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ラグビープレビュー:準々決勝 パナソニックワイルドナイツ対キヤノンイーグルス

 この週末はラグビートップリーグプレーオフトーナメントの準々決勝4試合がある。たまたま緊急事態宣言下にある都道府県が会場となっていないため、全試合有観客試合の予定。ただし大分で予定されていたサントリーサンゴリアス対リコーブラックラムズのみ、リコーでCOVID-19陽性が多数発生したため、試合実施に必要な人数を準備できず試合中止。サントリーの準決勝進出が決まった。リコーの無念を思うと胸が痛む。

 関東圏では熊谷でパナソニックワイルドナイツ対キヤノンイーグルス。15時キックオフ。キヤノンサポーターズクラブでチケットを確保(ヘッダの写真をキヤノンにしたのはキヤノン側の席で見るから。赤い服着てきます)。駐車場も予約してあるので、感染対策を考え、車でどこにも寄らずに駐車場に直行。帰りも寄らずに帰宅する予定。

 プレビューはあまり書かないのだけれど、明日は18時キックオフのフロンターレ対ガンバ戦をできるだけ早くから見るために最速レビューを書かずに帰宅する予定だということもあり、自分の観戦ポイントを頭の中で整理するためもあり、今日は書いてみる。

パナソニックワイルドナイツ、これまでの戦い

 2つのカンファレンスに分かれて行われた今年のトップリーグのリーグ戦ステージ、パナソニックは6勝1敗でホワイトカンファレンス1位。勝敗は2位の神戸製鋼コベルコスティーラーズと同じだったが、ボーナスポイントの差で勝ち点で2つ上回った。神戸製鋼との直接対決は豪雨の中、13-13の引き分けだった。

 とはいえ、戦績は圧倒的。リーグ戦は5試合で35点以上の差を付けた。接戦となったのは神戸製鋼戦と26-13だったNTTドコモレッドハリケーンズ戦のみ。準々決勝で対戦するキヤノンとも当たっており、そのときはなんと47-0の完封での大勝を収めている。

 私が観戦したのは2試合。点差が開いた日野戦は最速レビューしか載せていないのだけれど。

 ここから言える特徴は以下のように整理できるだろうか。

・ 前半は抑え気味でロースコアになることが多い
・ 前半は相手にディフェンスを観察し、後半に弱点を狙って攻め立てる。失点すると相手を乗せてしまう時間はきっちり守りきる。
・ 巧妙なテリトリーキックで陣地を稼ぐ
・ ノット・リリース・ザ・ボールの反則が少ない
・ 相手のキックを切り返してのトライが多い(日野戦では4トライ、ヤマハ戦では3トライ)


キヤノンイーグルス、これまでの戦い

 キヤノンイーグルスはホワイトカンファレンス5位。ただ、秋田で開催する予定だった日野自動車レッドドルフィンズ戦、日野側にCOVID-19陽性が多数発生して試合実施ができず、勝ち点2となったが、この試合、勝ってボーナスポイントも取れていれば3位になっていたので、実力を反映した順位にはなっていない。

 とはいえ、初戦のNTTドコモ戦の惜敗から3連敗、そのあと4連勝と言うスロースターターぶり。特に2試合目の神戸製鋼戦の10-73、パナソニック戦の0-46は目立つ。

 しかしその後はヤマハ戦を40-32、リコー戦を31-28で勝利、波に乗った。特に接戦が少なかった今年のトップリーグで、NTTドコモに敗れた試合を含めて3試合の接戦を戦い抜いてきたことは、チームとしての一体感を高めているはず。

 観戦したのは3試合。最後のNTTコムシャイニングアークス戦はレビューを書く準備はできているのだけれど、5/4のフロンターレ対グランパス戦を先に書くことにしたので欠けているのは速報レビューだけ。

 キヤノンの特徴も整理しておこう。

・反則(特に攻め込んでのノット・リリース・ザ・ボール)は多い。
・キックで巧妙にテリトリー確保(リコー戦では13回蹴って10回前進。相手が蹴った9回のキックのうち後退させたものが4回、NTTコム戦では8回蹴って6回前進)
・アタックでは両ウイングを同一サイドで使う移動攻撃を多用。
・小倉順平がフルバックに定着したことでダブルゲームメーカーの有利を得ている。特にアンストラクチャーの局面(アンストラクチャーからの切り返しでNTTコムからは2トライ)と移動攻撃の時。
・スクラムでは劣勢に立たされることが多い


観戦のポイント1:キック

 ここまで整理してきたところで、プレビューとして観戦のポイントを。

 両者の特徴を整理すると、共通するのはテリトリーキックを有効に使うこと。だとすればキッキングゲームという局面が容易に予想できる。しかし、パナソニックで正確なキックを誇る山沢拓也はリザーブ。松田力也のキックは山沢ほどではないので、このあたり、パナソニックがどういったゲームプランで来るのか。

 もしキッキングゲームになったら、田村優、小倉順平と言うダブルゲームメーカーの効果が生きてくる。2人ともキックディフェンスに入っているわけだが、キックをキャッチしたあと、蹴り返さずにランで切り返して捕まっても、もう1人がスタンドオフの仕事をして素早く攻撃を組み立てることができるからだ。

 なお、パナソニックは相手のテリトリーキックからチャンスを作り出すのが得意。となるとキヤノンが蹴るときは、よほど明確な意図と、しっかりとしたチェイサーの態勢を整えることが不可欠。あるいは逆に、蹴られたときは蹴り返さずにランで仕掛けていくと言うのも1つの考え方だ

観戦のポイント2:ディシプリン

 両者の1つの違いは、ディシプリンの部分。特に、パナソニックは攻め込んだ状態でノット・リリース・ザ・ボールを犯すことが少ない。これは攻め込んだ状態でターンオーバーされたとしても、相手にタッチを蹴らせてしまえばマイボールラインアウトで再開できることを考えてのことだろう。

 一方キヤノンは同じ局面でノット・リリース・ザ・ボールが多い。この場合はペナルティになるから蹴り返されたラインアウトはユアボールになる。攻め込んでもこのパターンで押し戻される展開が続くと、キヤノンとしては厳しくなる。

 また、キックに対してランでカウンターを仕掛けた場合でも、ノット・リリース・ザ・ボールには気をつけなければならない。この場合、中盤でのペナルティとなるので、タッチで下げられてユアボールラインアウトと言うことになってしまう。あるいは場所によってはペナルティゴールで3点と言うことにもなる。

観戦のポイント3:外側の攻防

 キヤノンは両ウイングを反対エッジに移動させ、フルバックと組み合わせてデコイを切り替えていく移動攻撃を多用する。それでトライを取りきれなくても、ビッグゲインを取ってきた。

 ただ、ウイングを移動させる時間が必要なので、第2フェイズないし第3フェイズにこう言う仕掛けがある。あるいは、通常は9シェイプのフォワードでブレイクダウンを作る第1フェイズでも、クラッシュ寸前に田村優にパスして大胆なアタックを仕掛けることがある。

 一方、パナソニックはヤマハ戦で早いフェイズでセンターに外側をブレイクさせる形の攻撃を見せた。

 こうしてみると、両者とも近場をゴリゴリ攻めるのではなく、ボールを動かしての攻撃オプションを重視しているのがわかる。となると、外側にボールを運ばれることを前提に同ディフェンスを組み立てていくかと言った点がポイントになる。具体的には、(1)外側にボールを動かした時にディフェンスを突破できるか、(2)突破したあとのブレイクダウンで優位に立てるか、(3)アドバンテージを取れたときにちゃんと活用できるか、と言ったところが注目点か。

 ちょうどパナソニックのアタックを分析したときにキヤノンも例に挙げたので、興味がある方は以下を参照いただきたい。


試合の展望は?

 試合展開の予測なんて外れるに決まっているから普段は書かないのだけれど、ここまで書いたので最後に3つのシナリオを。1つに絞らないのは当たりっこないから。

・全般的にパナソニック優位。キヤノンは点差を離されないことがポイント。前半風上で点差が開かないように戦うのが常道。しかしずっとパナソニックがスロースターターなのを考え、後半風上の陣を取り、後半勝負というギャンブルも面白い。コイントスの時から駆け引きが始まる。
・トーナメントと言うこともあり。両チームとも慎重な入り。前半はリスクを冒さずキッキングゲーム。その中で手堅く3点を積み上げていく展開。風向きが趨勢を左右するかも。得点チャンスを着実にものにすることが重要。仮にキヤノンにラッキートライが出れば面白くなる。
(パナソニック大勝シナリオ)
・後半になってパナソニックのスクラム優位が明らかに。その場合、ペナルティから前進し、またPGで点を重ねていく。最後にはパナソニックがリスクを取ってアタックし、ある程度点差が開いた形でパナソニック勝利。
(パナソニック辛勝シナリオ)
・スクラムでキヤノンが頑張れたら、田村優と後半に出てくるであろう山沢のキック精度の勝負。ここでディシプリンの差が出て、PG機会の差でパナソニックが接戦の末勝利。
(キヤノンアップセットシナリオ)
・トライを無理に狙わず、得点チャンスを積み重ね、スコアで離されずに終盤まで。とにかく終盤にリスクを取ったアタックを連続的に仕掛けて、最後にひっくり返すことができる点差にとどまること。

さてさて。見どころが外れたら笑ってください(笑)。