2019年7月に開始するHLABの新しいサマースクール、「HLAB×Exeter」。本記事では、パートナーであるアメリカのボーディングスクール（寄宿制高校）、Phillips Exeter Academyについて連載して紹介します（全3回）。

今回はPhillips Exeter Academy（以下、Exeter）で行われている教育方法であるHarkness Method® についての記事をお伝えします。サマースクール中にも、

Harkness Methodとは

Harkness Method®とはアメリカの名門プレップスクールで取られている教育方式のことを言います。先生と生徒が同じ楕円卓に座り、ディスカッションをする形で授業が進められます。日本のインプット型教育とは違い生徒の自主性を重んじ、生徒主体で議論を進めていく教育方式になります。12人がけのテーブルを利用し、基本的にクラス構成は12名＋1人の教師という構成がなされています。今回のHLAB×ExeterのExeter参加人数も生徒数12名+教師1名となっており細部までHarkness Methodのエッセンスが行き渡っていることが感じられます。

Harkness Method®の由来

上記で説明したHarkness Method、実はPhillips Exeter Academyが開発した教育方式なのです！1930年、Edward Harkness氏がPhillips Exeter Academyに12人がけテーブルを各教室に寄贈したことが始まりと言われています。氏はテーブルを寄贈するにあたり

What I have in mind is a classroom where students could sit around a table with a teacher who would talk with them and instruct them by a sort of tutorial or conference method, where each student would feel encouraged to speak up. This would be a real revolution in methods.

という言葉を残しています。Harkness Methodではただ議論をするのではなく、回答の良し悪しを導き出すのでもなく、問題解決能力そのものに重きを置いた教育方式となっています。次に具体的にHarkness Methodを通して得られるものを見ていきましょう。

Harkness Method®を通して得られるもの

HLABのサマースクールのように、生徒が互いに「教」え合い、「学」び合う事で様々な反応が生まれています。挙げればきりがないほど得られることは多いのですが、いくつかあげてみました。

・上下関係を無視してフラットな関係性で議論を進めるため、面白い会話が生まれ、様々な事柄に興味を持ち学び続けるようになる。
・言葉を発することで授業に参加するので、「自分達が授業を創っている」ことを実感し、物事を自分ごと化するようになる。
・異なる意見を尊重し、他人の考えをしっかりと聞く力がつく。賛成できない意見だからといって感情的になるのではなく、多くの意見を聞いて受け入れ、そしてまた新しく考えを巡らせて冒険するようになる。

話し合いの中でみんなで考えを構築していき、

それを踏まえた上で自分の意見をその都度考えをアップデートしていきます。生徒同士で話し合いを進めるのは大変な一方で、全員が真剣に対話をすることで驚くべき化学反応が起きます。
生徒が互いに教え合い、学び合う事で、「学びは自らが学びたいと思うからこそ得る事ができるものである」という認識が生まれます。先生からは考えるための方法を教わるだけで答えをもらえるわけではないので授業は簡単ではありません。それでも生徒たちが一つになって学べる環境を作り、全員が力を合わせて答えを見つけることで自分たちで考える面白さを学びます。彼らは、ただ単純に正しい情報を得られることよりも学ぶことが大切だということを知っています。

同じ授業でも毎回話し合いの内容や場の空気、進み方は異なります。またHarkness Methodで行われている授業以外でも、日常のあらゆるシーンでこのような対話が自然と起きています。それを意識して学校はもちろん、様々な場所で他人と関わりあうことで「自分とは何か」をしっかりと考え、見つめ直しています。

いよいよ残り数日に迫った「HLAB×Exeter」。運営一同、Exeter生徒と日本の高校生参加者との交流から学びの化学反応が起こることを楽しみにしています。

Harkness® is a registered trademark of Phillips Exeter Academy.

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