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液晶工場見学が楽しかった香港の1週間

山根博士の「スマホ取材の裏側」Vol.62(2018年7月16日)
年間230日を海外取材に費やす”携帯電話研究家"の1週間の行動記録
シャオミがIPOで香港に上場。深センや恵州へ行ってきました。

[1]恵州の液晶工場へ---実は初めてライン見学
[2]シャオミが香港で上場---週刊エコノミストに寄稿
[3]Razer Blade Stealthが気になる---ThinkPadから乗り換えか

仕事情報などは公式サイトからどうぞ:山根康宏のモバイルネタ

[1]恵州の液晶工場へ---実は初めてライン見学

日本から携帯電話研究家で大学教授でもある木暮祐一氏が久しぶりに香港にこられました。と言ってもメインの視察先は深セン。1日はご一緒に電脳街巡りとなりました。ちなみに今の私がこうしてメジャーなメディアに記事を書けるようになったのは木暮氏のおかげです。会社を退職後、ほぼ毎月日本に帰国するたびに日本でお会いし、そのときにいろいろなメディアの方々ともお知り合いになれたのです。

さて今回は部品関係の視察もあり、液晶パネルの製造工場へ行かれるというので私も同行させてもらいました。香港駐在員時代は液晶部材(と樹脂)の貿易・営業業務を行っていましたが、液晶の工場の内部を見たことはありませんでした。もともと素材の製造部門にいた私はモノを作る現場を見るのが好きなのです。それにより製品をよりよく知ることもできますからね。ボタン一つ押したらスマートフォンが出来上がる、なわけありません。

液晶や配向膜(液晶パネルに必要)を売っていましたが、工場のラインを見ることで自分が扱っていたものがどのように使われるかが改めてよく理解できます。まあ今頃知っても遅いのですが、スマートフォンのディスプレイに対しての理解度は深まりますね。ガラス二枚の間に液晶を満たして電圧を書けることで表示されるわけですが、言葉や図で見るより現物を見せてもらったほうがわかりやすい。

ラインは前工程を入れると長く、洗浄重要、ホコリ大敵。わかっていたけど作業をみると腕時計の小さな液晶パネルでさえ多くの人が製造に関わっています。そしてそれが品質や人件費にも関係するわけです。今回見学した工場は台湾資本ですが、整理整頓は当然しっかりとしていて、建屋は古めながらも隅々まで清掃が行き届いていました。

一昔前よりも液晶パネルの価格は大きく下がっていますが、手が抜けないところは変わっていないわけです。スマートフォンの価格のほとんどがSoCとディスプレイですが、どちらもまだまだ進化していくだけにこの傾向はしばらく変わらないでしょう。

[2]シャオミが香港で上場---週刊エコノミストに寄稿

7月9日にシャオミが香港で上場を果たしました。7月17日発売の週刊エコノミストに寄稿しています。シャオミはどこへ行くのでしょうか?

しかし当日の終値は売値を下回る結果に。シャオミ関係者から「今よりも将来を」なんて発言が出てくるように、今のシャオミには一時ほどの潜在力はありません。ブランド力もあるようでないのが実情。生活雑貨まで手を広げているのは、目新しさを常に提供しなくては消費者が注目してくれないからです。

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