ジャズクラブに行ったそれは木曜日夜何もかもどうでも良くなったとき。

そこに置くものはレモンでも手榴弾でもなんでもよかったんだがどうして僕はバナナをもっていったのだろうかなんたって脆すぎてリュックの中でひしゃげてしまったのだ誤爆酸っぱい後悔を抱えながら僕は人の集まる暗闇の前にたち黒蟻どもを踏みつける妄想をしながら「どけよ凡人ども」と言っている自分を想像しながら眠りに落ちるように地下への階段を潜ってもぐもぐとコロコロ落ちて飴玉のようにねぶり丸裸になっていた。

どうしても暑く臭く湿気に満ちた空間で喉が渇いていたのだけど中には有象無象の魑魅魍魎が群遊闊歩して艶かしい肢体そこかしこに煌めかせていたのでわたしは自分がまるで銀行強盗になって人工の悲しみで警備員たちをぶっ刺殺しでもするような目つきで見るわけにもいかないのでただ地面と通り過ぎる足と足と葦のような人間どもと男といい匂いのするような女のようなトカゲたちを追いかけていて気付けば飲むものもなくビールを頼んでいて群遊押し潰されんばかりに濁流にのみこまれて前線へ割拠参上すればそこには髪の長い日本人とメキシコ人の半分子がいてそいつはハモンドオルガンで人間を虐殺していてそれはそれは綺麗な大失敗だったのだがインド人はそこにギターをもってきて馬鹿野郎アコースティックギターでセッションなんか来てんじゃねえよって俺は殴り飛ばしてフリューゲルホルンの音にカリスマを見ていた。

この曲はサマータイムっていうんだぜって隣の売女と売女の脚食んでたクンデラが混んでらって9mmパラベラム撒き散らして亜目皆目酔いもせず人海割ってエルサレムまで行ってん脱退パッタイ韃靼万里の長城上超え空超えバカほど超えて階段登る途中転んで死んで瓶で頭まで打って天界でも頭展開身も健在ってこれがまた重くて存在はじゃあ耐えられるかもしれねえってなテノールの声であいつは歌ってたから俺がここでイモ引くなんてできなかったってわけ。

俺はメガネのアジア人に言ったんよ買ったばっかのスマホば向けてじゃあAutumn Leaves弾かせてくんめえかって勝手に上がってシンドバッで何がえれぇんだってなおりゃあ次の反田恭平になんだって突っ走って突っ張って反って上がって指踏み外してなにやってんだあお前っておりゃあジャズ田恭平だってぇそれでもソロってやつは揃ってやってきてそろそろ俺の番だなって思えば俺のメロディなんてどおっこにも無くってな鍵盤が重いのなんのパンのようにやわくってってっても黒いパンってえのは俺のゆびさきみてえに固くって肩透かしっていうっていうか官僚主義もここまで来るたあ勘弁だなっていうくれえにきまった32小節分の諸説ある小説みってえに読まれて読まれて酔まれてきづきゃあ俺はステージから降りててよう隣にゃボンボンボンってステージでジジイ楽しそうにウクレレ捨てて歌ってやんの奥さん捨てて子供も捨てて警察だけがついてきて。

はって冷静になって周りをみてもそれはもう手遅れで当局に連絡したぜって友達だって思ってた半分この日本人はもう半分のメキシコ人を笑ってそれがどうしたんだよってわたしは押し殺してたリュック左ポケットの大釜ガエル火を吹いてなにもかも燃やしてしまおうかっていくわけにもいかないからからっきしの声で俺は泣いて泣いて泣いて泣いたってしかたないけどだからってなんのために泣くでもないから自分の起こした火ぃ自分の涙で洗い流してそんな焼畑農業人間の死体から俺は種を育てんだい。

もうしっかりと腹を立てては頭を寝かしつけていたからおれの体はLから鉤括弧の始まりになって気付けば終わらない引用始まっちまっててこれじゃあ俺が解られちまうって焦ったもんよ叫んだんだ俺は俺のことだれにも渡さねえってなんてなんでかわかんねええもいわれねえ気持ちになって勝手買って何をってバリトンだよあんたサックスってえのはどんな形だって木管だって金管だってあるもんさって去って行ったってここには出口なんかねえよって酔って寄ってまた戻ってたらしいなあのバカ息子寿司食って婿養子っつったって家もなくってどこにも行けねえんだってなあかわいそうにとは思うがみんな生きるのに必死でItchでどこまで掻いてて掻いてたんだっけって言ってる間に記憶も無くなってなあ気付きゃあ人間失格よいつまで経ってもねぼけてるってなもんですねって寝込んで少しだけ頭ば起こして鉤括弧は終わる。

夢はそこでおわったはずで僕はバスを待っていてあのときドラムを叩いてたおじいさんは僕の隣に座ってて初めてのセッションにしちゃあ上出来だってあのとき以来言ってないんだあのクラブにはどこまでも惨めになる感覚どこまでも自分が小さくなる感覚半分半分の人間たちは俺にありがとうって言っていたけど俺たちはみんなずっと昔の片割れ探してるから恋ができるんだぜっていうのだけどそんなのどこにあるんだろ恋人つくるっていったってそんな材料ホームセンタじゃみたことねえぜっていったって何言ってんだっておれはそのジジイに横っ面殴られたんんよ俺はツーも見たしファイブも知ったけどいつまでもワンがみつかんねえんだよ。

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