箱根での生活

松田倉庫時代から次のステージは箱根です。実は箱根は僕が2歳の時に親戚の方が交通事故で亡くなった場所です。2歳の僕は家族と現場に花を添えに行った時に白い蛇を見たのです。なんとなくその時に箱根と縁ができたのかもしれません。幼稚園から小学校卒業まで絵画教室に通っていました。その海外教室で月に1度、箱根の彫刻の森に行っていました。

小学校を出てから箱根とは縁遠い生活になってしまいます。しかし、松田で生活をして毎日箱根の山々を見ているうちに呼ばれている気がしました。当時はフィンユールバブルでまあまあ稼ぎも良く、家でも購入するかってタイミングでした。何件か箱根の物件を見て、おおこれだという物件を見つけました。どこかの会社の別荘になっていた大型の住宅です。程度も良く、バブル期に丁寧に作られたのか派手でなないけれど要所要所がきっちりしていました。ほぼ即決でした。不動産屋さんとの交渉は初めてでした。別荘地の物件だから値段もあってないようなものとアドバイスを聞き、自分の買える金額を思い切って提示しました。6,800万の物件が4,000万になりました。その時、借入をするのですがなんと少し前に危ないと話題になった駿河銀行からの融資でした。確かに、審査は甘く支店長決済で即OK。そして何故だか会社の資金も2,000万ほどすぐに融資をしてくれました。田舎の銀行を納得させるには東京で活躍した時の雑誌などを持っていけばちょろい時代でした。今ではそうもいきませんね。決算書の数字のみ。。。

さて、無事に購入をしてお引っ越しです。今でも覚えています。初日の夜のことを。あまりに静かすぎて不安になりましたが、明け方鳥の鳴き声で目が覚めるという素晴らしい経験をしました。おお、なんという贅沢。それが最初の感想です。広いキッチンにはパントリーがあり、数日分の食材を買い込んで篭れる場所でした。そして、今でも驚きなのが風呂です。サウナがあったり、浴槽が2つ。しかも1つは岩風呂風。もう1つは3m x 3m位のでかい浴槽です。溜めるのに2時間も掛かりました。シャワーは3面もあり、2人家族の僕達には使いきれない風呂でした。箱根は温泉地です。契約をすれば温泉を引くことができます。(今ならするなあ)しかし、年間の契約金が120万ほど必要です。当時はそこまで温泉に入りたいとは思わなかったので、契約はしませんでした。サウナも今では大好きですが、当時は閉所恐怖症なので一度も使用しませんでした。

次に大変だったのが庭です。和風な庭園でツツジがびっしり敷き詰められていました。毎日、僕の日課はツツジをぶっこ抜くことです。まあまあ根も張っていて根性のいる作業でした。大きな岩が沢山あり、その配置を変えるのだけ業者さんを呼びました。最終的には畑を作ったりする予定でした。

リビングは40畳以上もあり、その続きで和室がありました。和室とリビングを一体化する計画もありました。そしてリビングの真ん中に暖炉がありました。憧れの暖炉でしたが、面倒であまり使いませんでした。リビングの床はゴムの木の床材。最初は気に入らなくサイザル麻の絨毯を敷き詰めるのですが、施工にきた業者からこの床材はとんでもなく貴重だよと聞きます。絨毯を敷き詰めるのを躊躇った業者さんは仮にテープで動かないように絨毯を敷いてくれました。実はこの床材について調べたら安藤忠雄さんの考案した床材らしいのです。100万以上もかけて敷き詰めた絨毯もそれを知ってから直ぐに剥がしました。おお、ナイス判断な施工屋さん。それもそう、高級物件ばかりを施工する業者さんだったのです。絨毯は麻布にあるナショナルマーケットの2階の業者さんから購入するのですが、そこがそれはそう、高級物件ばかり扱うところなのです。おっと思い出した。ナショナルマーケット。2000年代当時は掲示板があって母国に帰国する方が要らないものを格安で販売していました。ポルシェなんてザラにあって、稀にある家具の情報を見てはフリッツハンセンのダイニングセットなどをタダで譲ってもらったりしていました。今はメルカリ、ヤフオクの時代ですが、当時はこんな人間味あるやりとりが出来た時代でした。

箱根の家はたった1年8ヶ月のおつきあいになってしまうのです。コネクトオークション立ち上げで毎日都内に行く日々、交通費も半端なく当時とんでもなく燃費の悪い車に乗っていた僕にはまあまあ辛い出費でした。そんな訳でまた渋谷区民に戻るのですが、その話はまた別の機会で。

家を売る際に別荘地だから言い値が売値と知識をつけた僕は、次のオーナー探しに5000万の金額で売りに出しました。直ぐに欲しい方が現れて、雑誌に載った家ということで気に入ってくださり、4,400万円で売却しました。ここで400万の利益が出てしまい、これがまあなんとやら。中古住宅を手に入れてから2年以内に売却し利益が出た場合は利益の40%を税金で持っていかれることを身をもって知りました。

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