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110.ナポレオンはなんでこんなに強いのか。

①軍の構成

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古代ローマ帝国。

有力者たちが職業軍人を雇用し、戦いを行うスタイル。戦いに行く者たちは無産市民が多い。帝国内で雇用を中心に行なっていた。

中世。

ローマ帝国が滅亡すると次第に、王が兵士を金で雇うようになった。傭兵である。彼らは金で雇われているため、金のために戦っている。つまり、国家とかどうでもいいのだ。戦いが長引けば長引くほど、彼ら傭兵は安定した給金をもらうことができた。戦争が何十年も続く要因の一つはそこにある。30年戦争のヴァレンシュタンなどは典型だ。

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そしてフランス革命明けのナポレオン軍。ちょうど、ロベスピエールらジャコバン派が徴兵制を採用し、国民が兵士になった。

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ここで、国民軍と傭兵が戦ったらどうだろうか。

苦戦した時、国のために戦う国民軍と、金のために戦う傭兵。戦場から逃げるのはどちらだろうか。裏切るのはどちらだろうか。

故郷には父母、兄弟、友人、恋人が待っている国民軍の兵士が逃げるはずもない。弱いはずもない。訓練をサボるはずもない。

そう、国民軍は強いのだ。

②兵士が死ぬと。

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兵士が死ぬと国が最高の感謝を持って遇する。それは今も変わらない。

アメリカではアーリントン国立墓地が存在している。

「死んだら手厚く葬られ、何代にも渡って国のために戦ってくれてありがとう。」と、見舞う姿を子供の頃から見て、いつか自分も兵士となり、死んだらここに入るんだと思う。

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日本にも靖国神社がある。戊辰戦争から国のために戦った人々を「英霊」として、お祀りする。兵士たちは出撃する前、「靖国で会おう」と声をかける。

毎年夏には、多くの人々が参拝している。

また殉職した場合、二階級特進ということを聞いたことがあるだろうか。階級を上げることで遺族年金等の給付金の額を増やしているのだ。

これが国家というものだ。

③ナショナリズム。

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自らが国家の構成員であることを意識させ、愛国心を醸成する。この時、フランスでもナショナリズムが高まりを見せた。ナショナリズムの高まりには2つの要因がある。

1つは「外敵の脅威」

もう一つは「国内での人権侵害」

フランスでは革命によってフランス人が一つの単位として一致団結した。そしてナポレオンが各国の人権を守るといって解放戦争を始めた。

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奇しくも、そんなフランスの攻撃に、ナショナリズムに目覚めたのがプロイセンだった。

ハイデルベルクとシュタインが従来までの封建的政策をやめ、近代化をはかり、国民軍を創設してフランスに対抗しようとした。

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哲学者のフィヒテは著書「ドイツ国民に告ぐ」の中で、ドイツ人の一致団結を訴え、それを教育によってもたらすことを書いた。

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これを同じことが幕末の日本でも起きている。幕末の彼らは「日本人」という感覚は薄く、長州人とか薩摩人といった感覚だった。同じ日本語を話しているのに同じ国ではなく、反発しあっている。同じ日本人なのに。

その間に欧州列強は帝国主義の名の下に、アジアを次々と植民地にしている。日本はすぐに近代化をして日本人として一致団結しないといけないと起きたのが明治維新だった。

しかし、ナショナリズムが高まりすぎると単位グループ以外の属性が排斥される。

ドイツのヒトラーがユダヤ人を迫害したこと。

日本国内で、朝鮮人や中国人個人をネットで攻撃すること。

ナショナリズムは第二次大戦の敗戦によって日本ではあまり是とされてこなかった印象がある。「愛国心」という言葉に反応し、嫌悪する人が一定数いることも確かだ。

しかし、ナショナリズムがあるからこそ、アジアアフリカは植民地から独立することができ、自分たちの国を自分たちで統治することができたのだ。

過剰なナショナリズムはいい結果をもたらさない。

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