナ監督と霜田監督の組み合わせがそうさせていたのでしょう。その時とは状況が変わっている今回は殴り合いの展開になるかもしれません…


東京ヴェルディの現状とあれこれ

 ヴェルディは現在10勝11分9敗の勝ち点41で12位に位置しています。最近5試合は1勝2分2敗となっております。いい試合と悪い試合の波が激しいような印象を受けるスコアになっていると思います。

 夏の移籍では大きな放出がありました。キャプテンを務めていた渡辺皓太が横浜Fマリノスへ移籍しました。他にもネマニャコイッチと契約解除,林陵平が町田に移籍しました。
 一方でその分の加入もあります。元群馬のカンスンイルをタイのラーチャブリーFC,新井瑞希を富山,クレビーニョをブラジルのフラメンゴ,ジャイルトンパライバをトルコのゲンチレルビルリイSKから獲得しています。その中でパライバ以外の3人はすでに試合にも出場しています。特に新井は前節初スタメンでゴールを挙げています。

 さて,山口が前回対戦した時とのヴェルディとは大きく異なっていることがあります。それはヴェルディの監督が交代していることです。ヴェルディは7月14日の金沢戦の後にホワイト監督の退任を発表,後任にはユースの監督であった永井秀樹監督を指名しました。永井監督就任後は3勝3分2敗という成績です。
 これを踏まえてヴェルディに関する数字を見ていきたいと思います。ヴェルディの特筆すべき事柄は前半残り15分での試合の動き方です。端的に言うと,前半残り15分の時間帯に得点と失点ともによく生まれているということです

得点の内訳を見てみると全得点の約28%を占めているのが31-45分の時間帯です。31-45分の時間に11得点という数字はリーグNo. 1となっています。

失点の内訳は以下のようになっています。そこまで差はありませんが31-45分が9失点と最も多くなっています。この時間帯の失点数はリーグで琉球の10失点に次いで2番目の数字です。

つまり,ヴェルディは31-45分の時間帯はリーグで最も点を取っており2番目に多く失点しているということです。山口も含めてリーグ全体として後半,それも試合終了に近づくと得点が動きやすくなる傾向が見られますからこのヴェルディの数字は特徴的なものだといえます。

ただ,この数字を永井監督就任前後で捉え直すと違ったことが見えてきます。永井監督就任後は全10ゴールが生まれていますが,そのうち31-45分の時間帯に生まれたゴールは1点です。その他の時間帯も1得点か2得点と非常にばらけているのです。

失点も12失点のうち31-45分の時間帯には2失点です。ちなみに1番失点数の多い時間帯は16-30分で4失点となっています。これは京都戦で一気に3点奪われたことが大きく影響しています。

ここから読み取れることは,31-45分の時間帯に試合がよく動くというのはホワイト監督の時のデータであり永井監督になってからはそれが変化しているだろうということです。まだ永井監督になってからの試合数が少ないことは考慮されるべきですがホワイト監督の時とは試合の進め方が変わっているのではないかと推測することはできそうです。このデータを調べてみた印象では永井監督になってからは1点入るとその直後にポンポンと点が入る展開が多いのではないかと感じています。この辺りの試合の進め方の変化が実際にあるのかどうかはヴェルディサポーターの方にぜひ聞いてみた部分です。

それからホームでの強さもヴェルディの特徴といえます。現在リーグ戦の順位は12位ですが,ホームの成績では6勝7分3敗で6位に位置しています。ホームだけの成績で言えばプレーオフ圏内であるということです。

ホームでは特にプラスの数字が多いヴェルディですが,マイナスな数字をあえて挙げるとすると日曜日の成績でしょうか。今季の日曜日の成績は3勝5分6敗と負け越しています。アウェイ戦が多いことが影響しているかと思いますが,日曜日は現在4試合勝ちがない状態です。今季の日曜日のリーグ戦はこの山口戦を含めてあと5試合残っています。ここで勝って日曜日の悪い流れを断ち切ることができるのでしょうか。


レノファ山口の現状とあれこれ

山口は前節岡山に敗れホームで連敗を喫してしまいました。この試合は仕切り直しのアウェイ戦となります。

山口とヴェルディという対戦カードではそれぞれに「キラー」と呼べるほどの相性が良い選手がいることをご存知でしょうか。

ヴェルディに在籍している山口キラーの筆頭がDFの平智広です。彼は山口戦でかなりの結果を残していますが,現在負傷しているらしくこの試合に出場できなさそうなためここでの成績の紹介は割愛させていただきます。

一方,山口に在籍しているヴェルディキラーの筆頭がFWの岸田和人です。岸田はヴェルディ戦に6試合(スタメンで3試合)出場し5ゴールという成績です。山口に在籍している選手の中でヴェルディから最も多くのゴールを挙げている選手です。直近の3試合連続でゴールを奪っており,その中でも昨年のみらスタでの大逆転の試合でのゴールは印象的です。

山口がヴェルディから得点を取るためには必要不可欠な選手でしょう。スタメンか途中出場かは分かりませんがチームを勝たせるゴールに期待です。

山口にとってマイナスな数字は直近の関東アウェイで4連敗中であるというものです(甲府は入れてません!)。4連敗の前までは霜田レノファの関東アウェイの成績は良かったのですが,この4連敗でかなり雲行きが怪しくなってきました。

今季の関東アウェイはあと2試合です。ヴェルディ・町田に連勝し今季の関東アウェイ戦の星を五分戻して終わってほしいです。


展開予想

こちらが予想スタメンです。

ヴェルディの方は長崎戦と同じにしてみました。右SBのクレビーニョがアクシデント的な感じで前節交代したので,そこが少し心配です。

ヴェルディの攻撃はアンカーの山本を中心にボールを保持しつつ中長距離のパスを織り交ぜてゴールに迫る形が多い印象です。長崎のゴールも左WGの新井への長いパスから奈良輪がインナーラップでサポート,そのまま新井がカットインしてシュートという形でした。三幸を中心に中長距離のパスを使ってピッチを広く攻撃するという点では山口と似た面もあるのではないかと思っています。

一方で守備の方では左WGが前線に押し出された形の4-4-2に変形します。長崎戦の印象では2トップからアクションを起こしてボールを奪いに行くことが難しいように見えました。そのためボールを保持したいのだけど,ボールを奪えないので長崎にポゼッションで上回られていました。この点を考慮するととスタメンは新井ではなく河野という可能性も十分にあると思います。

また,もう1つ気になった点が押し込まれた時のSBとCBの間のスペースです。特に右サイドのクレビーニョと近藤の間にスペースができ,相手に使われるスペースになっているのではないかと思っています。クレビーニョは相手選手に目の前に立たれた時に食いつき過ぎる傾向があるように見えました。山口はそこを使えればクロスからのゴールも十分狙えると思います。

ただ,この傾向は山口にも見られる部分ですのでお互いにいかにSBとCBの間のスペースを使えるかのやり合いになるかもしれません。

対する山口は今節もメンバーが読めません。まず高宇洋がU-22代表遠征で欠場します。その代わりに入るのは佐藤健太郎になるでしょう。ここまでは読めます。問題は前線の組み合わせです。前節ゴールを奪った工藤と連続出場が続いている山下はスタメン濃厚だとしてあと2つの枠が誰になるのでしょうか。私の予想ではライン間を使える佐々木匠と前節復帰して古巣戦となる高井和馬としましたが果たしてどうなるでしょうか。

台風の影響で試合開催自体が微妙な状況になっていますが観客席とピッチが非常に近い西が丘で熱い試合を期待したいと思います。


*文中敬称略

*データは以下のサイトのものを参考にしています
 Football-LAB (http://www.football-lab.jp/kyot/preview/)
 Soccer D.B.(https://soccer-db.net)
 J.League Data Site (https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
 transfermarket(https://www.transfermarkt.com)


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