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スポーツ写真を始めよう<7>:レンズとボディの組み合わせまとめ

 「スポーツ写真を始めよう」連載、これまでおすすめのカメラボディとレンズを紹介してきました。

 結局写真というのはカメラボディとレンズをどう組み合わせていくかということなので、これまで紹介した機材の中でもいろいろな組み合わせが考えられます。

レンズとボディの組み合わせ

 それをまとめてみたのがこの表です。

カメラとレンズ

 ボディはこれまで紹介してきた3種類、レンズはこれまで紹介してきた5種類あるので、15組の組み合わせがあります。それぞれ、10万円、15万円、20万円、25万円、30万円でのおすすめを赤字で示してあります。

 ボディとしては、基本はD500がおすすめなので、それを軸にレンズのおすすめを決めています。D500をおすすめする理由は、前回書いたとおり、スポーツ撮影時のオートフォーカスの精度が高いことにつきます。なお、レンズについては、屋外のスタジアムで撮影するという前提で選んでいます。屋内競技がメインの方だったら、20万円かける場合ならレンズは70-200F4ではなく、70-200F2.8のGタイプの方がいいでしょう。

 追記しておくべきことが2つあります。まずは安価なレンズのオプションについてです。この中では、AF-P DX NIKKOR 70-300mm F4.5-6.3G ED VRを挙げてますが、実は70-300mmのズームはいろいろあって、その中には開放F値が5.6でこのレンズよりも少し明るいものもあります。ただそれらのレンズは選択肢には入れていません。というのも、その程度の明るさの違いだったら、もう少しお金を使ってF4クラスのレンズを買った方がいいからです。

 もう1つ、私の連載では一切取り上げませんでしたが、超望遠ズームというオプションもあります。例えばニコンでは200-500mmf5.6というレンズがあります。

 値段も安く(新品で15万円くらい。マップカメラ中古美品で13万弱)、500mmまであってなんて魅力的な望遠ではあるのですが、これらのレンズはスタジアムで使うには大きすぎます(全長267.5mm)。他にシグマとタムロンから150-600mmというレンズが出てたりしますが、いずれも大きすぎるのでスポーツ撮影にはおすすめしません。時々スタジアムで見ますけどね。

入門機からのステップアップ?

 これからカメラを始める人は、まず入門機から初めてその後機材のグレードを上げていく、というルートを取ろうとすることが多いです。ただ、スポーツ撮影ということで言うと、それはあまりおすすめできません。

 というのは、入門機はオートフォーカスの精度や連写速度が低かったり、画像処理エンジンやイメージセンサーが一世代前のものだったりするからです。

 一方、入門機には「シーンモード」というお任せモードがあり、「スポーツモード」にすればスポーツ撮影に適した設定をカメラの方で勝手にしてくれるといった手軽さがあります。

 ただし、スポーツ撮影という目的がはっきりしているならば、「シーンモード」に頼る必要はありません。困ったらシャッタースピード優先設定で1/1000秒の設定をすればそれなりのショットが撮れます。

 また、上級機は、ソフトウェアもハードウェアもきれいな写真を撮るための技術が惜しげなく注ぎ込まれています。なので、実は初心者こそ、上級機を使った方がいい、という面もあるのです。私が予算の許す限りD500をおすすめする理由はそこにあります。

中古で買うのは怖い?

 また、慣れてない人は中古で買い物することに抵抗があるかもしれません。けれど、ここまで紹介してきたマップカメラなどでは、きちんと検査もしているので「外れの個体」に当たることはまずないです。個人的にもないですし、写真系のSNSでもそういう情報が流れてきたことはありません(ただしヤフオクは避けた方がいいでしょう)。

 ただここで、ちょっと気をつけるポイントだけいくつか記しておきます。カメラボディ、特にスポーツ撮影に使うような連写性能が高いカメラボディは、前のユーザーがかなりの枚数連写している可能性があります。ところが、カメラのシャッターには「耐久上限枚数」というのがあるのです(D500で20万枚)。

 なので、それに近い枚数の個体が当たってしまうリスクはあります。例えば私はこの1年で70000枚近く撮影してますが、このペースで撮影し続けると3年で耐久上限枚数まで行ってしまいます。なので、中古で買うときは、これまでの撮影枚数ができるだけ少ない個体を引き当てたいものです。

中古カメラボディのチェックポイント

 私が中古でD500を買うときは、3つのポイントからチェックしました。1つはシリアルナンバーです。シリアルナンバーが大きければ大きいほど新しく、新しければ新しいほどこれまでの累積撮影枚数は少ないと考えられるわけです。

 2つめのポイントはマウントの傷です。マウントとは、レンズとボディの接合部で、レンズの交換を頻繁に行えば行うほど細かな傷が付くと推測されます。

 これは私のスポーツ撮影の時のサブ機であるD810のマウント部の傷です。ネジの右下に傷が付いているのがわかります。こちらの個体は既に累積撮影枚数が18万枚を越えており、限界枚数に近づいているだけあって、マウントに傷が付いています。

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 逆に言えば、ここがきれいな個体であれば、前のユーザーはそれほど頻繁にレンズ交換をしていないことになるし、だとすればそれほど多く使っているわけではない可能性が高くなります。

 3つめのポイントは底面の傷み方です。ここが傷んでいるようだと、三脚を頻繁に使っていた可能性が高くなります。また、そこにあるバッテリーグリップとのコネクターを覆っているゴムもチェックすべきです。バッテリーグリップとは、カメラボディの下に取り付ける部品で、文字通り追加のバッテリーを付け、またカメラを縦に持ってもシャッターを切る右手の場所を変えなくて済むようになるものです。このコネクター部分のゴムが傷んでいたら、前のユーザーは頻繁にバッテリーグリップを付けていたことになり、相当多くのシャッターが切られていた可能性が高くなります。

 これはやはり私のD810の底面ですが、18万枚に見合う傷み方はしてますね(笑)。

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 この2つめと3つめのポイントですが、マップカメラでは中古のカメラについては数多くの写真を掲載しているので、ネットからでもチェックできます。私はこの3つのポイントでチェックして、買った段階での累積撮影枚数がわずか3000枚の個体を引き当てることができました。3000枚って場合によっては1試合で超えてしまいますから、スポーツ撮影的には事実上新品といってもいい位です。

 なお、もしリアル店舗に行くことができるなら、SDカード入れて試し撮りをさせてもらって、データを持ち帰りましょう。撮影データで、どれくらいこれまで撮影してきたか識別してくれるサイトがあります。このサイトを使えば簡単に確認できます。


趣味にウン十万円はさすがに・・・・?。

 最後に、「先立つもの」がやっぱり最大の課題になると思います。私のおすすめの組み合わせだと約30万ですから、「趣味にそこまで金は使えない・・・」というのは十分ある話だと思います。実は私も、スポーツ撮影のために機材をそろえたわけではありません。

 カメラを買ったのは、元々は子供の写真を撮るためでした。子供が小さい頃は標準クラスの単焦点レンズを買い集め、それから運動会用に望遠レンズを買い足していきました。一気に買い集めたわけではないにしても、「子供のため」でなければなかなかできない出費でしたね。

 ちなみに、子供の運動会の撮影というのは、並のスタジアム撮影より厳しい条件です。さすがにナイターはないにしても、体育館の中で行われることもあります。そして撮影できる場所は指定されたところだけです。さらに、ミスが許されません。

 スポーツ撮影って、プロじゃない以上、なんだかんだいってミスは許されるんです。ミスると悔しいけど。

 とはいえ、三笘薫のゴールをミスっても「残念・・・」で済みますが、我が子の運動会のリレーの写真(例えば)をミスるとその後悔たるや比較になりません。写真系のサイト(価格.comなど)には、「子供撮りなんかのために高い機材は不要」とコメントする人も数多くいますが、それは完全に間違いです。運動会はスタジアム以上の制約の中で撮らなければなりませんし、普段も子供というのは、大人の言うことを聞かずに動き回るので、性能のいい機材が必要なのです。

 ずっとおすすめしているD500は、子供が大きくなってスタジアムに行けるようになったので、ずっと使っていたD810に加えて去年購入しました。特に、上の子が中学生になった頃から被写体になってくれなくなり、また自分の写真の好みも少し変わっていくつかのレンズを使わなくなって来たので、この時には使わなくなったレンズを何本か下取りに出しています。

 まあ、スポーツ撮影は所詮は趣味ですから、そこにいくら使えるか、というのは人によって違うと思います。そう思って、この連載では予算ごとにおすすめ機材をまとめてみました。私も、子供撮りというのがその前になければ、今の機材をそろえることはなかったでしょうし。


 機材の紹介はこれで終わりにします。スポーツ撮影に興味がある方の手助けになれば幸いです。このマガジン、次回いつになるかわかりませんが、次回からは実際の撮影テクニックの話をしていこうと思います。



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