DUST / Hard Attack (CD)

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・DUST / HARD ATTACK (2019 sony music)

絶対に負けられない戦いを制して購入。70年代初頭にニューヨークで活動していたハードロックトリオの2ndの再発盤(オリジナルリリース1972年)。後にRichard Hell and the VoidoisやRamonesに加入するマーク・ベル(a.k.a マーキー・ラモーン)が在籍していたことで知られているが、ライナーノーツによると他のメンバーもバンド解散後はリック・デリンジャーやボブ・ディランのレコーディングやツアーに参加するなど凄い奴ら揃い。LPで欲しかったのだが検索の難しい名前のため何度も機会を逃している内に日本盤CDが去年出ていたのだった。

G-Modernという雑誌で私が一番好きな音楽ライター有馬凡氏がDustのこのアルバムについて言及していたことが興味を持ったきっかけだが、より興味を持ったのはアルバム再発の際に作られたと思われるトレイラー映像を見て痺れたから。当時のライブ映像をいつかフル尺で公開してもらいたいものです。

知られざるHR/HMの名盤的な扱いをされているが生々しくプリミティブな演奏のスピード感や強引さはプロトパンクとして聴いても燃えるかんじである。体力と運動神経をフル活用してバンドサウンドを強引に加速させるマークベルの手数の多いドタバタしたドラムやエフェクトなどに頼らず狂暴かつ正確な熱いフレージングを連発する指の皮の分厚そうなギターとベースのアンサンブルはハードロックとかヘヴィメタルに興味のない人でも興奮させる魅力があると思う。

それと同時に超名バラードの「Thusly Spoken」に代表される泣きの叙情的なメロディーや構成の巧さ、アコースティックギターやスティールギター、ストリングスを効果的に使ったアレンジがこのアルバムに奥行きを与えている。ドラムレスのカントリー/フォークソング「I Been Thinkin」なんかは普通にすごくよい曲だったりするのがワイルドなルックスに反しまくっていて面白いしアメリカのバンドの奥深さを感じる。

ライナーによるとキングクリムゾンやアリス・クーパーなどのフロントアクトを務めたりもしていたが所属していたKama Sutra Recordsのバックアップがそれほど得られずアルバムの売り上げ不振もあり解散となった模様。Kama Sutra Recordsは70年代初期から中期にかけてFlamin' GrooviesやNRBQ、Velvets直系の都市型ロックンロールバンドHackamore Brickなど個人的に興味をそそられる作品がリリースされているがその中でもDustは一際異彩を放つ凶暴かつ繊細なトリオだなと3回通して聴いて思った。

フランク・フラゼッタの描いたRPGで出会ったら痛恨の一撃食らいそうなかんじの蛮族ジャケもよいのでLPで欲しいやっぱり。

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