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結局は人ですよ

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MacFan誌で2009年〜2015年まで連載していたコラム「結局は人ですよ」の改訂版です。
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記事一覧

Vol.34 仙台にて

Vol.34 仙台にて

クリエイティブカンパニーWOWの鹿野護さんとの打合せと、親父の墓参りを兼ねて、私が幼少期を過ごした仙台まで行く事になった。
東京での仕事を終えてから、そのまま移動となったので、金沢~東京~仙台~松島と、結構な長旅だったのだが、待ち構えるイベントの全てが楽しみだったので、疲れを感じる事もなくワクワクしながら向かった。
仙台に行く数日前に、Facebookで「思い出のラーメン屋はまだあるのだろうか?」

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下町兄弟@BEAMS

下町兄弟@BEAMS

Motomyと私がまだ二十代の頃に結成した音楽ユニット「下町兄弟」の三十周年に合わせて、BEAMS JAPANさんでポップアップを展開してくれることになり、このコロナ禍の中、とても多くの方々にわざわざ足を運んで、グッズまで購入して頂き、この場を借りて皆さんには心からありがとうの感謝を述べさせて頂きます。

※新曲制作までの経緯についてはこちらを参照

そもそも何故、BEAMSが下町兄弟なのか?

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ClubhouseによるEAT KANAZAWA

ClubhouseによるEAT KANAZAWA

イート金沢とは金沢市が1997年に開始した、クリエイターにフォーカスしたイベントであるイート金沢。アルファベットではEAT KANAZAWAとなる。
当初は最初のEを小文字のeで表記しており、eAT KANAZAWAだった。
そんなのが流行っていた時代だったのだと思う。

イート金沢と聞くと、美食の町金沢のイメージと重なって食のイベントだと思われるだろうが、実は違う。私も最初に呼んで頂いた2001

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50年目のサプライズ

50年目のサプライズ

2018年4月27日の夜、上町から一通のメッセージが届いた。

誕生日の夜は、家族で料理をして食事をする予定だったし、翌日はとくに予定を入れていなかったので、妻に何処か出掛ける予定は無いか?と確認をしたところ、何も予定は無いと言うので「ありがとう」と返事をした。

して、当日。
いつものペースよりも、ずいぶんと早めに用意をした妻と娘が私を起こしにきた。11時過ぎに家を出てオフィスに向かえば充分に間

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母のこと

 明るく優しく厳しかった母が、さよならを言う間も無く天国に旅立った。
享年78才だった。
私が知る限りうちの家系で80才まで生きた人は居ないんじゃないかと思う。

 母が私をこの世に誕生させてくれてから49年間のうち、母と笑ったり泣いたりした濃い記憶は一緒に暮らした18年ぶんしか無い。
あとは細切れの断片的な思い出ばかり。
それでも、無いよりはマシなのだが。
だから自分も娘が大人になる前に、一緒に

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遅れてきたバースデーサプライズ

遅れてきたバースデーサプライズ

気が置けない仲間というのは、時に何をしでかすのか分からない。
しかも普段からアホほど忙しくしている人ほど、くだらない事に知恵と労力をかけることを厭わないのだ。

三日間の東京出張から金沢に戻り、東京から金沢に来ていた部下の蟹沢と片町で2時過ぎまで飲みながら仕事の話をしていた。
そして翌朝も早くから会議の予定をしていたのだが、今週は出張続きで疲れていたせいなのか、珍しく寝坊をしてしまった。

お昼を

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Vol.19 あいまいな単位

May. 2011

 あいまいな関係性で成り立っている世の中ではあるが、「あっという間」という単位はいったいどれぐらいの時間なのだろうか。

 例えば、彼女と5日間のグアム旅行の計画を立て、事前にガイドブックなどを購入し、初日のディナーはホテルのビーチサイドレストランでロブスターを食べて、2日目はタモンのDFSギャラリアで買い物をして…などと考えているうちに渡航日を迎え、楽しい予定は光陰矢のごと

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Vol.4 予期せぬ出来事

Mar. 2010

 予期せぬ出来事に遭遇したとき、人はどうしてこうも脆く愚かな生き物になってしまうのか。

 正月気分もすっかり抜け、気持ちのよいある朝のことだった。
ダイニングで朝食を終えた私は、日課であるトイレで読書兼、用を足し、ウォシュレットのスイッチを押した。

「グイングイ〜ングイン」 今まで聞いたこともない異音が爽快気分を台なしにする。
そればかりか、肝心のシャワーも出てこない。

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おっさんの働き方だけじゃないよね、いい意味で



クリエイティブである。 唐突にいわれても「お前は何をいっているのだ」という話だとは思うのだが、この世に人がいる限り、毎日どこかで新しいクリエイティブ、デザインが生まれている。

 人間とは何かしらのデザインをしたくなり、デザインを欲しがる生き物なのだ。子どもは紙に白い部分を見つけたらつい絵を描いてしまう。
私もいい大人だがつい描いてしまう。
海に行って砂があれば、つい城を造ってしまう。

 2

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Vol.45 旅は人を成長させる その①

Aug. 2013

 私は旅が大好きだ。もともと海外出張の多い仕事柄なので、これまでたくさんの国々へ行った。

 以前は出張が決まれば馴染みの旅行代理店に電話をして、航空券から宿の手配までお願いしていたが、近年ではインターネットの普及に伴い、やる気になれば自分で隅々まで調べられるため、好きなようにプランを立てて旅に出ることも多くなった。
安く目的地へ行く方法を教えてくれたり、予約までもできるサー

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Vol.46 旅は人を成長させる その②

Sep. 2013

「楽しいハワイへの家族旅行、せっかくだから最先端のアプリやサービスですべての予約をネットで済ませるぞ計画」の後編である。 アメリカ合衆国に入国するために必要なESTA申請の保留状態が続く中、出発日は刻々と近づいており、ヤキモキしながらブラウザでステイタス確認をしていた。
もしかしたらアメリカのふりをした詐欺サイトに騙されたのか。
いやURLを何度確認しても.govドメインなの

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Vol.44 SNSの恐怖

Aug. 2013

 齢45にもなりますとね、謙虚さたるや是いかに?なんてつい考えてしまうわけでしてね。

 この連載が始まったばかりの頃、にわかにツイッターが世に知られる存在になってきた時分だったと記憶している。
あのときはやれ140文字がどうしたとか、ツイッターとiPhoneは異様に親和性が高いとか、もうミクシー要らねとか、まあたくさんの期待と憶測が飛び交っていまして、IT業界は当然ツイッタ

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Vol.42 会社やりますか?

Jun. 2013

たまには真面目な話をしよう。ベンチャーとか起業がにわかに活気づいているが、十数年前のITバブルの頃よりも、もしかしたら勢いづいているんじゃなかろうか。

「やりたいことがあるなら、起業しちゃえばいいじゃん」そう真顔でいう人もいる。確かにそうなのだが、起業するっていったいなんなのか? 
私は25年前の21歳のときに会社を立ち上げた。
参考までに私なりの経験を今回は書きたい。

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Vol.42 I Love Music

May. 2013

 もともと音楽家である私の偏見かもしれないが、

「音楽が嫌いな人」はこの世にいないと思っている。 もちろん、場合によっては音楽が鳴っていると煩いと感じるときもあるだろうし、ジャンルや好みで嫌いな音楽というのもあるだろう。しかし、音楽そのものを嫌いという人はまずいないはずだ。

 私は物心つく前から音楽に溢れた家で育ってきた。
亡き父は何枚かのお気に入りのジャズレコードをLo

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