と、称されることもある。
ヘーゲルの洞察は、他の思想家たちの追随を許さない原理的なもの」(同上書,70)であり、さらには「ヘーゲルの「自由」論およびここから導出された社会原理論は、ロールズ以来の現代政治哲学の研究蓄積を経てなお、他の追随を許さないほど鍛え抜かれたものになっている」(同上書,111)
「ヘーゲルは哲学史上において、『自由』の本質とそれを可能にする条件を最も深く考えわー抜いた哲学者」(苫野,2014,5)であり、「ヘーゲルの『自由』論は、哲学史上最高度に鍛え上げられたもので…<省略>…現代における種々の「自由」論を経てなお、
のかが吟味されている。
第１章 はじめに 本稿では、G.W.F,ヘーゲルの『精神現象学』(以下、『現象学』と表記)の「序論Vorrede」において提起される〈実体＝主体〉論が「意識」の章の最初の節である、「感覚的確信sinnliche Gewißheit」の節全体を通じていかに展開されている
こうした両義性が把捉表現されている訳として、「真理は実体としてではなく、おなじくらいに主体としても把握され、表現されなければならない」(三浦,1995,132)、「真理を『実体』としてではなく、『主体』としてもとらえ表現する」(長谷川,1998,11)、といったものがある。
加藤は、これはそもそもヘーゲルの用いる「『実体』という概念が両義的である」(同上書,20)、ことに起因するものだ、という。
たとえば、『生きた実体は主体である』…<省略>…『実体は本質的に主体である』…<省略>…『実体はそれ自身において主体である』」「というように、さまざまに『実体は主体である』という主張がなされている」よう見て取れるためである。
というのも、加藤によれば、「『実体としてではなく、同様に』という表現」があてられうるこの命題は、「一つの文脈からみると、ここではヘーゲルが、『真なるもの』は『実体』ではなく、『主体』だといっていることになる…<省略>…しかし同じ『序文』の他の個所では、
この叙述〔Darstellung〕が「実体=主体」という主張として扱いうるか否かは、それほど自明なことではない。
「実体=主体」論についてのヘーゲルの記述は、”das Wahre nicht als Substanz, sondern eben so sehr als Subjekt aufzufassen und auszudrücken”(GW,Bd.9,18)となっており、
「真なるものを実体(Substanz)としてではなく、同様に主体(Subjekt)として把捉し、表現すること」(加藤 1983,35)という一文およびそれに関する一連の記述のことである。しかし、既述の如くこの「実体=主体」論は、それ自身十分に検討されるべき問題を含んでいる。
存在を〔das Sein〕消失を介して〔durch das Verschwinden〕存在へと対応させる関数〔Funktion〕が時間〔Zeit〕(の一側面)である
意識はその構造を有する、自覚的存在である 表象的存在について、同様にその構造は作用するので、意識は、なんにせよ把捉し表現する、その一場面を内面と言ったり、あるいは常に立ち現れてくることに対して言及するので内面などないなどと言われたりする
存在は現れることである、常に現出である、或る全体が現れ、それを含む或る全体を含む或る全体によって、把捉され、存続するゆえに或る全体として存在する
それ自体によって、それ自体として表現された対象がそれを表現された意識に把捉され、把捉するものと把捉されたものとしてこの自己たる意識に表現され把捉される
