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『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(2018/イギリス)

舞台は1940年5月、第二次世界大戦初期。ヒトラー率いるナチス・ドイツの勢力が拡大し、フランスは陥落間近、イギリスにもすぐそこまでドイツ軍が迫ってきている。
30万人の兵士がドイツ軍によって包囲されており、全滅間近であると。その兵士を逃す映画もまた別にあって、例えばノーランの『ダンケルク』はそれにあたる。

本映画は『ダンケルク』の舞台裏、ドイツ宥和政策を取ろうとする政治家たちに大きく翻弄されながらも、国の誇りをかけて徹底抗戦するというリーダーの決断と覚悟を決めるまでの内政的な話であり、内省的な話でもある。

原題は「darkest hour」。訳すと「夜明け前が最も暗い」という意味ですね。
邦題はアレなのに原題は知的で文学的な印象を受けます。チャーチル自身、1953年の回顧録でノーベル文学賞を受賞しており、劇中でもチャーチル宅は図書館並みの書籍に溢れていました。
そのあたりの説明はなく、一般教養として当然ありますよね、という前提で映画は進んでいきます。

結局は史実の通り、ドイツと徹底抗戦する道を選び、その決断は正解だったわけです。
成功したから良い話になっていますが、失敗したらイギリスもドイツに占領されてしまったわけです。ifの世界はファシズムに覆われて、一体今頃どうなっていたのでしょう!?

映画は美談のように描かれており、実際美談なのかもしれません。でも全国民が「たとえ国が占領されようと、ほうきを武器にしてでも戦い抜く!」なーんてことを言って互いに鼓舞しあっている様子を見るとうーんって思ってしまいます。同時期の日本のことを考えると、ちょっとねえ、と思っちゃう部分もあります。
歴史というものは勝者が正義として語られるのだなと改めて思いました。

面白さ:(★★★★★★☆☆☆☆)


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