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とある透析患者の透析事情2

【ご注意】
この投稿はあくまで個人的な見解です。
個人の体質や合併症、透析環境、投薬状況によって大きく異なりますので、ご了承ください。

終わらない止血

透析導入時の総合病院、維持透析開始時のクリニックと、基本的に透析時間は3時間でした。それでも透析開始当時はすごく身体が楽になることを感じましたし、1年間の食事制限のあとだったので、普通に食事できることはありがたかったです。

それでもなお、リンやカリウムをコントロールするため多少の食事制限はありましたし、1日に2つほど打ち合わせが入ると、帰ってから寝込んでしまうことも少なくなく、体調の管理には大変気を使っていました。

そんな頃、ちょうど夏を過ぎたあたりから、どうしてもうまく止血できないことが増えてきました。原因はシャント接合部のすぐ側で穿刺しているため、血流の圧が非常に高くなってしまい、とまらないということでした。

短いときでも15分、酷いときは30分以上止血しなくては行けない状態に。しかもシャント接合部すぐ側で止血するわけですから、シャントがだめになってしまう可能性も十分考えられました。今考えると大変危険な行為ですね。

透析導入時は、シャントが未発達なため、血流の取りやすい接合部付近で穿刺を行うこともあるのですが、通常は維持透析に移行する段階で徐々に穿刺位置を変える(接合部から離す)そうです。

このときも穿刺部を変更すればよかったのですが、もうその頃にはシャントの狭窄がかなりひどくなっており、針がさせる状態ではなくどうしようもありませんでした。さらにいえば、狭窄に気がついたのは私自身で、バスキュラーアクセスの専門医にいかせてくれとお願いしたぐらいです。

余談ですが、クリニックのスタッフがほとんど聴診器を持っておらず、穿刺前に患者のシャントを耳や手で確認しないところは注意してください。見学に行ったときにはスタッフが首から聴診器をぶら下げているか、穿刺の際に毎回確認しているかをチェックしてください。

ただ1件目の専門医は「もう左手はだめだ、右手に作り直せ」と、ぱぱっと判断。どうにも納得がいかないまま、たまたま患者同士のオフ会で知り合った方に現在お世話になっている専門医を紹介いただきました。

こちらの先生は「う〜ん、かなり大変なことになってるなぁ。なんでこんななるまでほっといたんや。でも(PTA)やってみる?」と受診しにいったその日に施術。

3時間(通常は30分〜60分程度)に及ぶPTA(経皮的血管形成術)のおかげで、無事シャントは復活。年明けにもう一度横の血管に流れていた血流を止める手術を施し、シャントの流れはより強力なものになりました。

針も1段太いゲージのものになり、併せて血流も160〜180だったのが230まで上げられるようになったので、より効率の良い透析ができるように。ただ、それでも疲れやすい、リンが上がりやすいといったことにかわりはありませんでした。

短時間透析から長時間透析へ

前回の記事に書かせていただいたように、当時のクリニックにはいろいろ思うことがあり、1年少し経過した春に転院することを決め、現在のクリニックへ移りました。

転院の際にはなんとか引き留めようとするクリニックもあるそうです。なのでクリニックを決め、直前になってから転院させてくれという方もいるそうな。。私も転院1週間前に伝えて、引っ越して遠くなるし近場でいいところがあるからと伝えました。

転院した当初はまず4時間からスタート、1週間ごとに30分づつ延長し、最終的に6時間になりました。クリニック内は半個室で大変心地よく、周囲の音や視線、臭いも気にならないためストレスなく透析ができるように。

無線LANも提供されているため、仕事やAmazonプライム、Netflixなどの動画視聴にも不自由がありません。

血液検査の結果もみるみる改善し、今では塩分以外ほとんど食事制限はありません。もともと体重の増えは1kg前後で抑えるようにしていたのですが、長時間でゆっくり除水できるので水分などを我慢する必要もなく、しっかり補給できるようになり、便通の改善にも効果がありました。

何より身体の倦怠感や疲れが大幅に改善されたことで、7月末から筋トレ・水泳に通えるぐらいまで回復したことには、自分自身驚きです。まだまだ体力的には一般の方に比べるとかなり劣りますが、それでも1年前を考えるとずいぶんといい方向へ向かっていると思います。

さらに11月からはオーバーナイト透析へ移行できたため、深夜に8〜9時間程度の透析になりました。昼間の透析に比べて慣れが必要なので、まだ透析中にぐっすり眠れるほどではなく、帰ってから2度寝している感じですが。。

それでも日中の時間を有効活用できるため、こういった感じでnoteに記事を書いたり、運動したり新しい仕事の分野を勉強したりと、いろいろ挑戦できるようになったのはありがたいですね。

せっかく筋トレ・水泳を始めたのでトライアスロンにも挑戦することを決めました。といっても50歳までに一番短い距離のものとハードルは低めですが。

最後に

私の場合は、バスキュラーアクセスの問題も長時間透析の問題も、都心部にいてクリニックを選べたのが大変ラッキーだったと思います。地方の方などはやはり相変わらず従来の維持透析(4時間透析)だけで、オンラインHDFの導入も少なく、リンのコントロールや除水、合併症など大変な思いをされている方が多いと聞きます。

ただ最近は透析の世界も徐々に変化の兆しがあるようで、長時間透析にも診療報酬がつくようになり、むしろ短時間透析しかおこなっていないクリニックが損をする(?)ように変わりつつあるようです。

とはいえ、従来の患者さんが4時間でも苦痛なのに6時間なんて耐えられないとおっしゃるのもわかります。クリニックも病床数に限りがあるわけで、回転数を上げないと儲けにならないというのも理解できます。

こういった長時間透析などはクリニックの先生やスタッフ、諸先輩方の協力の結果受けられるようになったものなので、自分自身もなにかしら透析医療に関することに関わっていければと考えています。

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中の人はIgA腎症から2017/01より人工透析になりました。11月からオーバーナイト透析になります。このnoteでは少し緩めの減塩生活(透析食)について掲載したいと思います。